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『鬼滅の刃』を徹底的に楽しむための4つの考察

『鬼滅の刃』が大ヒットしています。

アニメ版のシーズン1の放送で高まっていた人気がさらに沸騰、クールが終了したことで「鬼滅ロス」に陥った人が続出してマンガ版へ流入しているという現象が起こっているそうです。第17巻が売り切れている書店が少なくない、という話もマンガ新聞には届いています。

 

 

お話の面白さはもちろんのこと、『鬼滅の刃』の魅力は「読者の感性に突き刺さるポイントがあちこち散りばめられている」ということでしょう。

 

炭治郎の優しさと勇気と覚悟。禰津子の愛情深さと愛おしさ。個性的で惹きつけられる強き鬼殺隊の面々。鬼の悲しさ。鬼舞辻無惨の圧倒的な強さへの絶望感。

 

『鬼滅の刃』の話なら一晩しゃべり続けられる方は少なくないはずです。だって、誰にでも自分なりの「鬼滅論」があるから。

その「鬼滅の刃論」。

誰かの見方を聞くのもかなり面白いのです。

マンガ新聞では4人のレビュアーがそれぞれの「鬼滅論」を展開しています。

 

①今まで読んでなかったけど、読んだら人生の全てを学んでしまった論(上原梓さん)

②物語の構築とマンガ文法で解説、なぜこれほど魅力的なのか論(ごとう隼平さん)

③吾峠先生の過去作品からルーツを深掘り論(竹谷彰人さん)

④ジャンプっぽくないのにジャンプの王道であるヤバさ論(小林琢磨さん)

 

では、順番に紹介していきますね。

 

①今まで読んでなかったけど、読んだら人生の全てを学んでしまった

主に少女マンガ界隈が得意のレビュアー上原さんは、『鬼滅の刃』を買ったものの、1年10か月も放置していたことを死ぬほど悔やみつつ、読後にとんでもない衝撃を受けました。

 

この作品を未読な方は、絶対に読んで!お願い!すごくいいから読んで!!

 

ほとんど絶叫から始まるレビューは、未読の頃の私と、鬼滅の刃と出会ってしまった私ではもう違うのよ、という人生でのインパクトの瞬間に出くわした感動に打ち震えています。

 

こんなストーリーの『鬼滅の刃』。「週刊少年ジャンプ」の作品ということで、小中高生に超流行しているって聞きます。親御さんにおかれましてはおめでとうございます! この作品に子ども時代にハマるって、本当に良いことですよ!?「マンガなんて……」と眉を潜めずにガンガン読ませてあげてください!
そして、何ならお父さん・お母さんも読みましょう! もう親子でハマっちゃえばいいじゃないの! 反抗期や思春期で会話も少なくなったご家庭が、固い絆で結ばれること間違いなしですよ!

だって、人生の大切なことがだいたい書いてありますから!!!

 

そして人生の教科書と言い切れる理由を3つ挙げています。その3つは少年マンガの王道でありつつも、『鬼滅の刃』だからこそより重要で、引き立てられているテーマなのです。

新鮮な気持ちで読み終えたばかりに執筆されたレビューは、『鬼滅』の感動を素直に伝えてくれます。今すぐ読まなければいけないワケを知ってください!

 

レビュー全文→生きる上で大切なことが全て書いてあった…!名作すぎる『鬼滅の刃』は、もはや人生の教科書!!

 

②物語の構築とマンガ文法で解説、なぜこれほど魅力的なのか

マンガ文法を広め、マンガ作りをもっと楽しいものにしていくための、マンガスクリプトドクター・ごとう隼平さんによる論理的な分析です。『鬼滅の刃』を構成する要素を具体的に他作品と比較し、その特徴を捉えています。「ほほぉ~」「なるほど!」が連発します。一部を引用すると……

 

『ドラゴンボール』にも通じる、実在感のある敵の作り方と、テンポの良さ。

『ドラゴンボール』の特徴は、敵が遥かに格上の強さを持ち、かつ「実在感」があることだと思ってます。これはとても難しく、なぜなら敵を強くするということは、反比例してリアリティが失われがちだからです。

『鬼滅の刃』の敵である鬼も、人間ではおおよそ勝てない遥かに格上として描かれています。その上で本当にそこにいるかのような実在感があり「こんなやつにどう勝てばいいんだ……」と読者に心底からの怯えを与えます。

 

