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彼氏と同棲3年、31歳・結婚適齢期女性が男子高校生と本気の恋(=浮気)!?『恋のツキ』がつらすぎるという話。

 

私は今年26歳になる。

楽しくて優しい彼氏と付き合い始めて2年1ヶ月、うち同棲1年5ヶ月。すごく順調にやってきた。このまま普通に幸せな結婚をすると思っていた。

 

でも最近、色々と悩みまくった挙句、人様に言えないレベルで複雑な感じになってしまった。正直めちゃくちゃ傷つけた自覚はある。

 

彼に不満があるのかと言われると困るが、私が頭を抱えた一番の理由は、なんだかもう彼氏が家族のような存在になってしまって、自分の中の気持ちが恋愛感情なのかどうかわからなくなってしまったのだ。

 

だからこそ、その彼と「そろそろ結婚」の話が具体的になってきた瞬間、本当にこれでいいのか?と考えてしまった。

 

今年26歳の私は、今何を求めているんだろう。

一緒にいて落ち着ける家族?

それとも、一緒にいてドキドキする彼氏?

そもそも、大前提にこんなことで悩んでられる年齢なのか?

あ――わからん、知るか、も~~~!!!(大混乱)

 

 

そんな状況のとき『恋のツキ』の最終巻が出た。
これまで一度も読んだことがなかったし、自分には全然関係ないと思っていた題材だったから手を出さなかった漫画だ。

 

でも前から軽い内容は知っていた。
31歳女性の主人公ワコが同棲して3年の彼氏と結婚の話もしていたのに、一回り年下の男子高校生にときめいてしまう話だ。

 

そうして私は爆ぜた。

死んだ。

自分のさまざまな気持ちに気付いてしまって吐きそうになった。漫画ってほんとに怖い、恐ろしい。

 

結論を言うと最高におもしろかったので、今日は私が『恋のツキ』を読んでどう感じたのかを紹介したいと思う。

 

彼氏がいる人も結婚してる人も、みんな関係なくはない。
タイミングや運次第で、誰だって同じような状況になってしまうかもしれない。だから事前に知識として蓄えておいてもいいのではないだろうか。

 

 

恋のツキ(1) (モーニングコミックス)
著者:新田章
出版社:講談社
販売日:2016-07-22

 

ワコの彼氏・ふうくんは「しょーもない男」

先ほども話したが、ワコは31歳の女性だ。
自己主張があまりない大人しい性格だけど、趣味である映画関係の仕事がしたくて正社員を辞め、レトロな映画館でバイトをしたり、好きなスニーカーのブランドがあったりする。

 

そんなワコには付き合って4年、同棲して3年の彼氏、ふうくんがいる。

 

生活費はすべて折半で、稼ぎは少なめらしい。

なのに家事はほとんどワコで、テレビのリモコンも常に彼氏の近くにある。
当然のように「早く次の就職先見つけてよね」と謎のプレッシャーをかけてくるし、極めつけはこれだ。

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

「してよ」ってなんだよ。

なぜこんなにも一方的で、自分はただ享受するだけの立場なのかがわからない。何様なのだろうか。

 

でも、なんとなく思い当たる節はある。

 

同棲して数年も経つと、常に昂るタイミングが合うわけではないし、男性は定期的に処理しないとつらいというのも理解してるつもりだ。

だからこそこんな状況になるのだろう……でもさあ。普通にデリカシーなくない?と思った。

 

勝手に盛り上がるぐらいなら、見えないところで処理してほしい。
彼女に構ってほしいならギブアンドテイク、どちらも楽しくなれる状況を作り出そうよと思う。それがお互いを尊重しながら生きていくということではないのだろうか。

 

ふうくんは、私から見ると全然大したことない男だ。ワコに愛され続ける努力も、ワコを愛していると伝える努力も怠っていると思う。
なのになぜか当然のように今の関係が続くと思っているから、すごく厄介な奴だ。

 

ワコもワコで、その態度に対してこれまで何も言わず、自分の中だけで不満を溜め込んでいたことは正直どうかと思う。

 

そんな感じで、彼氏とは微妙な時期に好みドストライクで趣味がめちゃくちゃ合う男子高校生に出会ってしまったら、そりゃもうトキメいてしまうだろう。

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

女性だからといって必ずしもワコを擁護できない

 

少しネタバレになるが、ワコはイコくんと関係を持って一時期、二股状態になる。
でもふうくんとの生活を選ぼうとし、別れ話をしようとしているところをふうくん本人に目撃され、浮気していたことがバレてしまう

 

別れ話をする前、ワコが寝室でひとり葛藤するシーンがある。

この一連の流れがあまりにもリアルすぎて、私は恐ろしくなった。

 

