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生きるのが辛い?ドン底の気分の時は『女子高生の無駄遣い』を読んでモヤモヤした悩みを吹き飛ばせ!
レビュー執筆者:miyamo

 

ギャグ漫画『女子高生の無駄遣い』

 

本日のピックアップは、今夏アニメ化の出来が上々で改めて注目された『女子高生の無駄づかい』

 

 

 

 

2014年に「ニコニコ静画」のユーザー投稿作として発表されたのち、翌2015年にリメイク商業版が「Comicwalker」で連載開始して「ニコニコエース」へ移籍、さらに現在は「コミックNewtype」で配信が行われているという、Web発・Web育ちの好例となる作品だ。

 

じゃあさっそく、“女子無駄”のイカしたメンバーを紹介するぜ!

 

他人に対する遠慮を母胎に置き忘れて生まれた女! 行動力100%と思考力ゼロ%を兼ね備える問題児「バカ」

 

常識人ポジに見せかけて脳内はBLとボカロでキメっキメ! マンガを描くとどうしても人間の膝が直線になる「オタ」

 

菌の培養にすべてをかけるクールガール! チャームポイントは感情が死んだ目と無表情! そこに心はあるのかい「ロボ」

 

グレたふりでは隠せぬ甘えんぼオーラ! たった一人のおばあちゃんになつく、身体は子供・頭脳も子供! その名は「ロリ」

 

“ヤツら”からセカイを守ってくれ! 右腕の包帯を外すと何かが起きる!? 高1だけど中二病の「ヤマイ」

 

これはストーカーではない、あこがれの彼女に近づくためのデータ主義なのだ! 空回り優等生「マジメ」

 

……という具合に、ミもフタもないあだ名のついた女子高生たちがそれぞれの強烈な個性にしたがい好き勝手に、何かをしているような何もしていないような無駄な時間を過ごすありさまをとらえた学園日常コメディになっている。

 

バカがバカな言動をやらかしては周囲の人間が容赦ない反応を返す図はどれもテンポよく、何度も読み返したくなる切れ味だ。

 

例えばロリの登場初期を見てみよう。ロリは、身体つきがあどけないのを気にしている外見ロリ美少女という設定。そんな彼女にバカがススス……っと無言で肩をつきだし、何事かと思わせてから『風の●のナ●シカ』のナウ●カの肩に上がるマスコット小動物のイメージを添えて

 

「乗るかな? って…」
「乗らねえよ!!」

 

と怒らせるくだりがなんとも秀逸。小さいのを気にしている、とロリ本人が言うだけならそれはフラットな設定紹介だが、いったんバカのボケを経由して動きと感情がノることで、コントとして活き活きしてくるわけだ(「バカのボケ」って別に悪い意味はないのになんだかすごい罵倒みたいになっちゃいますね……)。

 

キャラ単体によりかからず、キャラとキャラのかけあいの中に造形を浮かび上がらせるのは基本中の基本ではあるが、基本ゆえにおろそかにされやすい部分でもある。そこが上手い本作にはある種の頼もしさすら感じる。

 

そして、そういうコントを通して描かれる少女たちの残念な日常の過ごしようを追いかけていくと味わえる、不思議な解放感。これは何か……というとタイトルの「無駄づかい」が答えだろう。

 

貴重な青春、一生に一度の若い日々。その価値を持ち上げるのはいいが、人間は決して正しさだとか意味のあることだとか、役に立つことのためだけに生きられるわけではない。必ずどこかにエネルギーや時間の「無駄づかい」が潜んでいる。

 

思い出に残るかも怪しく、「当時は無駄だと思えたけど将来意外な形で役に立って~」みたいな人生訓にすらならない、本っ当にただその瞬間だけの純粋な浪費、真の無駄というものがあるのだ。むしろ、大抵そっちのほうが比重は大きかろう。

 

でもそういうもんだし、それでもいい。貴重な時間を無駄につぶすのは、それはそれで貴重な時間の使い道のひとつだよねえ、と気楽になれるマンガである。

 

「…金曜日に寝て…… 起きたら 月曜だった」

 

それもまた青春だ。

 

 

女子高生の無駄づかい (1) (カドカワコミックス・エース)
著者:ビーノ
出版社:KADOKAWA/角川書店
販売日:2016-04-07

 

 

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