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中年オヤジと金髪幼女の自堕落生活!?ダメダメすぎる年の差コンビに未来はあるのか?『俺たちの日常は始まったばかりだ』
レビュー執筆者:たまごまご

 

自堕落コメディ『俺たちの日常は始まったばかりだ』

 

中年男性と金髪幼女との日々は堕落するばかり

 

シチュエーションコメディの達人・氷川へきる先生の新作は「おじさんの元に金髪幼女がやってくる」という、大好物な人が多いであろう年の差もの。

 

少女が純粋であればあるほど、大人の側の不甲斐なさがあぶり出されるジャンル。そのやりきれない日々をコミカルに描いている作品だ。

 

マンガ家、生駒エイジ。以前は作品がヒットしてアニメ化までしたものの、最近はボツ続きで心が折れてしまい、全然描けない。彼がゴミステーションで見つけたのは、金髪の幼女。年齢はおそらく10歳くらい。正式名はわからないが、エイジはロビンと呼んでいる。

 

ロビンはアニメ・マンガ・ゲームが大好きなギークっ子。エイジの家に飾られた数多のオタクアイテムに惹かれて、彼の家に通うようになる。

 

ゲームやおもちゃで遊ぶ彼女の面倒を見る、と見せかけて次第に一緒に遊ぶようになるエイジ。学校に通っていないロビンとの日々は、昼間からだらけっぱなし。心底ダメな日々が始まる。

 

エイジのダメ人間化によって、浄化作用が起きているのがこの作品の繊細な部分だ。1人きりでボツ続きの時は、ひたすら精神を摩耗するばかりで、気が滅入っていたエイジ。極度の人間現不信だったようだ。

 

ロビンと日々を送り、だらけ始めたエイジを見て、友人の村雨は「いい意味でダメ人間になりました」と語る。

 

「ロビンさんのおかげです これからも生駒さんのことよろしくおねがいしますね」。

 

ここまでいい話風になっても、「ム…ムリだ…」と至極真っ当な発言をするロビン。脱力感のある展開が、氷川へきる作品の味のひとつ。シリアスなシーンが出てくる度に、ことごとくしょんぼりした状況が訪れる。

 

「頑張る」「頑張らない」や「創れる」「創れない」の二極化で語れない中年男性のモヤモヤが、ロビンという非日常な少女を挟むことで表現された。確かにエイジとロビンの生活はとことんダメだ。しかし引きこもり2人がだらける様子は、そこそこ楽しそう。

 

ここで一念発起してマンガを……という振り切った展開にはならないけれども、それでいいのでは? とすら感じる。

 

「~は始まったばかりだ」という文言は、打ち切りマンガで使われる単語としてミーム化している。悪い意味の文章だ。

 

打ち切られ作家のエイジの窮状そのものだが、同時に文字通り「始まり」としての意味合いも感じられる。ロビンと会ったことで、ダメな「俺たちの日常」は間違いなく始まった。

 

ここがスタートなら、極端な成功はなくても、そこそこに上向きに日々になる可能性は十分ある。

 

ロビンが何者なのかほとんど触れられていないところはかなり気になる。物語のキモになる部分だろうから、とりあえずそれは一旦忘れて、今は2人のしょうもない堕落生活を見守り、楽しみたい。

 

 

俺たちの日常は始まったばかりだ(1) (モーニング KC)
著者:氷川 へきる
出版社:講談社
販売日:2019-09-20

 

 

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