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人類が滅亡してもこれさえ出来れば問題ない ゆったりとしたペースで描かれるサバイバル漫画『ゆるさば。』
レビュー執筆者:八木 光平

 

サバイバル漫画『ゆるさば。』

 

本日ピックアップするのは、「ヤングマガジンサード」で連載中の作品『ゆるさば。』。作者は、東京田舎暮らしの様子を切り取った『東京のらぼう!』というタイトルを過去に描いている、関口太郎先生です。前作もアウトドアライクな作品でしたが、今回は更に踏み込んだサバイバルストーリーが展開されています。

 

長女・ツムギ、次女・モモ、三女・リンの三姉妹とお父さんの家族4人が主人公。ある日いつも通りの朝にそれぞれ通学・通勤してみると、街の異変に気づきます。通りには車一台走っていないし、駅もコンビニも真っ暗。友達に連絡しようとしても、スマホはネットに接続できない状況です。

 

怖くなって各々家に帰ってみると、ちょうど家族が集合。家ではやっぱりテレビもラジオもネットもだめだったけど、水道や電気などの最低限のライフラインがなぜか生きていることは確認できました。そこで、より情報を得るために車を走らせてみたところ、家から離れるごとに道は荒れ、駅前の街並みは緑に飲み込まれて朽ち果ててしまっていたのでした──。

 

つまり朝目覚めると、世界からこの家族を残して、地球上の全人類がなんの予兆や痕跡もなく(おそらく)消失してしまったようなのですが、こんなでたらめな状況の中でも変わらずお腹は減るので、家族達は生きていくために、あの手この手で食料を確保していきます。

 

スーパーで缶詰を回収したり、近くの畑で野菜を収穫したり、スッポンや魚を釣り上げたり、運良く手に入れた卵からプリンを作ってみたり。

 

前述したあらすじだけ見ると、世界から取り残されたわけですから孤独感や緊迫感に満ちていきそうなものですが、この家族はどこまでいってもほのぼのゆる〜くサバイバルしていきます。

 

お父さんは生物の先生という仕事柄というのと、教職に就くまで大学で自然再生について学んでいた経緯もあり、自然が完全に復活しているこの世界に感動し、人間と自然の新しい共存のかたちを発見できるのでは! と基本的に前のめりでテンション高め。またそういった人となりなので、動物や昆虫の生態や食文化など、家族が生きていく上において重要な「サバイバル知識」をたくさん持っており、非常に重要な存在です。

 

学校で優等生を演じていたツムギは、その反動もあり気ままに生きれるこの世界を楽しみつつ、ここでしかできないことを全部やってみようというスタンスだし、幼いリンはどこに行っても冒険なこの環境はすごく楽しそう。

 

唯一モモだけは思春期ということもあって、最初はなかなか環境や生活の変化についていけず、元の世界に戻りたい! という気持ちが強かったのですが、とあるタイミングで釣りに目覚めてからは、この世界をめいいっぱい楽しもうという方向に意識が変化していきます。

 

確かにゾンビや異星人など明らかな害をもたらす敵がいるわけでもないと、ある程度のライフラインが保たれたままなのであれば、特に緊迫しすぎることもないのかも。

 

そして、本作の大きな魅力でもあるのですが、この家族の面々が緑溢れた東京の街中で生きている姿は、ひたすらに楽しそうでなんだか羨ましいんですよね。

 

現状では世界がこんな状況になった理由は全く分かっていませんが、この家族4人が変わり果てた世界をどのようにわいわい冒険していくのか、今後もその動向は気になるところ。

 

サバイバル方法などで妙にリアルな部分はありつつも、基本的には終始まったりのびのびとしたテンションで進んでいきますので、日々の仕事や生活に疲れてるような方にはぜひ一度お手にとってみて頂きたい作品です。

 

 

ゆるさば。(1) (ヤンマガKCスペシャル)
著者:関口 太郎
出版社:講談社
販売日:2018-07-20

 

 

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