TOP > 社会 > 熱くて泣ける。名探偵コナンや金田一少年の事件簿とは一味違う探偵!?マンガ『格闘探偵団』(全5巻)

熱くて泣ける。名探偵コナンや金田一少年の事件簿とは一味違う探偵!?マンガ『格闘探偵団』(全5巻)

書店で働いているからこそ書店では購入できないマンガをここでは紹介したい

 

普段、私は書店の店頭で働いています。

 

実は会社でのメインの仕事は他にあるのですが本を売るための仕事についているのに「お客様である読者を知る機会を失いたくない」というのと「自分のワークバランスの基盤を崩したくない」という思いから、書店での仕事を続けているのです。

 

そんな書店員の仕事には品出しや展開、発注などの実務的な事の他に「お客様との会話をしながら作品のオススメを行う」という仕事があります。

 

これが非常に楽しく、また売れる本の情報収集に非常に役立つのです。

 

店頭の棚を案内しながら、その方にあった作品をあれこれ伝えて行く。

その場で反応を見たり、また前回の作品の感想も聞けたりするため、話せば話すほどお客様にあった作品がオススメできるようになります。

 

そのなかで、「どんな方がどんな作品を好むのか」が事実としてわかるため、店頭の品揃えや展開、また全国レベルでのヒットにつながる情報もそこに多く隠れていたりします。

 

また、会話でオススメを伝えて行くので、トライ・アンド・エラーがその場で何度もできる。

 

本の業界で働く方にとってこれは非常に羨ましいことですよね。

 

そんなオススメをしている中でたまにこんな事を思うことがあります……。

 

電子でしか読めないあの作品をオススメしたら上手くハマるのに…

最近は部数が少なく、発売後すぐに店頭入荷が出来なくなり、電子書籍でしか買えなくなってしまう事、そもそも電子書籍でしか発売されないケースも多く「本当はお客様にお勧めしたいのに」「店頭で仕掛けたらヒットする本なのに!!」と思う事も多くなってきました。

 

これ、とてももったいない事なんです。

 

実は同様のパターンは文庫でも感じていました。

「この作品、今、店頭で仕掛けたら爆発するのにすでに絶版になってしまっている」

 

これに関しては、まず二千部を1店舗限定で、装丁などを今に合った形に自らプロデュースして販売をする「文庫プロデュース」という企画で山田正紀さん著『人喰いの時代』で実施。

1年後には全国へと広がり10万部を超えるヒットへと繋がりました。

 

その後もこの企画は現在まで定期的に行い、松尾由美さん著『九月の恋と出会うまで』など復刊から映画化される作品なども生まれ、全体で300万部を超える企画となりました。

 

この実例もあり、やり方次第で眠っている作品がヒット作へとつながる手ごたえは非常に感じています。

 

 

 

マンガに関してはまだ明確に眠っている作品をヒットへと導く方法を私は持っていません。

 

しかし、このマンガ新聞にはその可能性があるかもしれないと感じています。

まずは店頭では紙の本が入手困難などで、オススメすることがなかなか出来ないが、電子などでは買える作品の中からこのマンガ新聞で紹介する。

そして、どこの本屋にも置かれているヒット作になることを目標に「これぞ!」というものを紹介させていただきたいと思っています。

 

誰が読んでも感動する小林まことの大傑作『格闘探偵団』

格闘探偵団(1) (イブニングKC)
著者:小林 まこと
出版社:講談社

 

 

そんな私が紹介する1作目は今『JJM 女子柔道部物語』が話題の小林まこと先生の『格闘探偵団』です。

 

『格闘探偵団』は2004年の作品なのですが1970年代から続く大ヒット作『1,2の三四郎』「1,2の三四郎2」に続く三四郎の物語、3作目として描かれた作品です。

 

『1・2の三四郎』の話は、飲みの場などでもよくするのですが、2までは読んでいる、知っている人が多いのですが、意外に『格闘探偵団』関しては知らない人が多い印象です。

 

『1・2の三四郎』では高校生時代~プロレスラーとしての活躍までが描かれます。

『1・2の三四郎2』ではその後、まさかの団体消滅からファミレス店長となり、そしてプロレスラーとして返り咲くまでを。

 

そして今回ご紹介する『格闘探偵団』へとつながるわけなのです。

ですが……なぜか三四郎は物語スタート時点から、今度は探偵になっていたりします。本当に波乱万丈な人生です。

 

そして私がこの作品をオススメしたい理由は格闘探偵団の第4巻、第5巻に渡って描かれている「走れタッ君」というエピソードです。

 

 

格闘探偵団(4) (イブニングKC)
著者:小林 まこと
出版社:講談社

 

 

「親殺し」「自閉症問題」……小林まことがタブーといわれる問題にマンガで切り込んだ『三四郎』の物語の最高傑作。

 

子供が誘拐されたと焦る母親のシーンからこの物語は始まります。

装丁のデザインからもわかる通り、まるで昔ながらの日本映画のようなコマ割りで緊迫感が伝わってくるこのシーンは、今までの小林まこと作品とは一味違う雰囲気を読者に伝えてくるのです。

 

そこから三四郎らしい色々な勘違いやドタバタが始まります。

誘拐犯、誘拐された自閉症の男の子とともに行動し、警察から逃走することになってしまった三四郎。

三四郎と犯人は自閉症児のタッ君に振り回されて手を焼くうちに、二人とも親にも似た感情を抱いていきます。

 

次第に心を許していく逃走犯。

ある夜、彼は自分が逃走をするきっかけになった、母親を殺めてしまった日のことを三四郎に話し始めるのです。

 

感動させようと狙って描かれた作品じゃない

感動を狙ったお涙作品では決してない――それなのに、それでも涙が止まらないラストには本物のカッコよさが描かれている。

 

三四郎と、親殺しの重さに悔やむ犯人、そしてタッ君の三人の短くて奇跡のような日常の先にある物語の終わりは、三四郎がこの二人と行動を共にする理由となったあれこれの伏線回収の先にあります。

 

この回収自体も普通のマンガだったら「伏線に驚愕!」とか書いててしまうようなレベルなのですが、この『格闘探偵団』に関して言えば、そこは放っておいて、感情のままに作品を楽しんで欲しいのです。

 

三四郎と犯人、タッ君、それぞれがそれぞれを思い、取った行動。

そして何よりも、強くて圧倒的にカッコイイ三四郎の生きざまを楽しんでください。

 

きっと、その結末であなたの目に涙が浮かんでいるでしょう。

 

 

『格闘探偵団』はすでに紙の本では買えない作品になってしまっております。

しかし、本当に後世に残すべき大傑作だと思うのです。

 

『三四郎』シリーズや『格闘探偵団』第1巻~3巻を読んでいなくても、「走れ!タッ君」のお話が完結している『格闘探偵団』第4巻・第5巻を、まずはぜひ読んでみてください。

 

今の時代にこのマンガが教えてくれる事はとても必要な事だと私は思っています。

 

 

1・2の三四郎 1 (KCスペシャル)
著者:小林 まこと
出版社:講談社