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絶体絶命のピンチ!味方だった家臣が姫を襲うコメディ漫画『女騎士「姫には死んでいただきます。」』
レビュー執筆者:miyamo

 

ファンタジーコメディ漫画『女騎士「姫には死んでいただきます。」』

 

本日のピックアップはこちら。自作ゲーム投稿コミュニティサービス「RPGアツマール」の人気作『女騎士「姫には死んでいただきます。」』、そのマンガ版である。

 

洋風ファンタジー世界のとある一国に、魔王が送り込んだオークの大軍勢により陥落寸前のお城があった。

 

血と女に餓えた魔物の群れに取り囲まれ、城内に立てこもったお姫様と女騎士団は絶体絶命。お姫様は騎士たちが最後まで主君や仲間のために戦い抜いてくれるものと期待したが、さにあらず。

 

騎士団長はこのままオークどもに捕まって“くっころ”な目にあったら恥である……と思い詰め、「いさぎよく自ら命を絶つ!」と宣言。さらにはお姫様まで辱めを受ければ王家の歴史に傷がつくという理由から、主君もろともの集団自決を勝手に決定してしまう。

 

「姫には死んでいただきます」

 

たまらないのは、生きのびる気満々だったお姫様だ。こんなところで死ねるか! と全力ダッシュで逃げ出すも、いさぎよく散ろうと決めこんだ女騎士たちはそれを許さず、武器をふりまわし追いかけてくる。かくして極限状況のお城の中を舞台に、敵がひしめく外へ脱出するため味方からの襲撃をかわす理不尽な鬼ごっこ&かくれんぼが始まる……。

 

お城は階層・通路・部屋の配置で立体的なステージとなり、その箱庭的な限定空間をあちこち隠密で移動してゴールを目指すシチュエーションにまずワクワクできる。その上、いわゆるセーブポイントが作品内にそのまま登場するのが本作の持ち味を生んでいる。

 

脱出ルートを探っては騎士たちとエンカウントして殺され、セーブ時点からやりなおして対策を練り……という“死に覚えゲー”をループで楽しむプレイ感覚がそのままマンガで味わえるのだ。

 

さらに、全13話のクライマックスには事態を解決するための重要な選択肢が読者に向けて用意され、当時「ニコニコ漫画」で投票によりどちらを選ぶか決定するという企画がおこなわれた。現在発売中の単行本(全2巻)ではWeb配信版と共に、別分岐のエンディングも描き下ろしで収録されている。

 

こうした趣向によって本作は、単に原作ゲームのキャラクターやストーリーを描き起こすに留まらず、元がゲームであるという事それ自体までうまくマンガの形に流し込んでいるわけだ。

 

本作を読んでいて、とにかく私は生きるぞ! と動き続けるお姫様を理屈抜きに応援できる理由は何だろう。それはたぶん、私たちがゲームをプレイする際の前提となる「とにかくやるぞ」という当たり前ながら不可欠なモチベーションの再現になっているからだ。

 

そういう意味において、これは本当に良く“ゲームをコミカライズした”作品といえるだろう。

 

 

 

 

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