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『4分間のマリーゴールド』が問う「最愛の人の死の運命に、自分なら向き合えるだろうか?」

こんにちは、小柳かおりです。

今回はキリエ先生著『4分間のマリーゴールド』(小学館)をご紹介します。

 

 

4分間のマリーゴールド (1) (ビッグコミックス)
著者:キリエ
出版社:小学館
販売日:2017-08-10

 

『4分間のマリーゴールド』のあらすじ

 

『4分間のマリーゴールド』は、救命救急士の主人公が、最愛の人の死の運命を知りながら残された時間を大切にし、そして運命に抗おうと戦うヒューマンドラマです。

 

救命士になったばかりの主人公・花巻みことには不思議な「能力」があります。

手を重ねた人の死の瞬間が見えるのです。

そしてその死の運命はどんなに手を尽くしても変えられません。

 

みことは救命士として人の命を救うという使命と、皮肉にも、死の瞬間が見える患者に対しては、どれだけ手を尽くしても決して救うことができない自身の無力さに苦しんでいました。

 

彼には最愛の人がいました。

父の再婚により義理の姉となった沙羅。出会った時から恋に落ち、愛しています。

 

しかし、みことには、彼女が1年後に死ぬ運命であると視えています。その運命を変えるべく、彼女との時間を大切にし、日々葛藤して生きています。

 

誰よりも愛する沙羅。

 

そしてある日、沙羅もみことに思いを寄せていることがわかり、二人の秘密の恋が始まります。

 

切ない禁断の恋と、死へと向かうタイムリミットに、展開が気になってしまうドラマです。

 

『4分間のマリーゴールド』タイトルの意味

 

「マリーゴールド」は沙羅の好きな花であり、みことは毎年、沙羅の誕生日にマリーゴールドの花束を贈ります。マリーゴールドはいわば、沙羅を象徴する花。

 

そして「4分間」は、救命救急における生死の運命の分かれ目となる時間。

 

心停止してから心肺蘇生を行わなければ、生存確率は1分ごとに低下するといわれています。

呼吸停止から2分以内に蘇生を開始すれば生存確率は90%。

3分で75%。

4分で50%。

4分間を境に「死」が上回るのです。

 

『4分間のマリーゴールド』、それは、沙羅の生死の境界を示すタイトル。

生か、死か、そのどちらに転ぶのかを担っているのが、主人公みことなのでしょう。

 

 

最愛の人の死に向き合うとき

 

この作品のテーマとなっている「最愛の人の死」。

それは他人事ではなく、最愛の人が余命を宣告されるなど、私たちの現実として身近に考えられます。

 

家族や恋人の死に向き合う日がいつか来るとしたら、自分はその現実とどう向き合うのだろうか。

みことのように冷静に耐えられるのだろうか、ということをこの作品を読みながら考えていました。

 

みことは決して逃げません。

残された1年間の間に救命救急士として可能な資格をすべて取ろう、手を尽くそうと努力します。

愛の力が強いほど、人は覚悟を持ち、強くなろうとするのだと、その姿にとても胸を打たれます。

 

自分ならばどうするだろうか。

愛するあの人が、もし死ぬとわかっていたなら。

 

作品を読みながら、脳裏に浮かんできた人が大切な人であると再認識し、いつか死ぬ運命にある私たちにとって、一緒に過ごす時間がかけがえのない時間であることを痛感するのです。

 

多忙な生活を送っていると、時に自分のことで精いっぱいで、私たちは大切な人の大切さを当たり前にして忘れてしまいがちです。

 

でも、改めてその人々を思い返してみるきっかけとして、本作品を手にされてみるのはいかがでしょうか。

 

 

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