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新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』で味わう、全巻分イッキ見の快楽!

 

 

ここ12年ほど漫画からの舞台化を企画させていただく際、やはり最初に決めるのはSTORYのサイズでした。

 

「この巻のここまでですと区切り的によいかと思いまして」とか

「こういう区切り方ですと次につながっていくイメージが」とか

 

そういった基準で話し合いを行っていました。

 

漫画からの舞台化は業界的にも「~編」とかシリーズ化を意識したような取り組みをみなさんやってらっしゃいまして。

 

ところが。

たまげましたよ。

 

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は”全巻イッキ見せ”という。

それを昼夜あわせて7時間30分かけて一気に見せるというもう覇王的なダイナミズムの企画でして。

 

 

 

 

そんな強烈な企画、絶対に体感しにいくしかないでしょ!というわけでやってきました新橋演舞場。

 

 

 

 

午前1030分に入場開始。

まずは、イヤホンガイドを700円でキープして、お弁当を。

 

 

 

 

もちろん早飯で即食べで。

 

 

 

 

そして、序幕「青き衣の者、金色の野に立つ」11時に開演。

 

※このあたりからネタばれが始まります。

 

 

王蟲とかガンシップとかメーヴェとか。

本当に用意しちゃうんだから、もう本気度が半端ない。

 

また王蟲のサイズ感が本当に再現されている感じの大きさで、実際に向き合ったらこんなかんじなのかぁ~という感動たるや。

公演中に痛めた左ひじの骨折を感じさせないナウシカ役である尾上菊之助様の芝居がこちらにどえらい緊張感をこうもたらしてまして。

さらにさらに神々しいクシャナ役の中村七之助様にいたっては、ばっしばしにオーラ出ちゃってますね。

 

本当にすごい舞台で。

圧倒されていたら、「ええ~!」って思うぐらいしっかりと序盤1時間20分で映画版のSTORYに追いついてしまいました。

 

 

いや、お見事!

 

そしてここからですよ。全巻分イッキ見の醍醐味。

 

二幕目「悪魔の法の復活」1255分から開幕。

 

メディア化されてないゾーンというやつで。

そうなるってぇーと出てくるのは蟲使いなわけで。

原作好きにはごくりとつばをのんじゃう感じですね~。

二幕目で素敵なのは尾上松也様演じるユパ様が水しぶきの中で大立ち回りを。

もうめちゃくちゃ格好いいです。

 

んで、三幕目「白き魔女、血の道を征く」14時から開幕。

 

いよいよ地上戦に向かうナウシカ。

漫画でしか読めなかったあのストーリーがこうして歌舞伎で拝めるなんて想像だにしていなかった。

 

強烈だったのはメーヴェでの宙乗りシーン。

ひじを痛めているにも関わらず、まさかのメーヴェ乗り(両手でささえて両足を後ろに突き出すあのスタイル)をされてまして。

 

メーヴェ乗りになった瞬間、トルメキア兵のように「おおおー!!!」と真後ろの男性客が大きな声を出してました(もちろん会場のお客様すべてが声をあげたのですが)。

 

観客へのサービスといいますか、お芝居への本気度といいますか、もう鳥肌もので。

 

そんな感動の連続の中、1430分ごろ昼の部が終了。

 

興奮もさめやらぬ状態で16時に再び入場。

また、お弁当を即食べで。

 

 

 

 

1630分からの四幕目「大海嘯」は私のおすすめです。

 

イチオシ。

クシャナとクロトワの掛け合いが好きで、まさに映画版では堪能しきれなかったこの組み合わせですが、蟲の大群を前にクシャナが子守唄を聞かせるシーンは神が降臨していたかと。

子守唄のメロディがまた意外なかんじで。

 

そして、1815分の五幕目から大詰までの展開はより歌舞伎色が強くなりつつもきっちりとビッグサイズの巨神兵が出てきたりもう話の作りこみがすごいんです。

 

このあたりは実際に舞台でご覧いただくか2月に企画されているディレイビューイングでお楽しみいただければと思います。

 

そんなこんなで2030分に終演となり会場を後にするころには頭の中が全部ナウシカですよ。

 

やはり全七巻分を一気に見ると「ナウシカ像」が違います。

 

映画では蟲や人を愛する「変わらないナウシカ」が描かれていますが、全七巻分ですと地上戦にも参戦したり、胞子にまみれたり、ヒドラが作った母親の幻想に誘惑されたり、巨神兵の母となったり「変わりゆくナウシカ」を見ることができます。

 

人物像がめちゃくちゃ深くなり、クライマックスではえもいわれぬ気持になりました。

同時にクシャナも「変わらないクシャナ」から「変わりゆくクシャナ」が描かれています。

それを一日でいっぺんに見ることの豪華さたるやもう快楽としかいいようがないです。

 

Netflixのコンテンツなども最近そうですが、長い尺のコンテンツやドラマのイッキ配信などトレンドがそちらに向かいつつある気もしています。

「イッキ見の快楽」とでも申しましょうか。

 

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』はこれだけ豪華なメンバーで、めちゃくちゃ凝った作り込みなので再び見れる機会も少ないかと思いますが、毎年恒例の演目などになっていただけると大変うれしいです。

 

あとイッキ見の快楽としましては、『不思議の海のナディア』歌舞伎もあったら観てみたいと夢想しました。

 

ちなみにグッズですが、テトのぬいぐるみとブローチが売切れでした。

 

 

 

 

よって、テトが裏に入っている湯飲みを買って帰りました。

 

 

 

 

また、夜公演でもイヤホンガイドを使用しました。

台詞は現代語的で聞き取りやすいのですが、設定の説明や歌舞伎の知識がよく分かって大変ありがたかったのでおすすめいたします。

 

さぁて。原作コミックを読んで再び浸ることにいたします。

本当に神がかった舞台でした。