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変態は人を好きになってはダメなのか?異常性癖男子の背徳ラブロマンス『可愛そうにね、元気くん』

この世には〈二種類〉の人間が存在します。

「変態」か「変態以外」かです。

 

今回、こちらの作品をお薦めしようとする私は、恐らく「変態」側の人間だと思います。

 

 

 

 

本作の主人公「廣田 元気(元気くん)」は、女の子のパンチラや胸チラよりも、涙や鼻血を流しながら苦しんでいる姿に興奮してしまう性癖の持ち主。

 

「女の子は可哀想であればあるほど可愛い」という信念をもっている彼は、それが異常であることは自覚しており、自分の性癖を誰にも言わずに隠していました。

 

「変態の自分は誰かに恋をしてはいけない」と心に誓っていた元気くんでしたが、ある時、理想的な女の子「八千緑 七子(八千緑さん)」と出会います。

 

八千緑さんは、どんくさくて友達もおらず、体調を崩したりケガをしたりして保健室のお世話になることが多い女の子。

 

そんな「可哀想」な彼女に、元気くんは「恋」をしてしまいます。

 

ただ、自分の異常な性癖がバレて嫌われるのが怖いため、現実では離れた場所から彼女を見つめるだけにし、秘めた欲望は「八千緑さんをモデルにした凌辱漫画」を描くことによって満たそうとするのでした。

 

しかし、その秘密を「ある人物」に知られてしまったことがきっかけで、元気くんと八千緑さんの関係が大きく変わり始めるのでした……。

 

異常だけど、憎めない主人公に注目!

ヒロイン・八千緑さんは、体調が悪かったりケガをしたり、元気くんが描く漫画や妄想で、誰かにボコボコにされたり……と、苦悶の表情を浮かべることが多い女の子です。

 

その姿は見ていて本当に痛々しく、辛そうなのですが、その反面、不思議なまでに美しくて色気があるため、主人公・元気くんもそんな彼女のことが気になって仕方がありません。

 

世間的に、元気くんの性癖は「理解できない」「怖い」「気持ち悪い」という意見が大多数だとは思いますが、相手のどこを好きになるかなんて、人それぞれ。

 

元気くんは、たまたまそれが「苦しんでいる姿」だった、だけなのです。

 

自分の性癖が異常であることを理解し、現実では絶対に周りに迷惑をかけないようにしようとする……ただ、それでも「せめて漫画の中だけでも自由に恋がしたい」と願う元気くんのことを私は憎めず、とても「人間らしい」と感じました。

 

単行本も刊行! 今後の展開に注目!

本作は現在「週刊ヤングジャンプ」にて連載中で、WEB「となりのヤングジャンプ」では試し読みができます。

 

コミックス〈第1巻〉も絶賛発売中です。

 

本作は「ヒロインへの暴力表現(主人公の妄想)」が過激なので、読者の〈好き嫌い〉や評価が分かれるタイプの作品だと思いますが、人によって感想が違うのは当たり前ですし、むしろ、いろいろな角度から作品のことを語り合うのは「エンターテインメントの醍醐味」だと思います。

 

『可愛そうにね、元気くん』は、今の時代において、非常に斬新な切り口の作品だと思いますので、少しでも興味が沸かれた方は一度読んでいただけると嬉しいです。