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人間は心を清く美しく保てるか?『ハイスクール・オーラバスター アーケイディア』

決して人を恨まず、羨まない。
もしも、それだけでいくらでも願いが叶うとしたら、あなたはそれにチャレンジしますか?

 

そんな「ifの世界」を描いたのが、『ハイスクール・オーラバスター アーケイディア』です。

 

 

平凡な女子高生に迫る謎の占い師

主人公の高倉月穂は普通の女子高生。家はラーメン屋で、放課後は家の手伝いをしている優しい娘です。
そんなある日、月穂は仮面をつけた謎の占い師、フォーチュンと出会います。

彼は言います。
「心を清く穏やかにしていれば、幸運が来る」と。

 

「嘘…!?」本当に願いが叶う少女たち

半信半疑だった月穂ですが、フォーチュンの言うとおりにしたところ、急に色々なことが好転し始めます。

 

ラーメン屋に新しくアルバイトの女性、七瀬冴子が入り、自分の仕事が楽になる。
片想いの男子と急接近する……。

占い師の言うことは本当だった、と顔を輝かせる月穂。

 

一方、町田侑子という女子高生にも、フォーチュンが接近します。
彼女もまた、憧れの幼馴染みと並び立つという望みを叶えようとしていきます。

 

20年経っても人間は進化していない、かも…

人は心を常に正しく、美しく保てるものでしょうか。
1日ならいけるかもしれませんが、1週間、1ヶ月、1年……長くなるごとに、それは辛いものになっていくことでしょう。

 

このマンガが描かれたのは1996年。

まだ携帯電話も普及していなかった頃の話です。それから20数年経過し、ますます平常心を保つのは困難になっています。

 

スマートフォンを持たず、SNSを一切やらなければ、まだ望みはあるかもしれませんが、けっこう多くの人にとって、それはかなり無理に近い話です。都会でも、地方でも、海外でも、それぞれの苦労がありますし。

 

さて、2人の女子高生がどうなったのか。そして占い師ことフォーチュンの正体と真の目的は何なのか。
それはぜひ、マンガで確かめてみてください。

 

原作の小説がいよいよクライマックスです

さて、この作品には原作小説があるのですが、最近新刊が発売されました。

 

 

 

 

この『ハイスクール・オーラバスター』シリーズは小説家、若木未生のデビュー作にして、なんと30年続く学園サイキックアクションシリーズです。
高校生の能力者たちが、人間の弱い心につけ込む「妖の者」と闘う、というのが主なストーリーです。

 

元々は集英社コバルト文庫でしたが、紆余曲折を経て、現在は徳間書店のトクマノベルズからリリースされています(ちなみに挿絵も変わっており、現在の東冬は3代目)。
当初から子供っぽさはなく、人間について深く考えさせられる物語が展開されています。

 

今年は『十二国記』、『創竜伝』、『スレイヤーズ』など90年代から人気のシリーズ物が久し振りに新刊を発売し話題となっていますが、この『ハイスクール・オーラバスター』もその中に名を連ねるものだと思います。

 

今回出た最新刊の、次のエピソードで完結すると約束されていて、学生の頃からのファンとしては感慨もひとしおです。今まで、様々なマンガや小説を読んでいますが、この話以上に「キャラクターが生きている」と思わされる物語はありませんでした。

 

もし、『アーケイディア』で興味を持たれた方は、原作小説へのトライをおすすめします(新作もあらすじがついているので初めての人でも読めます)!

 

1990年代~2010年代の東京の雰囲気や文化を感じることができる『ハイスクール・オーラバスター』シリーズ。ぜひ、
高校生の時の気持ちを思い出しながら読んでみてください。

 

 

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