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【漫画 温故知新④】なつぞら 時代の「漫画原作アニメ」石ノ森章太郎『レインボー戦隊』

メディアミックスはアニメ草創期から存在していた

今でこそ「メディアミックス」などという言葉がはやりだが、実は日本アニメーション創世記はそれが当たり前だった、と知っている人は少ない。

『鉄腕アトム』や『鉄人28号』の大成功に続けと、多くのTV局やアニメーション会社が参入し、アニメーション前提で漫画の連載が始まるといった、いわゆるメディアミックスが盛んに行われた。

 

『宇宙少年ソラン』『スーパージェッター』などは、アニメ化がまず決まり、それから雑誌連載が開始されたのだ。

石ノ森章太郎先生、藤子不二雄先生が在籍していたアニメーション会社「スタジオ・ゼロ」にも企画が持ち込まれた、と今はもう絶版になっている昭和54年版復刻本に執筆秘話が記されている。

絶版を惜しんでいたところに『石ノ森章太郎 デジタル大全 レインボー戦隊』が2013年に電子書籍として発行されているのを知った。

 

 

 

 

人生を決めるほどの衝撃が走る

石ノ森先生に依頼があり、そして制作されたのが少年マガジンでの連載漫画『レインボー戦隊』だった。

残念ながら、漫画はあまり人気が出ずに打ち切られてしまったそうだが、アニメのほうは『レインボー戦隊ロビン』として1966年4月から放映された。

この『レインボー戦隊ロビン』は、わたしがハマり、今でいう二次創作を行った初めてのアニメであり、さらにSFにどっぷり浸かるきっかっけになった作品なのだ。

当然、原作である『レインボー戦隊』にますます惹かれていった。

 

 

アニメの原作となった漫画『レインボー戦隊』のあらすじはこうだ。

舞台は近未来。居住星を失う運命のパルタ星人は移住先として地球に侵攻する。

スパイとなって送り込まれた博士は地球人の女性と恋に落ち、地球を救おうと決意するが、裏切り者としてパルタ星からの追っ手に捕まり、妻とともにパルタ星へ連れ戻されてしまう。

残された乳飲み子を育てたのは、博士が作ったロボットたちだった。

そして少年は成長し、ロボットたちとともにパルタ星からの侵略を防ぐために立ち上がる……。

 

そう、あの1940年代にアメリカで執筆された壮大なスケールの長編作品・スペースオペラの大作『キャプテン・フューチャー』シリーズを、石ノ森先生はオマージュしたのだ。

 

両親を悪人に殺された主人公・キャプテン・フューチャーは「怪力ロボットのグレッグ」「変身能力のあるアンドロイドのオットー」、それに「脳だけになった父親の親友サイモン」の3人の仲間と、月にある秘密研究所で過ごす。やがて、地球の平和を守るため数々の悪と対決し、事件を解決していくようになる宇宙冒険譚。

 

しかし、『キャプテン・フューチャー』はわずか3作品を除いて日本の読者の前に姿を現さなかった。

つまり、わたしのような知識欲旺盛な年頃である年少ファンはSF渇望状態だったわけだ。

 

 

『サイボーグ009』とは切っても切れない作品

レインボー戦隊にハマった理由ひとつは『キャプテン・フューチャー』日本版であったことだ。

『レインボー戦隊』の怪力ロボットの「ベンケイ」はほぼ『キャプテン・フューチャー』のキャラ「グレッグ」をなぞっている。

グレッグがノイローゼになってしまう『キャプテン・フューチャー』番外編「鉄の神経お許しを」という短編は、ほぼそのままの話でアニメシリーズ第38話「ハッスルベンケイ」に使われている。

 

こう書くと「パクリか」と騒ぐ人もいるかもしれないが、これは脚本家がいかにSF好きだったか、『レインボー戦隊』に『キャプテン・フューチャー』の姿を見ていたか、の現れと理解している。

 

それに加え、『レインボー戦隊』はキャラ設定が非常に良かった。

登場人物であるロボットたちはそれぞれ特殊能力を持ち、キャラクターの個性も際だっていた。

 

 

それには石ノ森先生の大傑作『サイボーグ009』(1964年発表。『レインボー戦隊』執筆の前年)の世界観が投影されていると思われる。

わたしが持っている絶版の紙版のなかで、「サイボーグ009のような話を宇宙で展開したかった」とおっしゃっている。

 

 

 

 

渇望したSFファンを満たすだけの興奮があった

あの時代、創元推理文庫や早川書房から発刊されるSFはわずかだった。海外SFに餓えたファンたちがどれほどいたか。どれほど質の高いSFを待望していたか。

1970年に『キャプテン・フューチャー』シリーズ全作が出版されるまで、その渇望を満たすものはなかった。

そうした枯渇に染み渡るように登場したのが『レインボー戦隊』だったのだ。

 

『レインボー戦隊』は子供向けで必ずしも高等なSFではなかったかもしれないが、送り手の意識は高く、SFのバックボーンは非常に骨太だったのだ。

 

 

レインボー戦隊 (石ノ森章太郎デジタル大全)
著者:風田朗(石ノ森章太郎)
出版社:講談社
販売日:2014-04-25

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