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人類には、あだち充があればそれでいい。『MIX』社長戦記Ⅳ

記憶を思い起こすとたぶん最初に心を撃ち抜かれたのは少年ビッグで連載していた『みゆき』だったと思う。


『みゆき』1981年発売

妹の方のみゆきがいわゆる“手ブラ”の状態で描かれていて少年ビッグの表紙を飾っていた。(ほぼ裸なので表紙のほとんどが肌色)

当時の私は小学生で明らかに早すぎた思春期に可笑しな覚醒を与えてくれたのはあだち充だった。

それから『タッチ』が始まった。


『タッチ』1981年発売

『みゆき』に比べてもテーマがよく分からず野球なのかボクシングなのかラブコメなのか、もやもやしている中で上杉和也が死んだ。

心から衝撃を受けた。

作中の南のように泣いた。

後に作品名がバトンタッチという意味合い(主役交代)から『タッチ』ということに更なる衝撃を覚えた。


その後もあだち充はずっと我々のそばにいた。 『ラフ』『虹色とうがらし』『スローステップ』『H2』、それが水泳だろうとSFだろうとまた野球だろうとそこには変わらないあだち充がいた。

気がつくともう40年以上経っていた。

さすがに“もうあだち充は読めないんじゃあないか?”とか“世の中だって大きく変わってきているしあの作風もさすがにもう無理だろ?少しは変わったかな?”なんてことを思いながら最新作『MIX』を最新刊15巻まで一気に読んだ。

なんにも変わっていなかった。

今もあだち充はここにいた。

野球×ラブコメ これまでにもあだち充自身の手で何度となく描いてきた鉄板テーマであるのと同時にさすがに個人的にも読者にも飽きられるのでは?という杞憂は一瞬で吹き飛んだ。

あだち充健在。

ムフ♡健在。

一気に青春だったあの頃の記憶が濁流のように押し寄せる。

ガードもへったくれもあったもんじゃあない。

少しくらいは“こっちだってあの頃とは違って大人になってるわけだし、今読んでもさすがに何も感じることはないかもな”なんて思っていた自分が恥ずかしい。

少年時代となんら変わらずベッドの上で身悶えしながら一気に読んだ。

あー、たまらん。

おかげでこっちは丸裸だよ、心が。

逆になんでこんなにも変わらずにい続けられるのかわからない。

ちょいちょい作中に入るメタ表現?(作者自身がひょっこり登場したりして『タッチ』全◯巻発売中!なんてセコイ宣伝入れてくる)もいまだに健在。

なんも変わっとらん、あだち充。

しかし抜群に面白い。

その面白さの完成度に敬服する。

こりゃいつの時代の子供にも必要なわけだ、あだち充が。

いや、大人にも必要だ。

あだち充はあの頃となにも変わらずにここにいる。

久しぶりに『MIX』であだち充と再会してその大切さを思い出させてもらいました。

人類には、あだち充があればそれでいい。
 
という事でテレビアニメも順調な『MIX』はゲッサンで好評連載中です。

少年少女だったあの頃をいとも簡単に思い出させてくれますよ。 あだち充が。

いつ読んでも面白いなぁ。



MIX(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:あだち充
出版社:小学館
販売日:2013-08-05

余談ですが。よくあだち充作品は“みんな顔が同じ”とか言われますがそれも健在です。

あだち充自身のインタビューでも言われてる事ですが、氏の描くキャラクターはデザインも造形も含めていつも同じです。

これは色んなドラマを同じ役者を使ってキャスティングしているような物なので、そーゆーものだと思って読んだ方がいいです。

ご存知の通りそれで面白さが損なわれることはありませんから。

作風というより芸風ですね。あだち充はそれでいい。

みゆき(1)
著者:あだち充
出版社:小学館
販売日:2018-07-13
タッチ 完全復刻版(1) (少年サンデーコミックス)
著者:あだち充
出版社:小学館
販売日:2018-07-13