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「カメラを止めるな!」の上田監督も大絶賛!ゾンビ社会も会社にくらべりゃ天国?!『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』

現実世界こそこの世の地獄ってね

前に異世界転生ものって実は30代以上のオジサンたちがメイン購買層だって話をしたんですが、現実世界の息苦しさとか働く辛さとか、「何のために俺頑張ってるんだろう」「何のために生きてるんだろう」って悩んだり苦悩してる人が多いからなんでしょうね。

 

だからみんな異世界に行きたがる。

 

でも、もし本当に、ある日突然今までの世界が一変するってなっても、ゾンビ溢れる世界には行きたくないですよね。

うん。

 

だってゾンビものの作品ってどれを見てももう世界終わっちゃいましたって中でなんとか生き延びる話だけど、だいたい大きな山場は越えても世界そのものは変わらずゾンビいっぱい・ザ・ワールドなのは変わらない。

俺たちの戦いはここからだ!的な終わり方してるんで救いなんてどこにもないんだもの。

 

だけど、本当にそうなの?

君の現実世界とどっちが本当の地獄かな?

 

なんてスーパーブラックでアイロニックな問いかけをぶん投げてくる作品を見つけたんで、今日はそいつを紹介します。

 

 

麻生羽呂・高田康太郎

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』

 

結局自分を開放してあげられるかどうかは自分次第だよって話

このお話の主人公は憧れてた広告業界でしかも花形の制作部に採用され、超美人の先輩社員にも出会って社内恋愛なんかも妄想しながら夢いっぱい希望いっぱいの社会人になったんですけど、

 

 

©麻生羽呂・高田康太郎/小学館

 

 

いざ働き始めてみたら徹夜なんて当たり前、無茶な量の仕事に忙殺され、上司にはパワハラされ、憧れてた美人先輩は社長の愛人だし、あっという間に夢も希望もソールドアウトして、死んだら楽になれるのになんて想像しながら超ブラック企業で働く生ける屍に。

 

 

©麻生羽呂・高田康太郎/小学館

 

 

そんなある日、家を出たら街中にゾンビが溢れかえっていて、今までの日常が終わったことを思い知るんですけど、パニックになったのはほんの束の間で、

 

 

©麻生羽呂・高田康太郎/小学館

 

 

 

見よ、会社に行かなくていいんだと気付いてこの見事なガッツポーズ!(笑)

 

 

 

©麻生羽呂・高田康太郎/小学館

 

 

なんなの、この生き生きとした表情!(笑)

 

しかもめっちゃゾンビすぐ近くに山盛りいるのに(笑)

 

だけど、ぱっと見シュールなギャグマンガみたいに見えると思うんですけど、これちゃんと読んでもらえれば、ギャグマンガなんて言葉で簡単にくくっていい作品じゃないんですよ。

 

ゾンビが出てくるまでの間、世界は一見平和で穏やかで、命を脅かすようなものなんかそうそうないけれども、彼はまさに生ける屍、ゾンビみたいなものだったのに、突然訪れた新しい世界では油断したら一瞬で死んでしまうような危険がすぐ目の前にあるにもかかわらず、自分を開放したことによって一気に人間らしさを取り戻したわけです。

 

別に彼は生き返ったからと言って、よくあるゾンビパニック作品の主人公たちみたいにハードなサバイバルバトルに身を置くわけでもなく、世界を救おうなんて気持ちも1ミリだって持たずに、ただ「ゾンビになるまでにしたい100のこと」を書き出して、したいことを精いっぱい全力で満喫しようとするだけ。

 

でもね、ってことはそれって別に世の中がゾンビ溢れる終末世界にならなくたって、全然できるってことですよ。

 

人間死んじゃったらそれで終わりなんだから、(犯罪とか人に迷惑をかけるようなことじゃなきゃ)やりたいことを好きにやって、楽しみきって死んだ方が絶対幸せなんですもん。

 

でも、そんなことみんな分かってるんだけど、その一歩が踏み出せない。

 

だからこそ、そんな人たちに向けて、どうせ周りには「生ける屍」みたいな人たちがいっぱいいる。

自分ももしかしたらその中のひとりになってしまってるんだから、復活の呪文を唱えられるのは自分だけなんだよって教えてくれてるんだと思うんですよね。

 

そう思ったら、彼の言葉が本当に心に沁みて、一足先に生き返った彼のことが羨ましくてたまらなくなるんです。

 

 

©麻生羽呂・高田康太郎/小学館 

 

 

さあ、僕らももう一度鮮やかで美しい世界を取り戻しましょうよ。

 

幸いまだゾンビは出てきてませんよ??

 

 

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