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やっぱりひとりが一番いい!?現代の幸福と閉塞感を描いた新世代の音楽マンガ『バジーノイズ』

「若者のクルマ離れ」

「若者のテレビ離れ」

「若者の恋愛離れ」

たくさんの「若者の○○離れ」という言葉を、メディアで目にします。

 

 

景気のいい時代に青春時代を過ごした大人たちにとって、今の若者の生活はあまりにも簡素でつまらないもののように映っているのでしょうか。

 

もちろん、「若者の○○離れじゃなくて、お金の若者離れだ!」とか、「お金があったら○○したいよ!」という意見もありますが、24歳の筆者にとっても、同世代の若者たちが離れていった数々の○○に、それほど魅力を感じません。

 

クルマがなくても電車で移動できれば十分だし、運命の人と駆け落ちするようなヒリヒリする恋愛よりも、平凡でつつましい恋愛のほうが憧れます。

 

今回ご紹介する『バジーノイズ』は、様々なものから離れていった若者たちの願いや悩みが「これでもか」とつまっています。

ギラギラしたストーリーのマンガに共感できない若者のみなさんや、イマドキの若者が何を考えているのかわからないという大人のみなさんにおすすめの1冊です。

 

 

多くを望まない主人公と、才能ある表現者に憧れるヒロイン

住み込みでマンションの管理人をしている〈清澄〉は、大の音楽好き。

音楽があれば、それ以外のものは必要ないと考えています。

管理人の雑務を終えると、ベッドと作曲用のPCなど、わずかなものしか置かれていない質素な部屋で、ひとり細々と演奏や作曲を楽しむ日々。

 

仕事も、部屋も、音楽を味わうための最低限がクリアできていれば問題ないのです。しがらみの多さを嫌い、「音楽での成功」も望んでいません。

 

©むつき潤 / 小学館

 

 

そんな〈清澄〉が唯一言葉を交わすのが、マンションの住民〈潮〉。

部屋から漏れて聴こえる〈清澄〉の音楽を、気に入っています。

 

 

©むつき潤 / 小学館

 

 

彼女は「表現できる人」に憧れ、バンドマンの彼氏と交際していました。

ところが、バンドマンの彼氏にとっては遊びの関係であったことが発覚。〈潮〉は〈清澄〉の部屋を訪ねて「あの音楽で癒してほしい」と懇願します。

 

そこから、〈清澄〉のシンプルな日々は大きく変わっていくのです。

 

 

人付き合いはわずらわしい。それでも、一歩踏み超えた先には…

©むつき潤 / 小学館

 

 

人との付き合いを避けてきた〈清澄〉の壁を、〈潮〉は容赦なくぶち破って、踏み込んできます。さらには、ひとりで楽しんでいる〈清澄〉の音楽を、なかば強引に世間に広めようと画策し始めます。

 

 

 

©むつき潤 / 小学館

 

 

はじめのうちは〈潮〉の態度をわずらわしく思い、ますます壁をつくる〈清澄〉でしたが、自分の音楽が人に伝わる喜び、人と音楽を共有する楽しみを味わい、次第に考えを改めていくのです。

 

 

 

©むつき潤 / 小学館

 

 

「ひとりがいい」というクールな態度に潜む、人付き合いへの恐れや踏み越えてきて欲しいという密かな願望……。

絵柄も相まって、一見地味な物語にも思われる『バジーノイズ』ですが、様々な○○から離れた私にとっては、胸倉をつかまれたような熱い作品に感じられました。

 

また、Spotifyには、公式プレイリストも公開されているので、音楽を聴きながら作品を読むと、より一層楽しめますよ!

 

♪コヤマの勝手にテーマソング♪

星野源-POP VIRUS

バジーノイズ (1) (ビッグコミックス)
著者:むつき 潤
出版社:小学館
販売日:2018-09-12

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