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マンガ原画の“バーチャル展示会”を可能にした新技術「Gaze-On」

2019年6月4日~9日、東京都練馬区のギャラリー「Doma」にて、少女漫画家・阿部ゆたか先生のマンガ家人生40周年を記念する原画展が開催されました。

 

阿部ゆたか先生は『なかよし』をはじめとする少女マンガ誌で活躍されてきたベテラン。恋愛ものからホラーまで、多くの作品を生み出しました。

 

少女マンガのみならず『名探偵コナン』の青山剛昌先生の先輩であり、『名探偵コナン 特別編』や、『ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説』を手掛けています。

 

今回の原画展はたくさんの女性ファンの来訪を受けました。

そして、展示を楽しむためのもうひとつのイベントも!

「Gaze-On」(株式会社ボイジャー)という高精細画像用のwebブラウザを利用した、“デジタルギャラリー”も同時に試みられました。

 

会場ではQRコード記載のカードが配られ、それをスマホで読み込むと、「Gaze-On」が起動。

目前の原画をまた異なった角度から鑑賞できるのです。

 

「Gaze-On」は、いくら拡大しても画像が荒れないという特長のため、原画を間近で鑑賞以上の視覚効果があります。

先生の代表的な作品『100%探偵物語』で見てみましょう。

 

ブラウザには「見どころ」のタブがあり、それぞれをクリックすると超拡大、またはピンポイントで表示されます。

 

 

たとえば……

 

左側の原画に対して、右側に鑑賞ポイントが並んでいます。

 

 

 

鑑賞ポイントの「最初の擬音」をクリックすると、

 

キャプション:授業終了の鐘の音とともに、学校を飛び出す主人公/桃子。

擬音は「キーン、コーン、カー」と描かれている。音を途中で消してしまうことで、場面が校舎の外から中へ移ったことが強調されている。

 

 

と、説明文がキャプションとして表示されます。

 

 

「グラデーション」をクリックすると

 

キャプション:ざっと束ねたポニーテール。後れ毛に動きを持たせ、主人公が走り去ろうとする瞬間を描く。複数の茶色を利用しているほか、ホワイトでもタッチをつけている。校舎の窓の部分ではホワイトだけで髪を表現。

 

 

拡大すると、当時の写植の貼り込みと、その修正の跡まで! リアルです。

 

 

 

 

また、本来ならばぼやけてしまう拡大倍率にしても、カラー部分のドットがくっきりと!

 

 

 

……と、阿部先生の繊細なタッチをじっくりと鑑賞することができます。

リアルな展示会は6月9日まででしたが、「Gaze-On」では16日まで閲覧できます。(閲覧用URLはこちら

 

今回の「Gaze-On」の活用はまだ試験活用とのこと。

手に取るかのように見ることができるため、ほかの漫画家さんにとっては勉強や参考になり、ファンにとっては、先生方の息遣いがわかるような原画のリアリティを楽しむことが可能になります。

 

ほかの先生方の原画展でも開催されるよう、「Gaze-On」の実用化が待たれます。

(掲載作品:阿部ゆたか『100%探偵物語』)