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社会になじめずにいた主人公が○○一つで世界を救う!?近未来のヒーローはオレたちだ!『王様達のヴァイキング』
レビュー執筆者:かーずSP

 

ヒューマンドラマ『王様達のヴァイキング』

 

少し前まで創作SFのネタでしかなかったサイバー戦争が、リアルに勃発している現代。サイバー空間で戦うハッカーを主役にした『王様達のヴァイキング』が、今、熱い!

 

高校中退、コンビニバイトも要領が悪くてクビ、他人とのコミュニケーションが苦手な少年・是枝一希。ところが、彼はノートパソコン一台あれば世界を変える凄腕ハッカーに変身する。

 

ふとしたきっかけでエンジェル投資家の坂井大輔に見出された是枝少年が、無差別サイバーテロ、ATMの現金不正引き出し事件、オンラインゲームを用いたマネー・ロンダリングといったサイバー犯罪を次々と解決していくんです。

 

ネットの向こう側にいる敵との攻防を、パソコンをカチャカチャ叩いているだけでなく、熱いセリフ回し、過激に演出されたコマで盛り上げていく、息つく暇もないスピーディな展開がキモ。生きづらい社会不適合者の是枝が、特化した能力で世の中を変えるような事件に関わってゆく爽快感が味わえます。

 

数々の事件を通じて、熱血刑事の神崎翔太など警察組織にも是枝の理解者が増えていきます。人見知りでおどおどしている是枝ですが、ある種の歪さも内包しています。ひとたびPCと向かい合えば、熱くなりぎて攻撃性が表面化してしまう一面も。

 

「攻めて守る」を心情とした是枝のハッキング攻撃は、ときに倫理観や法律を踏み外しそうになります。しかしその都度、坂井たち周囲の大人が諌めて、諭し、次第に社会性を獲得していくヒューマンドラマになっているのもイイ。

 

投資家の坂井、刑事の神崎をはじめとして、ヴァルキュリヤ笑い猫、政治家の蘇芳正哉など、敵味方全員一人ひとりが、己の信念を抱えて行動しているからこそ、その熱気に読者は当てられてしまうんです。

 

初期の頃は事件の解決が100%とはいかず、なんだかすっきりしないモヤモヤした感じが残ることも多いです。犯人は捕まえたけど黒幕を取り逃がすとか、事件は解決するけど犠牲者が出ているとか。白黒はっきりつかない、灰色の締め方も、現実的なリアル感として心に強く残ります。

 

ゲーム会社のサーバ不正侵入事件や政治家の汚職事件からはじまった是枝の活躍は、やがて世界を支配する強大な敵と対峙する、大きな舞台へとスケールアップしていきます。すでに17巻も出ているのに、テンションが全く落ちるどころか、ますますアガる一方

 

現実のニュースで報道されている、ファーウェイ機器の情報機密懸念や、某国のサイバー攻撃、仮想通貨の不正送金など。サイバー犯罪の最先端を熱いドラマに昇華させている『王様達のヴァイキング』。劇中のさりげない言葉が印象に残っています。

 

「世界を支配しつつあるのはアメリカ大統領ではなく、検索エンジンを提供する企業や巨大なECサイトである。」

 

今を生きる我々が強い興味を持つテーマを、上手に料理しているのが素晴らしい。現実の事件ともリンクするサイバーフィクションの名作に仕上がっています。

 

 

 

 

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