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『BLEACH』を引き継ぐか!?『呪術廻戦』が週刊少年ジャンプで大ヒットしている理由を考えてみた!

どーもこんにちは!
漫画ソムリエ東西サキです!
普段はマンガ制作のノウハウを蓄積・共有する東京ネームタンクという場所でマンガの持ち込み先・進路相談をしています。

そして、そんな僕が今回ご紹介するのは現在、大ヒット連載中で次期アニメ化作品と目される週刊少年ジャンプ掲載作品『呪術廻戦』になります。

 

この作品を技術面から注目することで大ヒットの理由とその魅力を分析したいと思います。
どうぞよろしくお願いします!

少ない手数で行われる設定のリアリティレベル調整が上手い!

 

「虎ってよりゴリラじゃない?」

 

上記セリフは主人公の運動能力を表したものです。
少年マンガにおいて運動神経の良い主人公という個性は別段珍しいものではありませんが、これがゴリラ並みとなると話は別です。
主人公の個性は読者の物語に対する興味へと繋がる重要な要素なのでゴリラ並みの身体性はその点において成功しているといえるでしょう。

 

ゴリラ並みの運動神経という極端な設定は本来、劇中のリアリティバランスを崩すピーキーな設定です。
しかし本作が見事なのはこのピ-キーな設定のリアリティの確保を少ない手数でしている点にあります。
以下は主人公の運動能力をみた周囲のキャラクターのリアクションです。


「凄いなアイツ、呪力なしの素の力でアレか」
「禪院先輩と同じタイプかな…」

 

このセリフは1コマで表現されているのいるのですがこれが入ることで主人公に近い運動能力をもつ類型が劇中世界に存在する事を暗に示すとともに現実ではありえない身体表現もこの世界ではままありうる事象なのかな?……と、読者に思わせることに成功しています。

このリアリティレベルの調整を少ない手数でやっている点が上手い!

 

少年マンガに青年マンガ的演出を取り入れ『BLEACH』ファンを魅了!

さらに主人公の戦う動機のつけ方も少年ジャンプでは個性的でした。
主人公の戦う動機とは第一話で描かれた祖父の遺言です。

 

「お前は強いから人を助けろ」

 

このセリフは主人公の祖父が亡くなる直前に主人公に発したセリフなのですがこの重要なシーンもあえて特別大きなコマでなく、控えめなコマサイズで描き、なおかつキャラが読者に対し背中を向けたまま、あっさりした描写で描かれています。
このあっさり描写がすばらしい!

熱量の高い作品が多い少年マンガ誌であえて青年マンガの様な抑えた演出をすることで、青年誌に興味があるけど、まだ実際には手に取ったことがない読者=ちょうど最近連載終了したBLEACH読者だった少年少女の心を掴んだのではないでしょうか。

 

迷い無く戦いに赴くキャラクターに感じる時代性!

さらに青年誌的ドライな演出を取り入れたことにより、主人公たちが戦いに赴く理由にウェットさがなくなり、その即行動的なドライさが生むスピード感が今の少年読者に響いたのだと思います。

 

* * * * *

以上、ざっくりとではありますが、技術面から『呪術廻戦』の大ヒット要因と
魅力を分析してみましたが如何だったでしょうか?

まだ未読で興味をもっていただいた方はご一読してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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