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この奇跡を逃せば二度と見られない?!大英博物館「マンガ展」に今行くべき3つの理由(~8/26)

 

すべてを見終わったときに感じました。

このレベルの展示を、このような名誉ある場所で生きているうちにまた見ることができるのだろうかと。

 

 

展示のひとつひとつから感じられる、マンガとマンガ文化に対する愛とリスペクト。

そして、それをみんなに知ってほしい、理解してもらいたいというまっすぐな思い。

さらに、マンガをより身近なものと思ってもらうための工夫。

 

どれもすばらしい展示でした。

ここに来て本当に良かったと思いました。

 

それぞれの展示を夢中になって見ていたぼくは、時間が経つことさえ忘れて、その空間の「愛」に包まれていました。

ここは、マンガをとても大切に思っている人なら来たほうがいい。

 

今回は、とにかくマンガに対する深い愛を持つあなたが、イギリスの大英博物館に行ったほうがいい理由を3つご紹介します。

 

 

①超大御所作家たちの原画が一度に見られる!

最近、東京を中心にいろんな場所でマンガ家さんの原画展が開かれるようになりましたね。

 

ぼくもそういう情報を得るたびに、平日の夜や休日の昼間などによく足を運んでいます。

だいたい入場料は2000円~3000円でしょうか。会場によってばらばらですが、確かそれくらいの金額だったと思います。

 

しかし、この大英博物館では、手塚治虫さんや赤塚不二夫さん、大友克洋さん、さいとう・たかをさんにちばてつやさん、萩尾望都さんといったレジェンドな超大御所作家たちの原画が一同に集結しています。

 

 

 

『鉄腕アトム』 手塚治虫

 

 

 

『ウナギイヌの最期』 赤塚不二夫

 

 

 

『さよならにっぽん』表紙  大友克洋

 

 

 

『ゴルゴ13』 さいとう・たかを

 

 

 

『ポーの一族』  萩尾望都

 

 

 

そのほかに、『ONE PIECE』(ワンピース)や『NARUTO-ナルト-』、『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』に『美少女戦士セーラームーン』、『名探偵コナン』や『進撃の巨人』などの超人気作品の原画も一緒に展示されているのです。

こんなすごい先生方の展示にも関わらず、入場料は19.5ポンド。日本円で換算すると2500円~2700円くらい

 

 

 

『ONE PIECE』 尾田栄一郎

 

 

 

『NARUTO-ナルト-』  岸本斉史

 

 

 

『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』 鳥山明

 

 

 

『美少女戦士セーラームーン』 武内直子

 

 

 

『名探偵コナン』 青山剛昌

 

 

 

『進撃の巨人』 諌山創

 

 

 

個人的に感動したのは、あの『あしたのジョー』の「燃え尽きたぜ……まっしろにな」で有名なシーンの原画が見られたこと

ああ、これがあの有名なシーンの原画なんだ!と食い入るように見つめておりました。

 

 

 

『あしたのジョー』 高森朝雄(原作)・ちばてつや(作画)

 

 

 

しかも、ほかにも思わず手に汗にぎってしまうような名シーンの数々が、原画として同じ場所に集まっている。

 

そしてそれらを同じ場所で見比べることができる贅沢を、どうすれば実現させられるというのでしょうか。

 

さらに、出版社の垣根をまたいでです。

 

今回の出展はおもに集英社、小学館、講談社の3社の作品が中心となっていましたが、日本で同じことをやるのは簡単ではないように思います。

おそらく、大英博物館だからという理由で特別に許されたのでしょう。

こんな奇跡を目の当たりにしないのは、あまりにももったいなさすぎます。

 

大御所たちの原稿からは、それぞれが得意とするペン使いや線の特徴などを間近に見ることができて、とても参考になります。

 

その場でノートを取り出して、絵を見ながらペンをメモ帳に走らせている人もいました。一生懸命絵を描いているようでした。

 

それくらい、マンガが好きで、マンガを描いている人ならばなおさら得られるものが多い展示だったと感じます。

入場料はさほどかからないにも関わらず、名作同士を見比べて、その技術を理解する場として優れた展示だと思います。

 

 

②ここでしか見られない原画・絵がある

日本で多く原画展が開かれるようになったとしても、すべての人気作家が開いてくれるわけではありません。

また、実力がありファンもついているが、原画展を実施できるかわからない作家だと、原画展をやるのにあと何年かかるか分かりません。

 

そんな作家さんたちの原画やオリジナル画も、現地には飾ってあります。

 

個人的に注目したのは、『SLAM DUNK』の井上雄彦さん、『BLUE GIANT』の石塚真一さん、『ちはやふる』の末次由紀さん、ホラーマンガの伊藤潤二さんです。

 

 

『BLUE GIANT』 石塚真一

 

 

 

『ちはやふる』 末次由紀

 

 

 

『うずまき』 伊藤潤二

 

 

※井上雄彦さんの原画は撮影NGにつき、画像はありません。すみません……!

