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従兄×女子高生=年の差同居! プラトニックな関係でいられるか?『ふたりが家族になるまでに』
レビュー執筆者:たまごまご

 

青春漫画『ふたりが家族になるまでに』

 

女子高生と成人男性、突然の二人暮らし

 

母親が単身赴任することになり、一人きりになってしまった高校一年生のあさひ。彼女のお世話係としてやってきたのは、従兄の成人男性・ジロー。なんと住み込み。

 

いやいや待って! 女子高生の家に若い男が住むってまずいでしょ。犬のように警戒するあさひ。しかしジローは、テキパキ家事をこなし、気を利かせ、仕事もしっかりでき、栄養士の資格を持った料理上手という、スキル高すぎ優しすぎ男子だった。

 

あさひが少々男性が苦手で、ジローに対して距離を置いたり、かと思えば優しくされて戸惑ったりする様子は、かなりリアルだ。普段から健康的で比較的前向きな彼女だけれども、男性と二人暮らしという状況に感情が幾つもわきすぎてしまい、混乱し続けてしまっている。

 

ジローはまあまあ若い男子。こうなると、組み合わせ的に恋愛感情の話が頭に浮かびそうな題材だが、1巻ではそちらにはベクトルが向かない。

 

家に人がいる、というのは老若男女問わずどうしても意識してしまうもの。ジローはあれこれ全てこなしてくれるけれども、あさひの立場からしたらめちゃくちゃに落ち着かない。気を使ってしまうからだ。

 

「そんなの気にしなくてもいいよ 俺はあさひちゃんのお世話係なんだから」
「あさひちゃんは家のこと無理にやんなくていいよ その為に俺がここに居るんだから」

 

優しい微笑みのジローは、おそらく何の悪気もなく、100%親切心で言っているのだろう。一見王子様のセリフのようだが、成人男性にそう言われて、本当に全部家事をこなされたら、心の距離感はぐんと開いてしまう。そんなの家族じゃなくて、使用人だ。

 

物語はすべて、あさひ視点から描かれる。何でもできるように見えるジローが「頼られたがり」なのに気づき始めてからは、あさひは一緒に暮らすことの意味を真剣に考えるようになる。気を使ったり、使われたりしすぎる関係は、疲れてしまうだけだ。

 

要領よく二人暮らしするのが目標ではない。タイトルにあるように「ふたりが家族になる」のが、あさひの目指すところだ。変に考えすぎず、お互い甘えたり手伝ったりしながら、自然体でいられる関係。女子高生と成人男性ならずとも、これは非常に難しい。

 

あさひの細かな表現を通じて、少しずつ「家族」について考えさせられる作品。読み終わった後に、ジロー目線で読み直してみるとまた発見が多い。

 

そして、あさひの友達・菜摘目線も重要。やっぱりあさひとジローの組み合わせは、カップリング的に非常に刺さるものがある。ジローとの生活に悩むあさひの憂いた目。ふわふわ優しい笑顔であさひの後をついてきちゃうジロー。二人の家での暮らし、妄想せずにいられるか!

 

顔を赤らめながら「だって…ジローさんが居ると気になって集中出来ないんだもん…」なんてあさひが言った日には、恋バナ好き女子高生にしてみたらごちそうですよ。

 

そういう関係になってほしいような、兄妹親子のような「家族」としてフラットでい続けてほしいような……二人の成長と関係の変化が楽しみな作品だ。

 

 

ふたりが家族になるまでに 上 (まんがタイムコミックス)
著者:黒麦はぢめ
出版社:芳文社
販売日:2019-06-07

 

 

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