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大英博物館マンガ展で出会い「思わず買った!」マンガタイトル紹介します

大英博物館で開催のマンガ展、遠くイギリスでの開催だったけど、日本からえんやこらと向かう価値があった。

 

少女マンガ研究家みたいなことを名乗っているので、さすがに展示されている少女マンガ……『ポーの一族』『風と木の詩』『ちはやふる』『かくかくしかじか』などは既読だったけれど、この会場で出会った未知なる作品も多かった。

 

日本人が、わざわざイギリスまで行ってマンガに出会って帰ってくるとは……

なんなの、情報の逆輸入?

 

とはいえ、やはりそれほどこの展示会はよく調査されていて、あらゆるジャンルを網羅していたのだな、と思う。

ここでは、展示されていた作品の中から、印象に残ったものをあげていきたい。

大英博物館でのステキなマンガ作品との出会いを、ほんの少しだけお裾分けしましょう。

 

 

 

 

ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクトで作者の荒木飛呂彦に直接オファーがあり、応募したという作品。展示によると「めちゃくちゃ人気作品『ジョジョ』シリーズのキャラクターによる作品」とのことで、なんとフルカラー。

展示されてたのはルーヴルに着いた岸辺露伴が「どおぉぉぉん!」ってなってるシーン。ホントにルーヴルの地下には秘密があるんだ、『ダ・ヴィンチコード』もそんな感じだったし!

寝る前に読んだら、まんま夢に出てきた。

 

 

二匹目の金魚
著者:panpanya
出版社:白泉社

 

 

pixiv出身の作家も登場。展示によると、キャラクターを鉛筆で、背景をボールペンでそれぞれ別紙に描き、デジタルで合成させていると言い、「未来のマンガ家に多様な技術を提供している」と絶賛している。

 

子どもの頃、近所を冒険して知らない道や店を発見した、あのワクワク感が蘇る。日常の中に不思議を見つける、ぼうけんの物語。こういうワクワクする気持ちって、大人になっても忘れたくないな。

 

 

戦争と一人の女
著者:坂口 安吾
出版社:青林工藝舎
販売日:2012-11-30

 

 

展示会場中央に設置されていた図書館コーナーで見つけた本。「新しい作品との出会いの場にしたい」というキュレーターの意図にまんまと引っかかって、出会ってしまった。

 

戦争マンガというと、反骨精神に溢れた主人公の物語とか、貧乏、ひもじい、言論の不自由、いばった憲兵などなどが登場するけれど、この作品は既存の「戦争物語」とはまったく異なる。戦後すぐに出版されるも、GHQの検閲に引っかかってあれこれ削除されたという曰く付きの作品コミカライズだ。

近藤ようこさんは、時代物をモチーフにして、人間の欲や罪を淡々と描いていて、大好きな作家。

『美しの首』『五色の舟』も、テーマがずしりと重く、よい。

 

 

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)
無料試し読み
著者:中村 光
出版社:講談社
販売日:2008-01-23

 

 

20198月、日本では『表現の不自由展』の作品撤去問題で話題持ちきりである。宮台真司さんが言うには、あの展示会の問題点は「エロ・グロ」表現がなく、特定の政治的価値に沿う作品ばかりである(朝日新聞デジタル)とのことだし、知り合いのアカデミックマンによると、おしっこにキリスト像を沈めた「ピス・クライスト」も展示するべきだったとかなんとか。

 

で、思い出したのが、この『聖☆おにいさん』の大英博物館展示。仏教とキリスト教をミックスさせてギャグマンガにしちゃおうって、少しでも宗教に対して敬虔な気持ちがあったらやりにくいはず。日本じゃなきゃ生まれない発想ではないかしら。キュレーターのニコルさんに「キリスト教国でこれを展示することで何か問題はあったか」と聞いてみたら、今のところ何もないのだとか。イギリスの宗教事情は、他の国とは少し異なると思うけど、なかなか寛容だな、と思う。

英訳タイトルは「Saint Young Men」。
なるほど。

 

 

ギガタウン 漫符図譜
著者:こうの史代
出版社:朝日新聞出版
販売日:2018-01-19

 

 

展示会場冒頭に拡大したページがいくつもあり、マンガの読み方を教えてくれていた。汗、顔に三本線、湯気などなど……マンガの作法って、読み慣れていると特に深く考えないけれど、ひとつひとつ振り返ってみると改めて「なるほど」と思う。会場でしみじみ頷きながら展示に見入ってしまった。ニコルさん曰く「ぜひ英訳して欲しいマンガ」。

 

 

 

 

お恥ずかしながら、読んだことがなかった。なにしろ「少女マンガ」研究家、なので、男性向けマンガには弱いのだ。知識欲、動物愛、人情、スリル、グルメ、新選組と、ヒットのタネがこれでもかと詰まっている作品。だけど、なにより読んでいて気持ちがいいのが、アシリパさんである。男性向けマンガにありがちな「聖女風」でも「謎の小悪魔風」でもなく、女が読んでも違和感がないところが、ものすごくいい。

 

 

うずまき (ビッグコミックススペシャル)
著者:伊藤 潤二
出版社:小学館
販売日:2010-08-30

 

 

伊藤潤二さんの作品はいきなり『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』を読むという大ジャンプをしてしまったので、これが初めて読む同作家のホラーとなった。
会場では、樽に渦巻きがぐるぐる詰め込まれてるシーンが展示されていた。なんかめっちゃ怖かった。

本編も、生理的な怖さと、コミカルなところが混じって、やっぱり怖かった。夜トイレに行けなくなりそうだ。巻きウ●コも怖い。うずまきこわい。

 

 

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