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双子の家庭が社会から排除されていく『れんげ*たんぽぽ』が指摘する家庭と仕事の両立の困難性
れんげ*たんぽぽ 1
著者:広田奈都美
出版社:秋田書店
販売日:2013-11-08

 

この50年で2倍の割合なった双子。

学年で1組いた。知り合いに双子を育てている友人がいる。双子や双子の親でなくても、なんとなく生活空間で見たことのある双子。 

 

実は、私も三男四男が双子です。三人目の子どもを授かり、あるとき妊婦健診に行ったパートナーから来た一通のLINE。 

 

「大変!」 

「どうしたの?」 

双子だって!! 

 

その瞬間から、僕の人生に「双子」というキーワードと子どもが生まれました。しかし、子どもがひとりでもなかなかシンドイときもあるのに、同時に二人が生まれてくるタフな環境は、当初想像したよりもずっと難しいものでした。 

 

『れんげ*たんぽぽ』は、紺野家の双子姉妹、れんげとたんぽぽ、そしてパパとママを通して、双子家庭から社会から排除されていくプロセスと環境を指摘しながら、家族の奮闘や周囲の理解、仲間の存在によって、家庭と仕事の両立に臨む姿を描き出します。 

 

始まりの時点で双子は4歳、バリバリキャリアを積み上げてきた紺野理恵は、仕事に没頭した母親のもとで過ごした寂しい気持ちを双子にはさせまいと、キャリアを一度諦め、子育て一本に絞ります。 

 

しかし、少しずつ仕事もしたい気持ちが沸き上がり、復職を決意、これまでの能力と経験を活かしながら社内で力を発揮し始めます。 

 

しかし、双子のどちらか、または、どちらもが発熱をすれば仕事にならず(父親は多忙で子育てノータッチ)、仕事にリソースを注ごうとしても、子育てを効率化(ハック)することもうまくできない。 

 

双子は、そんな母親を慮って、熱があっても大丈夫なふりをしたりもしますが、それがまた母親を追い詰めていきます(父親はほとんど子育てにコミットしない)。 

 

同じ会社で働く父親が仕事でしくじり、その時間を双子にあてるようになったからといって、すべてが好転するわけもありません。

社内の同僚からは早く帰ること、仕事に穴をあけることなど、双子の子育てが理由であっても、やっかみや直接の不平不満をぶつけてきます。 

 

対照的な存在として、キャリアを優先し、子育てを最大限効率化する友人の存在は、彼女に迷いと、ときに劣等感を抱かせますが、その友人もまた本当に自分の選択が正しいのか迷ってもいます。 

 

そんななかで、保育士からは子どもより仕事が大切なのかと突き付けられ、仕事はうまくいかず、会社にいづらくなったことから退職し、スーパーのパートになるも、その経歴や言動からパート仲間に排除される結果に。 

 

これは何も双子だから特別に起こっていることではないでしょう。

少なからず子育てや介護など、仕事に100%の時間を使うことができないひとにとって、疎外感や排除されている感覚はあるのではないでしょうか。 

 

先日、双子・多胎家庭のアンケートが回ってきました。

私も双子のパパとしてアンケートに回答し、また、双子家庭が集うコミュニティでも話題になりました。これからアンケート結果が社会に出されていくことになると思いますが、既にNHKでは取り上げられています。 

 

コラム 双子や3つ子の育児 アンケートでわかった“悲痛な声”|NHK NEWS WEB  

 

なぜここまで追い詰められるのでしょうか。アンケートの中で、「つらい」と感じた場面を複数回答で聞いたところ、「外出・移動が困難である」が88%、「自分の時間が取れない」が81%、「自身の睡眠不足・体調不良」が79%とほとんどの人がすべてに該当すると答えました。 さらに、「気持ちがふさぎ込んだり落ち込んだり、子どもに対してネガティブな感情を持ったことはあるか?あったか?」と聞いたところ、93%が「ある」、もしくは「あった」と答えました。 (NHK NEWS WEBより抜粋

 

双子を育てることの負担に加え、仕事もしたい、キャリアも大切にしたいと望むひとたちにとって、いまの社会は子育てしやすいとは言えません。

『れんげ*たんぽぽ』は、0歳から3歳までの乳幼児期を終え、少しだけ楽になったときに思う、仕事への渇望からスタートします。 

 

3歳までが大変、4歳からは楽になるというのは双子家庭でも比較的共通しています。ただ、それは、子どもを育てるなかで意思疎通がより深くできるようになったり、自分でこぼさず食事ができたり、おむつが取れたりするというものです。

仕事をするとなればまた違った負担がのしかかります。 

 

先日、私の三男四男の双子も4歳になりました。

長かったような、大変だったような記憶も曖昧となり、どうやってそれを乗り切ったのか。どんな助けをもらったのか。そういうことが薄れてきています。

しかし、これから相対的に増えると言われている双子、双子を授かった家庭が同じようなつらさや子育てのしづらさを通る必要はありません。 

 

そう思い、いま、双子を授かってから3歳くらいまでについての書籍を作ろうとしています。

資金はクラウドファンディングの仕組みを使って集めたいと考えています。双子のこと、双子家庭のことをもっと多くのひとに知っていただき、双子を授かったときに感じた「どうしよう」という漠然とした不安を「こうしていけばいいのか!」と少しでも思ってもらえるようにしたいのです。 

 

こちらにその想いを綴っていますので、ぜひ、一読いただけましたら幸いです。 

 

▶ 双子妊娠がわかったときに読む最初の一冊を作りたい!|GoodMorning(グッドモーニング)   

 

双子妊娠がわかったとき、喜びよりも、「これからどうしよう……」と不安しかありませんでした。あのとき欲していたのは「こうしていけば大丈夫そうだ!」という情報でした。これから双子を妊娠、出産、育てていく仲間に向けて、この社会に双子家庭のための一冊を残したい。すべての双子家庭が幸せでいられますように。

 

 

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