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『常敗将軍、また敗れる』はビジネス書だと思う件について

ただのファンタジーだと思うなかれ

異世界に言って俺TUEEE!とか、ファンタジー世界で無双するとか、そういったマンガやラノベって人気ですよねー。

 

僕もこのマクラをすでに何回使い回しただろうって思うくらい何度も言ってますが(笑)、異世界モノ・ファンタジーモノがこれだけ多く溢れているからこそ、そんな中に埋もれている良作ってのをちゃんとオススメしたいわけですよ。

 

で、読んでて「これめちゃくちゃオモシロイやん!」ってなったのが今日ご紹介するコチラ。

 

 

北条新九郎・渡辺つよし・伊藤宗一

『常敗将軍、また敗れる』

 

最初に気になったのはやっぱりタイトルですよねー。

一瞬最近流行りの『○○さんは○○だ』的な作品かなと思って、でも表紙見たら結構濃い目イケメンの顔がドーン!なんで、もしかしたらシュールっぽいギャグマンガかしら?なんて思いつつ読み始めたんですけど、めちゃくちゃ面白くてあっという間に読み切っちゃったんですよ。

 

世界観的にはわかりやすいファンタジー世界で、国どうしが戦争してる乱世的なところなんですけど、危機的状況にある、とある国軍に招聘されたのが『常敗将軍』という侮蔑的な二つ名を持つドゥ・ダーカス。

 

当然そんな男が将軍として腕を振るうわけだから、配下からは「やる前から負け勝負だ」だの「もう勝つ気がない諦められた軍」だの的なボヤキが止まらないわけで。

 

ただ、読んでるこっちとしては『常敗』って酷い侮蔑をされながら実は「戦いに負けて勝負に勝つ」的な策士とかじゃないの?なんて想像するんだけど、実際にダーカスは作戦を進言しても上には聞いてもらえない、無茶な指示ばっかり受ける、実際白兵戦とか負ける、と、「実はTUEEE」なんてことが全然ない(笑)。

 

なんだけど、だからこそ彼の生き様のカッコよさに気付けた時のカタルシスはホントに気持ちいいんですよ。

 

彼の最大のモットーは『生き延びること』。

 

しかもただ陰に隠れて逃げ回るとか、卑怯な手管などを駆使して誤魔化すとか、そうやって生き延びるんではなくて、将軍として部下の命を守り、与えられた役割がたとえもうすでに敗北必至のような戦場ばかりだったとしても、20以上のそんな戦争で確かに生き延びてみせるその姿は、作品内で彼に心酔する仲間が出てくるように、僕の心にもまばゆく輝いて見えたんです。

 

 

世の中ってだいたいこんな環境じゃない?

そして、僕がホントにこの作品を勧めたい理由は、これって人間社会を生き延びようともがいてる人に本当に刺さるビジネス書なんじゃないかと思うからなんですよね。

 

社会で働いてると、もしかしたら学生さんたちも、いろんな場でだいたい常に上と下や横同士の板挟みになって、100%思い通りにできることなんかないし、理不尽な環境に置かれてできる選択肢も限られてる。

でも、それでも生き延びなきゃいけないっていう状況がほとんどじゃないですか?

 

『常勝無敗』だの『無双』だのがこんなに流行る理由だって、みんな実際は『常敗』な環境に悔しい思いをしたり歯がゆくて逃げ出したいと思ってるからですよね?

 

だからこそ、僕らがその姿を見習うべきなのは『常敗将軍』、彼の敗れ様と、それでも確かに生き延びて、人の心を掴んで強く生き続けているその姿なんじゃないですかね。

 

そんな気持ちにさせてくれて、僕の考え方も少し変えるきっかけになったこの作品、ちょっと一回読んでみませんか?

 

 

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常敗将軍、また敗れる 1 (HJコミックス)
著者:北条新九郎
出版社:ホビージャパン
販売日:2019-05-27

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