TOP > マンガ新聞レビュー部 > こんな職場がほしかった!『マキとマミ』で知る没頭しているものの話ができる人が身近にいる貴重さ

こんな職場がほしかった!『マキとマミ』で知る没頭しているものの話ができる人が身近にいる貴重さ

マンガを読んでいると、たまに「この世界に入り込みたい」と思うことがあります。

町田粥先生の『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタク仲間だった話~』もそのひとつ。

 

別にすごい冒険が楽しめるわけではありません。ただ自分の好きなものについて、同じ熱量で話ができる人がいるというだけ。

でもそれはすごく貴重で励みになり、好きを続ける原動力になります。

 

 

擬態しなくていい相手を見つけられる幸せ

みなさん、会社を含め、自分の所属するコミュニティーにオタク(=病的の没頭できるぐらい好きで打ち込める趣味や興味の対象)趣味をオープンにしていますか?

オタクトークのできる人は周りにいますか?

オープンにして、オタクトークのできる人がいる人はきっと幸せです。

でも実は一定以上の世代にとっては、オタク趣味をオープンにすることは躊躇することでもありました(多分、過去形にできる、はず……)。

 

私的ヒアリングによると、これは地域、世代、性別、属していたコミュニティーによって違いがあるようです。

特に、自分が没頭している対象がマイナーであればマイナーであるほど、同じ熱量で話せる人は限られてきます。当然同人イベントとかも行けない。

 

そうすると、自然と「オタクではない」というのを擬態せざるをえない――でもあるとき、砂漠でオアシスを見つけるように同じジャンルに同じ熱量ではまる人を見つけることができたら……。

 

町田粥先生の『マキとマミ』は、そんなオアシスを見つけた人々を描くマンガ。

公式からの燃料投入が途切れかけている学園乙女ゲーム好きなOL(マミ)が同じ作品が好きな上司(マキ)と出会い、その思いを共有していきます。

 

そして「百合男子」「子供向け番組好き男子」とオタクの中でもまだ絶対数が少ないとみられるジャンルが好きなキャラクターも投入。

 

それぞれが自分たちの好きなものを大切にしながら、共感するところは共感するというおだやかな世界が広がっています。

(※恋愛はいまのところほとんどありません)

 

 

©町田粥/KADOKAWA

 

 

周りにいないなら、見つかるところへ

「会社の上司と仕事以外でも会うなんていやだ」と思うかもしれません。

でも、マキとマミがゲームの好きなところを語り合う会話や聖地巡礼の様子をみていると、「こんな上司または部下なら仕事以外でも一緒の時間を過ごしたい」と思えます。

 

会社での上下関係は持ち込まず、あくまで同じゲームが好きなファン同士という立場で話をしているからでしょう。作り物語とわかりつつも、「ああ、いいな」とほっとします。

 

 

©町田粥/KADOKAWA

 

いま、自分が没頭する趣味で思いっきり語り合える人がいるのであればそれは幸せです。でも「周りにいない」と思うのであれば見つかるところに行きましょう。インターネットやSNSの登場で、これらのツールがある前に比べて人とつながり、対話をするコストは大きく下がっています。

 

もし一か所で見つからなくても別のところに探しにいけばいい。忙しくなったらお休みして、また熱量がたまったら行く――コミュニティーは出入り自由ということを踏まえてマキとマミのように楽しい生活を送りましょう。

 

 

 

このレビュアーのほかの記事

■少女漫画と思っていたら政治・経済の教科書だった『王のいばら』

■大英博物館でも「こうの史代さん」が大活躍!『ギガタウン 漫符図譜』は超強力マンガ伝道師だった!!

■歴史好き必読のマンガ『映画 刀剣乱舞』 歴史ミステリーとしての面白さも