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年間1000冊以上マンガを読んだ僕がオススメする2019必読マンガ

今年ももう終わりですね。

 

今年もマンガ業界でもたくさんの名作が生まれました。

とてもよろこばしいことですが、財布は常に泣きっぱなしでしたね。

 

ところで、実は今年の年頭に僕はこんな誓いを立てていました。

 

『今年はマンガを1000冊以上読破する』

 

そして以下がその際に定めたルールです。

  • 今まで未読の作品に限る(読み返しはノーカン)
  • ウェブで公開されてる1ツイートマンガの類はノーカン(単行本化されていてそれを購入して読んだものはカウントしても可)
  • 新旧の区別は無し

 

というルールを設けてマンガに向き合った一年間でしたがなんとか、年間1000冊という目標はクリアできました!

やってみるとなかなか大変でしたし途中5月と11月は読む時間がとれなくて本数が相当少なかったのでちょっと最後らへんは焦りましたが、まあ頑張りました。

 

そんなマンガ漬けだった一年間を振り返ってみて今年僕が読んだ作品の中から今、皆さんに読んでもらいたい作品やこれは間違いないぞって作品をご紹介しながら一年の締めくくりとさせてもらいたいと思います。

 

それではいつもより少し長めですがお付き合いください。

 

①『鬼滅の刃』

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:吾峠呼世晴
出版社:集英社
販売日:2016-06-03

 

2019年の一番は誰が何と言おうとこの作品でしょう。

 

もう好きとか嫌いとかではなくて目を通してない方がおかしいレベルの作品だと思います。

これだけ売れているということはやっぱり面白いということに他なりません。

 

11年ぶりに日本一売れたマンガの座を『ワンピース』から奪ったニュースは色々ネガティブな話題が多いマンガ業界の中でも群を抜いて良い話題となりました。

 

原作の方もいよいよ佳境に入ってきています。

炭次郎は一体どうなってしまうんでしょうか?

 

また2020年公開予定の劇場版も今から楽しみです。

 

 

②『モキュメンタリーズ』

モキュメンタリーズ 1巻 (HARTA COMIX)
著者:百名 哲
出版社:KADOKAWA
販売日:2017-05-15

個人的なレビューもしたんですが、本年度読んだマンガの中で言えば、この作品が個人的にはぶっちぎりで好きな作品です。

 

『モキュメンタル(モック+ドキュメンタリー)』という手法をマンガの世界に敢えて持ち込んだこの作品。

実はマンガとモキュメンタルという手法自体は今急にできた手法ではなくて、昔から多くの作者がエッセイマンガや、例えばあとがきマンガなどで取り入れてきたりしました。

この作品はあえてそこを宣言したうえで描かれた作品です。

 

そのため、より嘘と本当の世界の境界線が曖昧になってマンガとしての面白さが増したように感じました。

 

嘘か本当かを追求したりするよりも時にはわざと騙されたりすることも大事なんだということ教えてくれる作品です。

既刊2巻なので手を出しやすいのも魅力的です。

 

 

③『田島列島作品』

水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:田島列島
出版社:講談社
販売日:2019-05-09
子供はわかってあげない(上) (モーニングコミックス)
著者:田島列島
出版社:講談社
販売日:2014-09-22
田島列島短編集 ごあいさつ (モーニングコミックス)
著者:田島列島
出版社:講談社
販売日:2019-12-09

2019年に一番名前を上げたマンガ家って誰?なんてお話をした時に、やっぱりこの田島列島という作家さんではないかと僕は思います。

 

元々その実力自体はすでに一定以上の評価を得ていた知る人ぞ知るタイプの作家さんでしたが、月刊マガジンで新作『水は海に向かって流れる』が連載直後から大きな話題を呼びました。

 

今年はその作品に加え、初となる短編集である『ごあいさつ』を上梓され、さらに2015年に連載され大きな話題作となった前作『子供はわかってあげない』の実写映画化も決定するなど、大きくその存在と才能が世間に知らしめた一年になりました。

 

もちろんどの作品も傑作も傑作の大傑作作品となっていますので、こういう作品はできれば……

『普段、マンガは読みません』

『昔は良くマンガも読んだけど最近はねぇ』

という方々に読んでもらいたい作品ですね。

 

 

④『チェイサーゲーム』

チェイサーゲーム(1)
著者:松山 洋,松島 幸太朗
出版社:ナンバーナイン
販売日:2019-09-13

 

