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ギャルでビッチ妹は記憶喪失。え?記憶が戻らないほうが皆が幸せ?妹よ!一体何をやった⁉『シックス ハーフ』 【全11巻】

『シックス ハーフ』(作:池谷理香子)は、ビッチでギャルで記憶をなくした〈菊川詩織〉が、湘南の風を感じつつ、過去と今の感情の狭間とをさまよい、〈愛・過去・自分〉を探しだし、取り戻す。そんな物語なのです。

 

 

あぁ~ギャルでさえヒヤヒヤものなのに、ビッチかぁ…… 

妹がビッチ。

……リアル妹がいる兄の身としては、生きた心地のしないパワーワードです。

すでに設定が過酷すぎて、これがリアルならメンタル即死ですが、幸いにしてこれは漫画。 

記憶が戻らないほうが皆が幸せという現実を主人公と共に睨みつけ、同じ目線になって真実に迫りまっていきませんか!?

 

 

あらすじ 

バイクで事故った菊川詩織(高2)は、ある日目覚めると記憶を失っていた!! しかも、記憶喪失前の自分は”ヤリマン”だの”ビッチ”だの、学校では良くない噂ばかりで…!? 過去の自分を清算し、新しく”自分”として生きていこうともがく詩織と、詩織の変化にとまどいつつも、時には劇的に、時にはゆるやかに変わっていく、周囲の人たちの複雑な心の動きにも注目!! 記憶喪失後、唯一、心の支えにしていた兄・明夫への想いが、”恋心”なのか…と悩む詩織からも、目が離せない、注目作!

(集英社「クッキー」より作品紹介を引用。作品ページはこちら

 

 

主人公である菊川詩織はバイクの事故から目を覚ました。

帰宅して、兄の明夫、妹の真歩と3人で暮らし始める。

父は1年前に病死、母はとうの昔に家を出ていた。

やたらと詩織を溺愛する兄。死ねと暴言を吐き、ゴミを見るかのように接する妹。

家族と思えないほどギクシャクしている。 

 

 

学校に行けば、クラスからは浮きまくり、ヤリマン・ビッチ扱い。

過去につるんでいたウェーイ系の友達も距離を置き始める始末。

なぜか付き合ったことなっている後輩ヤンキーの大男に押し倒され、友達だと思っていた仲間からは、悪評を流されて、完全に人間不信に陥ってしまう。 

 

おかれた状況に戸惑い、どこにも居場所のない詩織。 

 

 

 

 

私は、一体……過去に何をした? 

 

湘南の町を舞台に、自分を知るため、取り戻すため、詩織は一歩ずつ歩み始める。 

 

タイトルでやや煽ってみましたが、この『シックス ハーフ』は、ただのギャル&ビッチの漫画ではなくて、じつに読み応えのある骨太漫画です。

 

読みながら、ミステリーを解いていく。

お話にどんどん飲み込まれてしまう、池谷理香子氏のストーリーテーリングの上手さに驚くでしょう。 

この『シックス ハーフ』は、三つの骨子 でなりたっています。 

 

少女漫画の王道をしっかり押さえて、純愛・恋愛をベースにしていること。 

②記憶喪失に至った事故の理由を探るミステリーの要素。 

③過去を辿り、自己を見つめることで、過去に囚われない本当の自分をみつける「自分探しの旅」テーマ。 

 

これらに、〈家族と自分の在り方・恋愛・友情〉が、まるで蔓のように絡みつき、読み進めるうちに解きほぐされていきます。 

 

話の序盤には、

――なぜ詩織が皆に嫌われていったのか

話の中盤以降には

――恐るべき事実

を、知っていくことでしょう。

 

なぜ記憶を失うまでの事故をしたのか、兄が自分を溺愛し、妹が自分を毛嫌いするのか。

読者に伏せられている事実は、主人公である詩織にとっても記憶喪失となった今となっては同じことなのです。

主人公とともに秘められた過去をひとつひとつ明らかにしていくような気分で読み進められます。

 

本来ならば、一度しかない人生を、〈記憶喪失〉というギミックを使い、キャラクターに二度目の人生を生き直させる。ほかにも記憶喪失モノはあるものの、本作は王道にして新鮮な印象を持つことができる稀有な作品です。

噛めば噛むほど味がでるこの作品を、ぜひご賞味あれ。 

 

 

>>>試し読みはこちらから(気になったら、悩まず読んだほうがいいです!)

 

こんな人におすすめ

  • 記憶喪失モノにワクワクする人
  • 自分を取り戻す物語が好きな人
  • 少女漫画の王道を楽しみたい人
  • 過酷な現実を漫画で体験してみたい人

 
 

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