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私が恋した男はまさかの殺人鬼!?ドロドロとして展開で描かれる圧巻のラブサスペンス『私の正しいお兄ちゃん』
レビュー執筆者:いづき

 

サスペンス漫画『私の正しいお兄ちゃん』

 

モリエサトシ先生の作品といえば、黒髪ロングのヒロインと、病的メンタルな男女の共依存といったイメージですが、それを煮詰めたような作品がきました。それが本作、『私の正しいお兄ちゃん』です。

 

主人公は表紙にも描かれている、「はい、モリエサトシ作品のヒロインです」って感じの黒髪ロング女子・理世。大学生で、アルバイトと勉強に精を出す元気で真面目な女の子です。そんな彼女に声をかけてきたのが、同じバイト先で働く海利。寝れないと悩んでいた彼が、理世の肩にもたれかかると不思議と眠ることができるということで、以来ちょこちょこと彼に肩を貸すように。それが積み重なり、いつしか徐々に好意を抱くようになっていきます。ところがある日、彼のアパートで、彼が人を殺したという日記を見てしまい……という、サスペンスラブストーリー。 

 

 

どう考えても万人向けじゃない

 

まず最初に言っておくと、まったくもって万人向けで無い内容だと思いますし、ただでさえ間口が狭かったところをさらに狭めてるんじゃないかってぐらい、こう、色々と振り切れてます。

 

 

圧倒的モリエ感

 

相手役の海利は、仕事も出来てイケメンというなかなかのハイスペックボーイですけれども、「利世の肩を借りないと寝れない」という時点で結構やばいメンタルの持ち主であることがありありと分かるし、その風貌や言動からも「依存しがちなタイプだな……」と思わせる感じで、もう、まさに。

 

そんな彼、殺人を犯し逃げているらしいのですが、それゆえに精神は安定せずに割とビクビクしており……や、もう今の所それが全てで、これ以上語る必要すらなさそうな。なんというか、圧倒的モリエ感(造語)が出た相手役でございます。

 

そんな色々と不健康そうな相手役に対して、主人公の理世は極めて健康的で勤勉で働き者なヒロインで、いわゆるモリエ感は一見無さげ。なんですけれども、後半にそれが豹変します。前向きさを支える源泉となっているのは、幼い頃に生き別れた兄の存在。彼との再会を夢見て日々生活しており、海利への好意も、その兄の姿に重ねてのこと。

 

なので、その足元が危うくなると、一気にそのメンタルも崩れるという。読んでたら結局こっちもモリエ感バリバリだったという。

 

 

濃くてズブズブ

 

”衝撃のジェットコースター・クライムサスペンス&ラブ”という、なかなか盛り沢山なキャッチコピーを掲げているのですが、確かにどれも盛り盛り。ジェットコースターなのは展開はもちろんのこと、メイン2人の情緒不安定さがFUJIYAMAばりで、読んでいてなんだかクラクラしてくる瞬間すらあります。

 

ラブもクライムもサスペンスも、それぞれもうちょっと成分薄めで調整してもよいものの、全部マシマシにしちゃいましたとでも言いましょうか。

 

軸となるストーリーはなんとなく先が読める感じはあるのですが、本作のキモはそこではなく、憎しみと愛情入り交じる中、ドロドロに溶け合っていく2人の愛の行方にあるはずで、どのような着地を見せるのか注目です。どう転んでもズブズブのドロドロという予感MAXなんですが、果たして。

 

激情激動のめくるめくサスペンスラブ、怖いもの見たさでちょいと覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

私の正しいお兄ちゃん(1) (BE LOVE KC)
著者:モリエ サトシ
出版社:講談社
販売日:2019-04-12

 

 

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