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デモの意味が問われる今、市民が切り拓いた「フランス革命」を読む『第3のギデオン』

 

こんにちは。神保町にあるMANGA ART HOTEL代表の御子柴です。

 

為政者は国民が思うほど悪なのか?

世界中のどこの国でも、2000年前から現在に至っても、大衆がまとまって政治家や権力者に対して行う様々な抗議活動がありますね。日本では、最近だと年金デモがありましたね。

 

抗議活動の中には「抗議をすること」が目的になっているものもあるように思えます。

それは、「とりあえず鬱憤を晴らすように騒ぎたいフーリガン的行為」に私には思える時もあります。

自分たちを苦しめる目的を、何かしら適当に掲げて動いている場合も少なくないのではないでしょうか

 

こういった単なる発散したいだけの怒りのエネルギーはどのように着地を迎えるのか……。

 

平民側からではなく、国全体を想う特権階級側からの視点

政治的に大衆が怒りの行動を起こしたことに関してですが、昔から権力者の失言として最も有名なもののひとつに、マリー・アントワネットの下記の発言があります。

 

 

「パンが無いなら、バター付きのお菓子を食べればいいのに」

 

国をなんとかせねばならないモチベーションで生きている王族側が、食糧不足で苦しむ民衆に対してそんなこと言うわけがないのですが(言っていないという説もあります)、「言ったと思い込むこと」で怒るモチベーションを産むことできます。

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

 

そういう真偽の不確かなことで、暴れる平民たちは自分たちの日常の鬱憤を晴らすことができて、一時的には気持ちいいことでしょう。

 

ただ、本質的に自分たちの求める結果=生活の改善、ということを考えると、暴れることが目的となるため、抗議の本質がすり替わってしまっているようにも感じられます。

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

 

 

この『第3のギデオン』は、そんな平民側が想像した王女や王では決してなかった、民を想う王と王女であった、という視点で物語は展開していきます。

そう、王、王女側から見たフランス革命です。

 

このフランス革命に対し、「第3身分である平民」のギデオンがこの作品の主人公です。

ここに娘のソランジュと「第2身分の貴族」のジョルジュが絡み合いながら、父として、友人として、様々な顔を見せるギデオンが、暴力ではなく言論の力で「なんとかしようとする」物語です。

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

エロくてグロい表現も多いので読む方を選ぶかもしれませんが、そんな人間的でリアルな欲求が美しい画力で表現された生々しい作品です。

政治とは何か?

 

大衆とは何か?

 

父とは何か?

 

すべての階級の人間の感情が爆発して起きたフランス革命なだけに、問われているテーマの種類も多く、学びも大きく感じます。

 

 

激動の時代を生き抜いたギデオンやルイ16世、マリー・アントワネットを違った側面から描いた名作です。

 

 

©乃木坂太郎 / 小学館

 

 

 

しっかりと読み応えのある全8巻。たくさんの方に読んでいただきたいです。

 

 

MANGA ART HOTEL にも置いてあります)

 

第3のギデオン 1 (1) (ビッグコミックス)
著者:乃木坂 太郎
出版社:小学館
販売日:2015-10-30


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