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面会した死刑囚は一見みんな普通の人達?!彼らが語るのは...『マンガ「獄中面会物語」』

とかく人というのは業が深い。

 

「見るな」と言われれば見たくなり、「やるな」と言われればやりたくなる。

 

知らなくてもいい事が多い世の中だからこそ、知らなくてもいい事を知りたがる。

 

今回ご紹介する作品は、そんな人の業に迫る作品です。

 

本作は原作の片岡健氏が上梓された『平成監獄面会記』をベースにしたコミカライズ。作画をしているのは『野原ひろし 昼メシの流儀』の塚原洋一センセイ。

 

本作で語られるのは世間を騒がせた犯罪者たちの物語。
逮捕され死刑が確定した受刑者たちに直接面会をした上で、片岡健氏の主観を元に語られています。

 

マンガ「獄中面会物語」 (カルトコミックス)
著者:塚原 洋一
出版社:笠倉出版社
販売日:2019-08-22

本作に登場する受刑者は以下の7人。

 

◆小泉毅(面会場所・東京拘置所)
元厚生事務次官宅連続襲撃事件(平成20年)――「愛犬の仇討ち」で3人殺傷

 

◆植松聖(面会場所・横浜拘置支所)
相模原知的障害者施設殺傷事件(平成28年)――19人殺害は戦後最悪の記録

 

◆高柳和也(面会場所・大阪拘置所)
兵庫2女性バラバラ殺害事件(平成17年)――警察の不手際も大問題に

 

◆藤城康孝(面会場所・大阪拘置所)
加古川7人殺害事件(平成16年)――両隣の2家族を深夜に襲撃

 

◆千葉祐太郎(面会場所・仙台拘置支所)
石巻3人殺傷事件(平成22年)――裁判員裁判で初めて少年に死刑判決

 

◆筧千佐子(面会場所・京都拘置所)
関西連続青酸殺人事件(平成19~25年)――小説「後妻業」との酷似が話題に

 

◆上田美由紀(面会場所・松江刑務所)
鳥取連続不審死事件(平成16~21年)――太った女の周辺で6男性が次々に……

 

 

いずれも世間では“凶悪犯罪者”としてワイドショーや新聞紙面を賑わせた人物ばかり、比較的近年の事件なのでみなさんもその名前や事件を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

 

この作品を読んで恐らくみんなが驚くであろうところは、そういった報道とのイメージの格差ではないかと思います。

 

例えば最初の登場人物、小泉穀受刑者ですが犯行直後に報道されたのは、当時問題になっていた年金記録問題によるテロとしての犯行ではないかということでした。

しかし、実際は小泉受刑者の過去の心の傷が原因だったのです。

 

©2019 KASAKURA

 

 

石巻3人殺傷事件の受刑者である千葉祐太郎受刑者は犯行当時18歳。

まだまだ世の中を広く知れたのにと思わずにはいられません。自身の知見を広げれば事件はひょっとしたら起こらなかったかもとさえ思います。

 

 

©2019 KASAKURA

 

 

日々流れるニュースはその時にはくどいほど聞かされるものですが、聞かなくなった瞬間から記憶からどんどん薄れていきます。

あの事件もこの事件も確かに僕らは憤っていたはずなのだけど、気が付くと日々の生活に流されて忘れてしまっています。

 

でも事件の被害者や遺族たちにとっては事件後も粛々と人生は続いていくのです。

この作品で語ることで、犯人を許せとかそういったことではありません。

 

経緯はともかく凶悪犯罪を起こし、社会不安を巻き起こしたことは変えられない事実で、またその動機や理由も理解できるものではありません。

 

じゃあなんでお前はこの作品のことをレビューしてんだ? と言われれば、物事っていうのは片側だけでなくいろんな見方があるっていうことを考えてもらいたかったからです。

 

事実は一面だけではなく色んな面を持っています。

分からないまでも理解をしようとすることが今の時代には必要なのではないでしょうか?

 

忘れないためにはみんなで語り合うことも大事!

当店コミックサロン『G.I.F.T.』ではマンガのこともなんでも議論OK! 岡山で熱く語ってみませんか?

 

 

マンガ「獄中面会物語」 (カルトコミックス)
著者:塚原 洋一
出版社:笠倉出版社
販売日:2019-08-22

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