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『はじめの一歩』125巻を一気読みしたら今後の展開が見えてきた

キーワードは“One more Time(もう一度)”

 

日本人にとって“ボクシング”は身近のようで遠いスポーツのひとつ。

『世界戦』クラスの闘いはTVで中継もあって盛り上がるけれど、普段の日本人選手同士の戦いは驚くくらい知られていなかったりするものです。

 

ボクシングマンガもこの世には数多くあるけれど、誰でも知っている作品といえば『あしたのジョー』と『はじめの一歩』ではないでしょうか?

 

 

 

さて、ちょっとどうかしちゃってる件は置いといて、この一週間くらいかけて『はじめの一歩』を既刊125巻まで買って読みました。

 

もちろん作品の事は知っていたし、全部とは言わないまでもほぼ読んでたこともあります。今回久々に全巻読み返してみました。

 

『はじめの一歩』は気弱な少年・幕ノ内一歩がボクシングと出逢い「強さとはなにか?」を追い求め、仲間やライバルたちと切磋琢磨して成長していく物語です。

 

かつていじめられっ子だった一歩はいつしか驚異のKO率と豪打から“風神”なんてニックネームを付けられて日本王座のみならず、東洋太平洋圏の王者たちとも死闘を繰り広げ、「世界王座」を狙えるところまでのボクサーとして成長を遂げました。

 

愚直なまでの一直線のファイトスタイルとどんでん返しのKO劇はどんな試合でも、会場に熱を生み、視るものを熱く感動させてきました。

 

しかし,

そんな一歩にある疑惑が発覚します。

それは「パンチドランカー症状」疑惑。

 

パンチドランカーは現在では「慢性外傷性脳症(CTE)」と呼ばれている疾患で、もともと症例が確認されたのがボクサーであることからその名が付きそして他競技より発症率が高いことが確認されています。

 

「疑惑」はあったものの異常なしとの診断を受けた末に臨んだ再起戦で敗戦。

 

試合後の検査でも異常は認められなかったが、試合前から決めていたこととして一歩は「引退」という道を選択します。

 

この展開はインターネットを中心にバッシングや議論を巻き起こしましたが、改めて全巻通して読み返して見ると、実はこの流れは結構前から示唆されていたりします。

 

そもそも一歩のファイトスタイルは避けたりすかしたりといった距離を取って戦うようなスタイルではなく、相手の懐に飛び込んで接近戦を仕掛けるスタンスです。

そのため相手のパンチを多く受けてしまいがちで、撃ち合いになることもしばしばでした。

 

そして現役を退いた一歩は現在は家業でもある釣り船屋をしながら、セコンドとして所属ジムの手伝いをしています。

 

格闘技ではよくあるお話ですが、一度現役を退いてもカムバックすることが可能です。作中では一歩が初めて敗北を喫した伊達英二や同ジムの先輩である木村達也もカムバック組です。

 

現実でも井岡一翔やメイウェザー、辰吉丈一郎など引退から復帰した例は少なくありません。

 

さて一歩に目を戻すと、現状で一歩のステータスは実はまだバンチドランカー“疑惑”です。これはつまりどういうことかというとただひとりとして一歩に「君はパンチドランカー」だと断言した人がいないということです。

 

そして一歩は現時点で年齢が25歳なのです。

実はこの作品連載開始の時点から作中では約8年しか経過してません。

加えて一歩自身は復帰を名言していませんが引退後の生活中もジムでトレーニングをしていたり、新たに自身を慕ってジムに入ってきた後輩のトレーナーをしたりしています。

 

何より連載開始から30年。作中では8年間。

どうしても果たさないといけない“約束”がまだ果たされていません。

 

つまり、作中で描かれているシュチエーションがたったひとつの答えに向けて

動いているのです。

 

もちろんこの先がどうなるかは作者のみぞ知ることだし、全部憶測に過ぎません。

でもこれだけ長い間紡いできた物語の答えはやっぱりひとつしかないと思うのです。

 

みんなが思い描く「ワン・モア・タイム」へはもう少しかかるけれど

その時は近づいてきています。

 

 

 

さて余談になりますが、ボクシングという競技の選手寿命は実に短いものです。

ほとんどの選手は30歳を前にその世界から去っていきますし、多くのボクサーは現役生活を「プロ」の肩書を持って過ごしながらも、副業を持ちながら生活しているのが現状です。

 

作中でも語られているとおり、デビュー直後の4回戦選手に与えられるファイトマネーは一試合5万円(現実でも6万円が最低レベル)。

国内チャンピオンで人気選手においても100万円程度が一試合における最高値だと言われています。

 

しかも現役中は他の競技(所謂総合格闘技やプロレス)との掛け持ちも禁止されていますし、ジム側も決して経営が盤石ということはありません。

 

恐らく作者の森川センセイもこういった事情を憂慮して、そんな閉塞感に異議を唱えたいのかもしれません。

 

マンガ好きは買って勧めるのが応援の仕方ですが、ボクシングに関してもチケットを買って応援しに行くことが一番の応援の仕方だと思います。

 

そして僕の運営するお店、コミックッサロン『G.I.F.T.』もそんな頑張っている人たちを応援するお店です。岡山駅から徒歩15分、駅前発車のめぐりんバスで100円でたどりつけちゃうお店で頑張るあなたをお待ちしています!