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巻を増すごとに怖すぎる!描かれているのは純愛?それとも…『青野くんに触りたいから死にたい』

2019年5月末「アフタヌーン」で連載中の『青野くんに触りたいから死にたい』が、電子で1巻無料のキャンペーンをやってました。

 

だから夜中に読み始めてみたんです。

その結果、あまりに怖すぎて「ひいええああ」と悲鳴を上げながら一気読みし、その日は眠れなくなりました。

 

この漫画に描かれているのは、付き合って2週間で死んでしまった好きな男の子に触りたいから死にたい、という少女の純愛なのでしょうか。

 

それとも「呪い」なのでしょうか……。

 

 

 

 

大好きな青野くんが死んでしまった、だから死にたい

 

主人公・優里ちゃんと青野くんの出会いは偶然の出来事でした。
たまたま学校の廊下で落としてしまった本を拾ってもらっただけの関係です。

 

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_01

©椎名うみ/講談社

 

 

そこから優里ちゃんは青野くんのことばかり考えてしまって、すぐに告白します。そしてなんと付き合えることに!

 

しかし喜ぶのもつかの間で、青野くんは付き合って2週間で交通事故に遭い死んでしまいます。

展開の早さに驚く暇もなく、彼女は絶望から自殺を図ります

 

すると幽霊になった青野くんが、自殺を止めに現れます。
でももう死んでしまっているから、抱きついたとしても触れない。

 

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_02

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_03

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_04

©椎名うみ/講談社

 

 

「青野くんは幽霊でわたしは生きてるから君に触れないんでしょう!?」
「だったらわたしが死ぬしかないじゃない 君は生き返れないんだから!!」

 

はーーー、こじらせとるわ!!!

 

全然落ち着けていない優里ちゃんの様子に、青野くんは戸惑いながらも、幽霊だけどずっと側にいることを約束して『青野くんに触りたいから死にたい』の物語は幕を開けます。

 

そしてこの約束が、のちのち大変なことになっていくのです……。

 

優里ちゃんはヤバイ女なのではないか?

 

いち女性読者としては、正直、

「廊下で一目ぼれした付き合って2週間の男のために、なに人生捨ててんだよ優里ちゃん!!!強く生きろよ!!!」

と声を大にして叫びたいです。

 

この漫画を読み進めていると、優里ちゃんがいかに思い込みが激しく極端な女であるかを感じます。
ちょっと……いや、かなりドン引きしてます。

 

たとえば1話目で、青野くんの「抱きしめられないから枕で代用する」というぶっ飛んだ提案に、泣きながら喜ぶ優里ちゃん。

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_05

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_06

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_07

©椎名うみ/講談社

 

 

死んだ彼氏相手に、ここまで喜んでしまうなんて……。

 

「初めて」とありますが、どこまでいっても何も「始まらない」であろう不毛すぎる恋に、ドン引きしながらも胸が苦しくなったワンシーンです。

 

 

大体この手の漫画は、気持ちに折り合いがついて幽霊が成仏して、主人公も前を向いて歩み始める話が多いと思います。

 

だから本作も、優里ちゃんの周りに信頼できる男性が現れたりして、悲しいけど、きちんとした別れを経て成長していくのだろう……と、勝手に思っていました。良い話になるのだろうと。

 

ところがどっこい、物語はどんどんヤバイ方向に進んでいきます!!!

 

青野くんもヤバイ(つか怖い)んです

 

ふとした拍子に優里ちゃんが思いついたこと。

「青野くんって憑依とかできたりしないのかな……」
「わたしで試してみる?」

この軽はずみな言動がトリガーとなり、次のページでこんな展開が起きます。

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_08

©椎名うみ/講談社

 

 

あ、青野くん!!??

 

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_09

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_10

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_11

©椎名うみ/講談社

 

 

 

予想外の出来事が起きてしまった……。
私はそう思いました。

 

これはもうセックスなのではないでしょうか。

身体での触れ合いを越え、魂で混ざりあうかのようなこの描写。

ズプッ、という効果音はあまりにもなまめかしく聞こえます。

 

人畜無害の幽霊だと思っていた青野くんの、じつに幽霊らしいこの行動が、どんどん恐怖を加速させていきます。

 

豹変した青野くんはのちに「黒青野くん」と称され、優里と自分を引き離そうとする存在が現れれば牽制にきたり、その他もろもろ数々の問題を起こしたります。

 

 

青野くんに触りたいから死にたい_12

©椎名うみ/講談社

 

青野くんに触りたいから死にたい_13

©椎名うみ/講談社

 

 

 

夜中に読むと本当に怖いのですが、この行き過ぎた行動を受け入れながらも、きちんと向き合っていく優里や、彼女を助ける友達たちの気持ちが時に大きな感動を与えてくれることもあります。

 

個人的にはホラー映画好きの女の子「堀江さん」の存在がたまらないです。

 

彼女がアドバイザーとなって、黒青野くんを心霊現象のセオリーにあてはめながら読者に展開を予想させていくのですが、想像を超えた時の恐怖がこれまたもう最高ですよ!

 

最後に表紙の話をさせてください

 

『青野くんに触りたいから死にたい』は現在5巻まで出ています。

 

1巻:優里ちゃん
2巻:青野くん
3巻:優里ちゃん(事情がありイメチェンされてる)
4巻:黒青野くん
5巻:優里ちゃん

 

表紙には、上記のように交互に優里ちゃんと青野くんが描かれています。

私の気のせいだったらいいんですけど、巻を追うごとに優里ちゃんの身体が見えなくなっていってませんか……!?

 

1巻では右足、3巻では左足、5巻では左足と左手……。

 

 

 

1巻

 

3巻

 

5巻

 

 

 

意図はないかもしれないけど、まるでだんだん優里ちゃんがあの世に近づいて行ってるみたいで、勝手にとても怖くなりました。

 

漫画本文の中でもまるでホラー映画のように、気づかないうちに何かが起こっていた!というギミックが使われていたりして、積み重なっていく恐怖感と、気持ち悪いほどの優里ちゃんの青野くんへの執着心が掛け合わさって、物語が何倍にも面白くなってます。

 

いまだにわたしは1話目を読み返すたびに、優里ちゃんの気持ちが純粋な恋や愛とは言い切れないです。

だって始まりがあれ(偶然)だから。

 

……でも、もしかしたら、その始まりにも何か隠された別の意味があったりするのかな……?

 

考え始めれば止まらない本作!
ぜひ読んでみてください。

 

 

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンKC)
著者:椎名 うみ
出版社:講談社
販売日:2017-10-23
青野くんに触りたいから死にたい(3) (アフタヌーンKC)
著者:椎名 うみ
出版社:講談社
販売日:2018-04-23
青野くんに触りたいから死にたい(4) (アフタヌーンKC)
著者:椎名 うみ
出版社:講談社
販売日:2018-11-22
青野くんに触りたいから死にたい(5) (アフタヌーンKC)
著者:椎名 うみ
出版社:講談社
販売日:2019-05-23