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運命は現実を豊かにする!『モキュメンタリーズ』(全2巻)という大傑作を目にしておくべき

皆様は“モキュメンタリー”という言葉をご存知でしょうか?

“モキュメンタリー”というのは本当は実在しない出来事(=フィクション)を、さも現実のドキュメンタリー(=ノンフィクション)作品のように見せるテレビや映画の手法のひとつで、モック(まがいもの)ドキュメンタリーを掛け合わせた新語です。

 

古くは昭和の人気番組『水曜スペシャル』の「川口浩探検隊」

映画だと『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』といった作品が有名ですね。

近年でマンガと絡んでいるものだと、山田孝之主演の『東京都北区赤羽』なんかがこういった作品の代表作です。

 

 

現実とフィクションの狭間を行ったり来たりするのがこういった作品の特徴なので、見ている僕達もいつの間にか本当か嘘か分からなくなって、錯覚をしていきます。

 

というわけで、本日紹介するのはそんな“モキュメンタリー”な手法を取り入れた作品その名をズバリ、

 

 

モキュメンタリーズ

 

この作品は作者である百名 哲センセイの分身である百野 哲が主人公です。

マンガの中の彼はさまざまな人物や出来事に出逢います。

そんな百“野” 哲が見届けた物語をマンガで表現をした作品。

どうやらそういうことらしい。

 

この作品の中で作者の分身である百野氏が出逢ったお話は本当にバリエーション豊か。

 

“同じアダルトビデオだけをネットオークションで買い続ける男のお話”(第一話『Tiger****はweb上から消えた』)や

 

“地下アイドルに人生を捧げたオーストラリア人のお話”(第二話『走れ、メロス』/最終話『止めろ、メロス』)

 

“作品とは誰かにとっての救いになるか呪いになるかを問うお話”(第五話~七話『有明の月 前編/中編/後編』)

 

など10編からなる全2巻の物語です。

僕達は日々生きている中で、知ってる人、友達、恋人、家族と身近な人はもちろんだけど、毎朝の電車で見かけるあの子や、何気なく入ったお店の店員さんのように近くて遠いような人達から、テレビで見かけるスーパースターといった存在まで、じつはすれ違っていたりする。

 

普段はもちろんみんながみんな、それぞれの人生を持っているし、自分だって自分の人生を歩んでいる。

マンガやドラマのようなことが起こることの方が少ないけれど、この作品を読んでいると、そんなすれ違っているだけのはずの人達の人生に触れたような気持ちになれる。

 

マンガはどこまで行っても『物語』だし、この作品は

“嘘のような本当で、本当のような嘘”

という曖昧さがカギのお話なので、この作品の中で描かれている出来事のどこまでが本当で、どこからが嘘なのかなんて議論はなんの意味も持たない。

 

大切なのは主人公が見た人物や出来事が、どれだけ読む人の心を揺さぶったか?

だからこそ、「揺さぶられた僕たちがその衝動をどう受け取るか」なのである。

 

そして同じく百名 哲センセイの短編集を一緒にご紹介させてください。

 

棚の上のなにか (HARTA COMIX)
著者:百名 哲
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
販売日:2019-01-15

 

 

こちらは12編からなる短編集。

長短さまざまな物語の全てに才気が溢れている作品となってます。

例えるとしたら、レコード屋さんでふいに出逢った名作アルバムのような感じなのです。

 

人は、たまに信じられないような才能と出逢う時があります。

この百名 哲という作家さんと作品に出会えたのは、ちょっとクサい言い方をすると、きっと“運命”のようなものなんだろうと思います。

 

 

そんな“運命の一冊”とのお手伝いをするお店が、

コミックサロン『G.I.F.T.』(https://twitter.com/comicsalongift)

皆さんの運命の一冊との出逢いをお手伝いいたします!

 

 

>>>『モキュメンタリーズ』第1巻の試し読みはこちら

 

 

 

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