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自意識過剰をこじらせたボッチが恥ずかしさで消えたい件『死なないで!明日川さん』
レビュー執筆者:たまごまご

 

学園コメディ『死なないで!明日川さん』

 

ぼっちが恥ずかしくて、死ぬしか無いと願う少女の、パワフルな生き方

 

タイトルと表紙がやたら物騒だが、別に鬱マンガではない。

 

超絶自意識過剰な少女の、一人相撲コメディだ。

 

黒髪ロングの美人、明日川(あすかわ)さんは、クラスの誰からも憧れられる少女。いつも一人でいる様子は「群れたりしないかっこいい女子」と思われているらしい。

 

しかし実際は、極度の恥ずかしがりなだけ。友達がいないことをひた隠しにし、周囲の生徒に悪口を言われているのではと被害妄想に襲われ、クラスメイトの視線から逃げ回る。

 

友達がいなくて一人寂しくご飯を食べていると思われるくらいなら、飛び降りて死んだ方がましでは?
下校中、前と後ろにクラスメイトがいて、一人で帰っているぼっちだとバレるくらいなら、大型タンクローリーにひかれて死んだ方がましでは?
スイーツショップのキャンペーンにつられてSNSに写真をアップしたけど誰も「いいね」してくれないなんて、ケーキのナイフで頸動脈切って死んだほうがましでは?

 

そもそも、心から「死にたい」わけではない。恥じらいが先立って「死ぬしかない」と妄想しているだけだ。同時に彼女は日々襲ってくる「死にたい」を回避するために、想像以上の努力を払い続けている。

 

飛び降り自殺をしたら、学校の生徒はPTSDになるかもしれない。学校の評判が落ちるかも知れない。そのせいで大学の推薦や就職の内定が取り消される人もいるかもしれない。

 

「色んな人に迷惑がかかる……死ぬに死ねない……いやしかしこの状況を打破するにはもはや死ぬしか……」

 

結果、彼女の自殺は全て食い止められている。基本いい子だ。

 

「死ぬ」という語は本来重すぎる単語だが、思春期だと軽々しいものだ。恥をかいて「死にたい」なんて言っちゃうのは、視野が狭いから。でもそんな自意識に追い詰められる「死にたい」思いが、明日川さんほどではなくても、一歩踏み出して新しいことをする原動力になることもよくある話。

 

思春期の揺れ動きすぎる不安の中、死なないで生きている少女・明日川さんの成長を愛でていきたい。

 

 

死なないで!明日川さん(1) (講談社コミックス)
著者:高畑 弓
出版社:講談社
販売日:2019-07-17

 

 

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