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「友だちなんて信じられない!」そんなあなたが救われる傑作SF『寄生獣』

どうもマンガ好きのみなさん、こんにちは!
conote inc. CMO(チーフ・マンガ・オフィサー)のやまだです(@kun1aki)。

 

『寄生獣』

 

寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス)
著者:岩明 均
出版社:講談社

 

 

歴史に残りますよね、これ。
最高のSF作品といってしまってもいいんじゃないでしょうか?

この世に存在してくれてほんとありがたいです。
(ありがたやありがたや)

 

 

さて、この『寄生獣』。多くの方が読まれていると思うので、内容については簡単にこの程度で。

 

ある時、ふと発生した謎の生物が、人間の脳に寄生し、人間になりすましながら「この種を食い殺せ。」を実行していく。そんな状況のなか、シンイチの右手に誤って寄生したミギー。
シンイチとミギーは、この世界で何をしていくのか。

 

みたいな。(かなりの要約ですw

ちなみにミギーのキャラデザイン、かわいいですよねw

 

中2の心に突き刺さりまくった一冊

僕がこの作品に出会ったのは、中学2年生。
この頃はちょうど、小学生の頃から続けていたサッカースクールを、先輩に嫌われて辞めたときでした。
先輩に嫌われるってどういうことかと言うと、今まで仲良かった同級生もちょっとずつ距離おいて来るってことなんですよね。

 

これ、なかなかの衝撃でして、「あれ、あんなに仲良かったのに?」と。

むしろ、僕この頃まで「仲いい」「仲悪い」なんてことを意識したことさえなかったんですよね。みんな普通というか。フラットというか。

ただ、話しかけた時にそっけないとか、周りにいた人が少しずつ少なくなってくるとか。

 

知識としては知っていたんですが、

 

「ああ、これがいわゆる『いじめ』か……」

 

と、学校帰りに気付いたときは、チャリに乗りながら泣きましたね。

悲しいと言うよりも、不甲斐ないとか、理不尽とかそういう気持ちが大きかったのを今でも覚えています。

 

その頃から、教室の右の一番うしろの席でいつも窓の外を眺めながら、

 

「友情ってなんだろう?」

「こんな苦しい思いをするなら友達なんていらなくね?」

 

みたいなことを考えていました。

 

そんな時に、

 

シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は やはり人間だと思うぞ……

 

この言葉を目にしました。

 

……衝撃でした。

どこかで僕も同じように考えていたのかもしれません。
人間は、悪魔だと……。

……それが書いてあったのが、『寄生獣』でした。

 

人間の汚さ、愚かさ、理不尽さなどを描いて、今の僕を慰めてくれるマンガなのではないか?

 

そんなふうに期待して手にとった『寄生獣』。
しかし、このマンガにも僕は裏切られることになります。

 

裏切られた先にあったものとは?

ミギーは、自分の生命を最優先します。

自分が死なないように、危険には近づかないし、不必要なものは切り捨てる。
自分を守るために、異心同体のシンイチも傷つけることも。

 

ただ、途中からそれだと上手く行かないことを理解してくる。

 

シンイチが傷つくとパフォーマンスが下がり、自分の生存確率が下がるから、シンイチの体を保護する。
また、シンイチが凹むと、狙いが果たせないからメンタルケアもする。

 

だけどこれらは全部、あくまで自分のためです。

 

しかし、ラストの展開で……

最後に、ミギーは自分のためには全然ならないのに、シンイチのための行動をします。

 

あれだけ「自分の命が最優先」だって言ってたのに。

 

僕は、そのミギーとシンイチとの関係は「友達」そのものだなって思いました。

 

ミギーは、はじめは自分のためだけにシンイチと接してきたけど、その中で何かが生まれて、ふたりは友達になった。

 

そしてこう思ったのです。

利己から始まった行動だし、異なる種族でさえ「友情」が生まれるんだったら、僕はもう一度「友達」を信じてもいいんじゃないか。

 

そんなふうに思えるようになって、僕は、そして僕の人生は、『寄生獣』に救われたんだと思います。

 

人を一緒に呪ってくれる存在を探していったら、もう一度「友達」を信じられるきっかけがもらえるとは思っていませんでした。

 

これはあくまで僕の中学の頃のお話です。

だけど、僕が未だに根っこの部分で「友達」や「友情」を信じていられるのは、『寄生獣』のおかげだと思っています。

 

これを読んでくださった人が大人でも、子供でも、「友達なんて!」と今思っているのであれば、一度『寄生獣』を読んでみてください。

 

僕の部屋には、なにもないけど、今でもミギーだけは置いてあります。

 

(撮影:僕)

 

……おあとがよろしいようで。

 

 

 

寄生獣(1) (アフタヌーンコミックス)
著者:岩明均
出版社:講談社
販売日:2012-09-28