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生まれた時期が悪かった? 未完の大器『AKABOSHI-異聞水滸伝- 』(全3巻)を振り返る。

  

もったいないなあ、と思う作品がある。

 

マンガ雑誌という紙媒体掲載じゃなければ。

週刊連載、という形式を選んでいなければ。

 

いや、そもそも、この世に出てくる時期を間違えたのかも……。

 

今回ご紹介する『AKABOSHI-異聞水滸伝- 』は連載終了から10年経った今でも、続かなかったことが残念でならない作品。

 

AKABOSHI―異聞水滸伝― 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:天野洋一
出版社:集英社
販売日:2017-10-01

  

結局揃わなかった一〇八星

 

少年ジャンプで連載されていた『AKABOSHI-異聞水滸伝- 』

副題にある通り、『水滸伝』を題材にしたバトル(ファンタジー)漫画だ。

 

ときは中国・宋の時代(日本でいうと平安時代後期あたり)。

腐敗した王朝・宋を打ち倒すために、宋江(そうこう)は中国全土から同志を募る。

 

“替天行道”(天に替わって道を行う)を合い言葉に、悲しみのない平和な社会を目指し、最終的に集まったメンバーは、108人。

物語が進んでいくごとに、次から次へと現れ、ぶっ飛んだ一騎当千ぶりで読者の心をわしづかみにする、痛快物語だ。

 

本作は“全員主人公状態”の原典をアレンジ。

“替天行道”がグループ名になり、メンバーも経理・医者・薬剤師・商人など、様々な役割を担うことで、より現実的な組織に様変わり。

 

そして108人の中から主人公に抜擢されたのは戴宗(たいそう)。

「ザ・俺様」な横柄さとは裏腹に、乱れた世の中に対する怒りを秘めた、ひねくれヒーローだ。

 

そして、彼に助けられ、その行動に振り回されながらも、世の中を良くするために立ち上がるヒロイン・金翠蓮(きんすいれん)。

彼女の成長物語としても、読み応え抜群の展開が第一話から続いていく。

 

二人は革命組織「替天行道」からのミッションを遂行していきながら絆を深め、仲間を増やしながら、革命成就に向けて走り続ける!

 

のはずなのだが……

 

結局全三巻で連載終了。108人の1/3程度しか登場しなかった……。

(厳密には後ろ姿までを含めると、半分近くは出てきた、かな?)

 

物語は、「替天行道」が拠点と定めた梁山泊を、戴宗達が死闘の末に奪取。

戦いの中で戴宗が戦う理由が明らかになり、彼に宿る“星の力”がついに発動。

(“星の力”が人から人へ受け継がれていく、という設定にワクワクしたなあ)

 

  • 主人公達のパワーアップフラグ
  • 強大なラスボス出現

 

バトル漫画に欠かせない、熱い条件が揃った。

 

いよいよ宋との全面闘争の幕が上がった、はずだったのだ。

これから、これから、という時だったのに……!

 

ちなみに最終巻のラストには、未掲載のエピソードが予告編風に掲載されており、それだけ見るとあと10巻以上いけそうなボリューム。

しかも、おもしろそうな話ばかり。これがまた、無念を誘う。

(そのエピソードを経ても、108人全員揃ってない……)

 

その高すぎるポテンシャルを惜しんでか、今でも読み直してしまう作品。

きっと今なら、アプリコンテンツとして、細く長く続いていけるんじゃないかなあ。

 

 

 

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