 

働き方改革だとかブラック企業、ハラスメントとか、いろんな言葉や実態があって、“働くこと”自体が何だかネガティブなことになってしまっている世の中ですが、世の中には働くことが楽しいとか、働かずにはいられないって人がいるのもまた一つの側面ではあります。

なんだかんだで誰かのために働くことって結構楽しかったりします。

 

本作はそんな働く人たちへの応援歌だったり賛歌です。お仕事マンガってジャンルは昔からあってヒットしたりもしてます。

この『チェイサーゲーム』は令和の時代の新しい働くことに対する一つのアンサーだと僕は信じて疑いません。

 

現役のゲーム開発会社が自ら手掛ける実録ゲーム業界最前線の青春群像劇は今の時代だからこそ面白さがより伝わる一作です。

 

 

⑤『マンガに、編集って必要ですか?』

マンガに、編集って必要ですか? 1巻: バンチコミックス
著者:青木U平
出版社:新潮社
販売日:2019-05-09

 

 

こちらも所謂お仕事マンガです。

先ほどの『チェイサーゲーム』は“ゲーム業界”を舞台にした作品でしたが、こちらは“マンガ業界”を舞台にした物語です。

 

マンガ業界も10年どころかここ数年で大きく様変わりしました。

webマンガが大きく発展し、出版社を通さなくても誰でも気軽にマンガを世の中に発信することが可能となりました。

それはそれで多くの恩恵をもたらしましたが同時に改めて“編集者”という存在の意義とあり方も今年は大きく見直された一年だったように思います。

この問題に関してはどっちかが正しくてどっちかが正しくないとか、そういう類の話でもありません。

結果を求めるのではなくひとつの在り方を考えるためにこの作品は有るように思います。

 

作中の登場人物たちはどこか壊れたような狂気を見せつけてくれます。

こういった狂気が静かに燃えているような作品は傑作が多いような気がします。

 

⑥『トマトイプーのリコピン』

トマトイプーのリコピン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:大石浩二
出版社:集英社
販売日:2018-02-02

 

 

『トマトイプーのリコピン』は元々はキュートでポップなキャラクターが毒舌を吐いたり時事ネタを取り入れたブラックユーモアあふれる不条理ギャグマンガ。

作者の大石浩二センセイの作風なんですけど、今年になって公開されたある回がまさかの展開で、業界はもちろん読者やSNS上でも大きな話題となりました。

その模様は今年刊行された第3巻に収録されています。

ハッキリ言うと他の事を知らなくても、それを見るだけのためだけに購入してもいいくらいのレベルの正に“事件”でした。

 

そしてそういう取り組みが行われるのは僕たち読者側にはとても喜ばしいことでもあります。ぜひ買って読んで見てください。

 

 

⑦『王様ランキング』

王様ランキング 1巻
著者:十日草輔
出版社:#manufacturer
販売日:2019-03-11

 

 

“正しい”マンガ表現なんてものがあるとしたら、それはひょっとしたらこういう作品のことを言うのかもしれません。

 

個人的な見解を言えば全てのマンガ表現はもちろん正しいのですが、例えば“絵本”とか“おとぎ話”のような情操に訴えかける、心を育てるという面を正しいとするならば、この作品はきっと100点満点のような作品ではないでしょうか?

 

主人公は耳が不自由で言葉を使いこなせません。

それでもそんな自分を奮い立たせて強くあろうとするし、周りの人もそんな主人公に厳しく当たりはするものの、本心では心配をしたり気遣ったりしています。

 

正論的な言動ではなくて、世の中の人々の反応もけっして全てにおいて優しさだけではありません。

時には強くあるために踏ん張って事に向かわないといけませんし、敢えて突き放すこともまた優しさのひとつでもあります。

 

そんなところが読む人たちの心を打ったのではないでしょうか。

今年最初の話題作は間違いなくこの作品でした。

 

 

⑧『SPY×FAMLY』

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:遠藤達哉
出版社:集英社
販売日:2019-07-04

 

 

人に『今、読むとしたら何?』みたいな質問はお仕事柄よく聞かれるんですけど、この言葉に対するアンサーって実は結構難しいよなぁといつも思うんですけど、今年は傑作が多いのでその苦労は少なかったですね。

 