『ワンピース』にも通じる感情の振り幅。

『鬼滅の刃』でも「切なさ」「悲しさ」という要素によって読者の心を揺さぶっているのは間違いありません。しかもこれは、きっと『ワンピース』以上にコンスタントに。ワンピースに迫る理由が分かります。

 

主人公の炭治郎がとても魅力的で、しかしその魅力も一言で説明するのは難しいです。僕はその魅力の要因として、彼の「自分自身の肯定」にヒントがあると思っています。

ジャンプに限らず、これまでの少年漫画のキャラクターは、自分の実力のなさに苦悩し自分自身を責めるタイプが多かったのではないでしょうか。

 

これらが導きだされている理由には説得力しかありません。またレビュー後半では怒涛の「これぞ鬼滅を鬼滅たらしめている理由」が明らかにされています。マンガ分析のプロフェッショナルによる論考は必読です。

 

レビュー全文→『ワンピース』に迫る売れ行きなのに誰も説明できない『鬼滅の刃』の魅力を解説!

 

③吾峠先生の過去作品からルーツを深掘り

4つの読み切り作品を収録した『吾峠呼世晴短編集』。レビュアーの竹谷彰人さんは、明らかに『鬼滅の刃』の下敷きとなっている作品はないなかで、のちに鬼殺隊や炭治郎へとつながっていく面影や空気感を的確に汲み取っています。吾峠呼世晴という作家の思想と感性を紐解く重要な前期作品集に着目する洞察力には唸らせられます。

 

2013年の作品なのですが、この時からすでに『鬼滅の刃』(2016年連載開始)の画風が垣間見え、ファンとしてはたまらない作品です。
連載前の作品を収録した短編集には、そういう系譜を想像できる楽しさがあって素敵です。

 

それぞれ、特殊な力を持った者がなにかと対決するという物語なのですが、
魔法や超人的な身体能力、というよりは、どこか仄暗さのある能力を持った人間が主人公です。
主人公たちの戦うモチベーションも、シンプルな勧善懲悪の正義の心ではなく、それぞれ絶妙なものがあります。

 

しかし、4つの作品を拝読して、ふと思ったことありました。
どの物語にも、「竈門炭治郎」がいないということです。

 

この短編集における炭治郎の不在こそが、のちの炭治郎の創出につながり、『鬼滅の刃』たらしめる要素になっている、としています。

『鬼滅の刃』の仄暗さはなぜなのか。炭治郎がどこまでもまっすぐな人間であるのはなぜなのか。

ぜひじっくりと読んでみてください。

レビュー全文→『吾峠呼世晴短編集』を読んで『鬼滅の刃』をちょっと深堀りしよう!

 

④ジャンプっぽくないのにジャンプ王道であるヤバさ

マンガ出版社ナンバーナイン社長の小林琢磨さんの鋭さは、ジャンプにおける立ち位置から『鬼滅の刃』を俯瞰したことです。そして今までの作品にはなかった「ヤバさ」を的確に抽出しています。

「ヤバいポイント1」として

主人公である炭治郎が本当に今までにないキャラクターなんですよね。ジャンプで、少年漫画で、ここまで自分で自分を鼓舞するキャラクターが今までいたでしょうか?いや、いません!

炭治郎の有名な台詞としては以下があります。

「頑張れ!炭治郎頑張れ!俺は今までよくやってきた!俺はできるやつだ!」すごくない?

でもこの気持ちはすごいよく分かるんですよね。

あきらかに格上の敵と戦う際に、ジャンプの王道である「気合」と「根性」だけでは心もとないです。

「気合」と「根性」に勝利への整合性を付けた新しい技術。

それが「鼓舞」なんです。

 

「鼓舞」! 『鬼滅の刃』を語る上での重要キーワードが導きだされました。

「ポイント2 他とは一味違う独特のセンスがやばい」「ポイント3 ラスボスの無敵感がやばい」と、この作品がいかにヤバいか。なぜヤバいのかが続きます。小林さんのレビューの特徴は読みやすい・わかりやすい・同意しやすい、です。PVも高かったレビューですので要チェックです。

 

レビュー全文→『僕のヒーローアカデミア』『約束のネバーランド』と並ぶジャンプの新3大看板漫画『鬼滅の刃』の謎と人気に迫る!!

 

 

 

さて、いかがだったでしょうか。

終盤を迎えておおいに盛り上がっている『鬼滅の刃』から目が離せません。レビューで見どころをおさえて、より楽しんでください!