生活の一部となった相手と離れてやっていけるのだろうかという不安、新しい生活を始めるんだという希望。

2つの間で揺れ動きまくる心が悲鳴をあげて、ワコはやっぱり「……ムリ」と涙をこぼす。この涙に、胸がぎゅっと締め付けられた。

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

ふうくんとの生活を手放せないワコの気持ちを、情だと言い切ってしまうのは何か違う気がする。

これは彼女の弱さでもある。

 

ずっと付き合い続けた相手を捨てて、新しい男に走る酷い自分になりたくないのかもしれない。

結婚を逃すという人生を賭けた大きな決断をした先に待ち受けているのが幸せとは限らないと考えたら、すぐには踏み切れないのかもしれない。

 

失敗したくない。

でも自分の心に素直でいたい。

そんな気持ちが多少なりあるのではないだろうか。

 

 

ワコはこの後も紆余曲折あり、一度イコくんと別れてふうくんとやり直そうとしたものの、結局最後にはイコくんを選んでしまう。

 

このあっち行ったりこっち行ったりのうだうだ感が、男女間の恋愛にありがちな葛藤をリアルに表していて、私は吐きそうになった。

 

なんで修羅の道を選んでしまったんだ、ワコ!大丈夫なのか、ワコ!あなたは一体どうなるの!? ねえ教えて!!!

 

こんな気持ちだ。

 

ワコはふうくんやイコくんに対して誠実な選択をしたつもりでも、突き詰めると自分のことしか考えていない女だとも思う。結局いつも自分の心に素直に従っている。

 

そしてこの後も彼女にはさらなる試練が待ち受ける。

こんな形で始まったイコくんとの仲だ、そう簡単にずっと順調に行くわけがない。

 

「自業自得だぞ!」とワコに対して何度も心の中で思いつつ、でも私はやっぱり女だから、ワコの選択を仕方ないと感じてしまった。

この漫画が「共感の嵐」と言われていたのもすごく納得だ。

 

自分自身、ワコの心情や選択に思い当たる節がありすぎて、ワコがもしかすると将来の自分の姿なんじゃないか?とつらくなる。

 

「どこからが浮気なの?」とふと考えた

 

もう一点、私が強烈に心に刺さったシーンがある。
ワコがふうくんと同棲してる最中、何気ない会話の中で考えていたことだ。

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

©新田章『恋のツキ』/講談社

 

 

 

「誰としたの?」

 

男性のこの行為は浮気ではない。頭ではわかっている。でも誰か他の相手の顔を思い浮かべながら気持ちよくなることは、はたして何も悪くないことなのだろうか。

 

気づかなければ何も問題はない。でも相手に気づかせてしまった瞬間、人によっては大問題になる。
少なくともワコは「誰としたの?」と考えていたし、私も同じような経験をしてきた。

 

浮気の定義は人それぞれ違う。
手を繋ぐ、キスをする、セックスをするなどの物理的接触がポイントになる人もいれば、ふたりきりでデートをした時点、の人もいる。

 

私はというと、心が他の人に向いたら浮気だと思っている。
もちろん人によると思うが、一度離れた心はなかなか戻ってこないものだ。

 

だからなのか、いくら性欲処理のためとは言え、一時的にでもそういう時に他の相手の顔を思い浮かべていたのであれば、ものすごく嫌な気分になる。
目の前でされたらなおさらだ。その痕跡を見てしまった場合も該当する。

 

 

いやいや、基準厳しすぎでしょ、という人の方が多いかもしれない。

 

私だってそう思う。でも嫌なもんは嫌なんだから仕方ない、だから何が何でも隠してほしいタイプだったのだ……と、『恋のツキ』のワンシーンを見てようやく自覚した。

 

それだけじゃない。作中でワコがふうくんに思うひとつひとつの出来事が「あっ私ここが嫌だったのか!!」と気付くきっかけになった。

 

同時に自分のダメなところもたくさん気付く

本当に苦しい。自分の過去を思い返してはお風呂で叫びまくった。
自己嫌悪しすぎて、読み進めている期間は心が折れまくっていた。

 

 

でも私のような女性にとっては、この漫画は本当に読んだ方がいいと思う。
どう感じるかは人それぞれだし、ラストも賛否両論かもしれない。

 

ひとつ断言できるのは、ここまでレビューを見て少しでもワコの結末が気になった人は、『恋のツキ』を読んだ方がいいタイプの人だということだ。

 

全7巻なので、ぜひ読んでみてください!

 

 

文:こまちゃん(@koma_ja

 

恋のツキ(1) (モーニングコミックス)
著者:新田章
出版社:講談社
販売日:2016-07-22
恋のツキ(7) (モーニングコミックス)
著者:新田章
出版社:講談社
販売日:2019-06-21

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