その筆頭がこの『SPY×FAMILY』で大体の人には「うーん、そうですね。色々あるんですけど、“今年の”でって言うなら文句なくこれですね。今年はとりあえずこの作品読んでるって言ってれば間違いないですよ」と、結構な頻度でドヤ顔と共に勧めていました。

 

この“偽りの家族”がいつしか“本当の”家族になっていく過程を共有していくのって現代的で人間のもつ本質的な部分のような気もしています。

そういえばマフィアとかヤクザとかは疑似家族の最たる例ですよね。

 

そして予想通り『マンガ新聞大賞』はじめ、多くの賞レースにノミネートされ受賞もしているようです。

ドヤ顔して勧めていたのが黒歴史にならずに済んでほっと一息ですね。

 

 

⑨『推しが武道館いってくれたら死ぬ』

推しが武道館いってくれたら死ぬ(1) (RYU COMICS)
著者:平尾アウリ
出版社:徳間書店(リュウ・コミックス)
販売日:2016-03-01

 

 

『推し武道』に関しては連載開始が実は2015年なんですよね。

ただ今年は作者の平尾アウリセンセイの原画展が岡山県であったり、2020年1月から同作がアニメ化されたりと、非常に大きな動きがあった年にもなりました。

 

アイドル文化もすっかり定着した感があります。

アイドルがいてそれを応援する人たちがいてそのどちらにもひとりひとりの物語があって、そんな物語を描いた作品ですね。

 

アイドルの寿命は決して長くは有りません。

そんな中でほんのひと時の輝きを放つアイドルという存在に改めて気づかせてくれた作品です。

 

 

⑩『五等分の花嫁』

五等分の花嫁(1) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:春場ねぎ
出版社:講談社
販売日:2017-10-17

 

 

この作品をはじめて目にした時に思ったのは、「あぁ、実に週刊少年マガジンらしいタイトルと物語だな」でした。

今の30代以上の男性マンガ読みに非常に大きな衝撃を与えた作品のひとつに赤松健センセイの作品群があると思っているんですけど、『五等分の花嫁』はまさにその系譜の正当な後継者がついに現れたな、という感じでした。

 

冒頭の『鬼滅の刃』も最近本屋で売り切れが続出しいましたが、今年の春先はこの『五等分の花嫁』という作品が売り切れていました。

 

こんなかわいいキャラクターが原作のみならずアニメで我々を殺しに来たらまいりましたとしか言えませんよね。

先日、あと2巻で完結なんて話題も出ていましたが、その分、今後の展開が余計目を離せなくなってきましたね。

 

番外編『Jドリーム』

Jドリーム 1巻
著者:塀内夏子
出版社:電書バト
販売日:2002-03-12

所謂昔の作品も読み返していてその中からどれをこの番外編として入れようかと結構迷ったんですけど、この作品を今回はチョイスしてみました。

 

この作品が発表された当時の自分は、主人公の鷹よりもっと若くて、若さと才能と夢と希望に満ちた主人公やその周りのキャラクターに感情移入していたんですけど、ある時、ふっと思い返しえて読み直してみたら、今はベテラン勢の方に感情移入しちゃうんですよね。

 

僕は常々「こういう体験ができるようになるから年を重ねることは悪いことばかりじゃないよ」と言ってるんです。

本当に最序盤でベテラン選手が怪我でピッチを去らなくてはいけなくなるシーンには胸が抉られるほどの切なさを改めて感じました。

 

「礎になる」と言っちゃえばカッコいいんでしょうけど、そうじゃない悔しさやエゴも有るにきまってるじゃないですかねぇ。

 

そういう切なさがあるこの作品は他のサッカーマンガとは少し違うテイストがあるので最後にご紹介いたします。

 

2019年というかマンガ新聞でこうやって原稿を書くにあたって、ひとつやろうとしたことがありました。

それは、週一で一本書くです。

ほとんどのレビュアーさんは月一だし、錚々たる顔ぶれです。

僕はそこに早く追いつこうと思いましたし、そのための戦い方の中のひとつがとにかく書くということでした。

 

気づいたら一番書いているレビュアーになってました。

 

今年のレビューはこれで終わりますが、来年も沢山のマンガを多くの人に届けたいと思っています。一周年を向かえたコミックサロン『G.I.F.T.』と共に

来年度もよろしくお願いします!

 

それではみなさん良いお年を!

そして最後に、マンガを愛するすべてのみなさんへ。

 

愛してまーす!