 

 

みんな、日本だとまず原画を目にすることは難しい先生方だと思います。

その方々の原画を観られる機会は、はたして今後日本であるのでしょうか。

あったとしても、何年後になるでしょうか。もしかしたら、原画を見られる機会がここが最初で最後という先生もいるかもしれません。

とにかく、そんなレアなものがいっぱい集まっているのです。

 

さらには、今回のために井上雄彦さんが特別に描き下ろした3枚の絵

メイキング映像も隣に展示してあったのですが、もう圧巻としか言いようがありません。

 

さすが井上先生。

 

緻密で繊細なタッチながら、大胆で迫力と存在感のある絵になっています。

ネタバレを避けるために詳しくは言いませんが、題材的にも井上さんの良さが出ていて素晴らしいと思いました。これはぜひ会場に行って自分の目でその感動を確かめてほしいです。

 

会場には撮影禁止でしたが『リアル』や『バガボンド』の原画も飾ってありました。井上さんの絵が好きな方はきっと満足できると思います。

 

 

③外国での「マンガの見られ方」がわかる

この展示の特徴として、マンガとマンガ文化に対する説明がとても丁寧になされていることがあげられます。

 

マンガの起源にまつわる歴史から、コマ割りについて、そしてマンガの読み方やスクリーントーン、筆やペンについてまでも、ひとつひとつ丁寧な説明が展示の横になされています。

 

そして、手塚治虫さんが登場する以前と以後での違い、マンガが日本の文化に与えた影響やその多様性まで、楽しみながらも改めて発見があるような形になっていました。

 

また、日本特有のオノマトペについての展示もあり、展示ブースの一角にある読書コーナーでは、日本語版と海外版を見比べながら読むこともできました。

 

 

展示も素晴らしかったのですが、自分が個人的に面白かったのは、この読書コーナーでの光景です。

 

老若男女問わず様々な人たちがマンガを手に取り、子供たちは床に座り込んで、決して明るく読みやすい空間とは言えないなかで、手に取ったマンガを食い入るように読んでいました。

 

そして、本来なら館内を見守るはずの係員さんまでも、立ちながらマンガを夢中で読んでいたりして、ちょっと笑ってしまいました。

 

日本のマンガに夢中になってしまうのは、日本人だけじゃないことを実感した瞬間でした。

 

 

薄暗いなかマンガを夢中で読んでる人たち。

国籍もさまざまでした。

 

 

また、『聖☆おにいさん』の展示を観ていた白人の男性と女性のやり取りも面白かったです。男性が『聖☆おにいさん』の設定の説明をしていて、イエスとブッダがルームシェアしていることを話すと、女性がとても驚いた表情していて、その表情に思わず「ですよねー」と共感してしまいました。

 

 

『聖☆おにいさん』 中村光

 

 

キリスト教徒の多いイギリスでは、自分たちの神様が外国でほかの神様と暮らしているなんて知ったら、そりゃ驚くと思います。

そんなやりとりも含めて、とても興味深い展示でした。

 

 

最後に:今回の展示の意義

大英博物館という世界的に認められた場所で今回の展示を行ったことは、とても有意義なことだったと思います。

日本のマンガというコンテンツが持つ力をアピールすることに貢献したと思いますし、ここからまた世界各国でマンガの展示をやっていくうえでの良い事例ができたことでしょう。

 

おそらく、現にいま大英博物館のマンガ展は事前予約をしないとなかなか入りにくい状況が続いていますので、こういったマンガの展示は他国でも展開されていくと思います。

 

こうやってマンガというものが、国境や人種を超えて、世界中の人たちを結びつけるものになりうる。

そして、そのことを証明し続けることが、ある種の世界平和を生んでくれるはずだと、ひとりのマンガ好きとして願っています。

 

 

いかがでしたでしょうか。

大英博物館に行ってみたいと思われたでしょうか。

もしそう思ってくださったならうれしいです。

 

たしかにイギリスは遠いです。お金もかかります。気軽な気持ちでは行けないところです。

しかし、行ってみれば必ず「来てよかった!」という感動が必ずあります。

再度お伝えいたしますが、大英博物館でこのようなマンガの展示が行われるのは、次はいつか分かりません。

もうないかもしれません。

 

そんな一生に一度かもしれないこのチャンス、もし行ける時間とお金を生み出せるのであれば、勇気を出して飛び込んでみるのはいかがでしょうか。

 

 

ちなみに、もしこのマンガ展に行くのでしたら、以下のリンクからチケットの予約をすることをおすすめします。

当日券は本当に入手しづらいそうなので、イベントが終了する8/26までの間にぜひ予約してみてください。

すばらしい体験があなたを待っていますよ。

 

■大英博物館「マンガ展」チケット販売

https://www.britishmuseum.org/whats_on/exhibitions/manga.aspx

 

 

 

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著者:赤塚不二夫
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