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「自立」しなければ前には歩けない。目標をなくしかけた自分に『鋼の錬金術師』が教えてくれたこと

「立って歩け 前へ進め あんたには立派な足がついてるじゃないか」

 

そのセリフを読んだときの背筋がゾクッとした感覚をまだ覚えています。

 

当時は小学5年生。

受験勉強に疲れ、息抜きもかねて家族で来ていた箱根のホテルで体感しました。

ベッドの上に寝転がりながら、なんとなく退屈を持て余していたぼくは、同じ部屋にいた姉に「なにか面白いもの持ってる?」と尋ねました。

 

それを聞いた姉がたまたま旅行に持ってきていたのが、今回紹介する『鋼の錬金術師』です。累計発行部数は6100万部以上。全27巻で大団円のうちに完結した、「月刊少年ガンガン」で連載していた人気マンガです。

 

簡単にあらすじを説明してから、その魅力をご紹介します。

 

兄・エドワード・エルリック、弟・アルフォンス。

2人の若き天才錬金術師は、幼いころ、病気で失った母を甦らせるため禁断の「人体錬成」を試みる。

 

しかしその代償はあまりにも高すぎた。

 

錬成は失敗、エドワードは自らの左足と、ただ一人の肉親・アルフォンスを失ってしまう。かけがえのない弟をこの世に呼び戻すため、エドワードは自身の右腕を代価とすることで、弟の魂を鎧に定着させることに成功。そして兄弟は、すべてを取り戻すための長い旅に出る……。

自分の足で歩くということ

 

 

冒頭のセリフは、主人公がとある街で出会った少女に向けて言ったものです。

自分が今まで信じていたものが嘘だと分かり、これからどうすればいいのか分からず戸惑い叫ぶ少女を、主人公は叱り諭したのです。

 

あらすじからわかる通り、主人公には左足がありません。そのため、普段は義足をつけて行動しています。

作中ではそんなに描かれていませんが、生身の足ではないから勝手が効かない部分も多いでしょうし、痛いことや辛いことも経験すると思います

 

それでも彼はあえてそれを受け入れ、車椅子ではなく、再び立ち上がるための足をつけました。

それはすべて、彼にどうしても叶えたい願いがあったからにほかなりません。

それを叶えるためならば、たとえどんな困難があってもくじけず立ち上がり歩き続ける。

 

そんな覚悟を持っているからこそ、冒頭のような言葉を言えたのではないでしょうか。ぼくはそう思っています。

当時のぼくは受験の準備に疲れ、また意義も見いだせずに漫然と勉強していまいした。

親の言うことを信じて始めたものの、思うように成績が伸びず、大好きな漫画やアニメ、ゲームも制限され、正直どうしたらよいか分からなくなっていました。

受験をやめてしまおうかと本気で悩んでもいました。

そんな時、この言葉で出会ったのです。

 

過酷な運命を背負ってもなお、自分の足で歩くことをやめない主人公たちの姿にとても感銘を受けました。

人公に諭される少女に自分を重ね、こんなところに座り込んでいてはいけない、と思えました。

そして、自分にも目標とするべきものが、行きたい学校があったことを思い出しました。そこに行くためには、自分も何度だって立ち上がり、前に進まなければなりません。

 

それが「自分で歩く」ということだと、この漫画を通して気づかされたのです。

 

この漫画があったからこそ、ぼくは受験を頑張れました。

そして、今なおどんな困難にもくじけずにいられるのは、この言葉のおかげだと思っています。

 

目標を見失いかけた人に再び立ち上がる勇気を与える力を、このマンガは持っています。

 

もし今、大きな困難にぶつかって進むべき道を見失いかけているならば、ぜひこのマンガを読んでみてください。

「自分で立って歩く」ことの大切さと、前に進むための勇気をきっと得られると思います。

 

 

鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)
無料試し読み
著者:荒川弘
出版社:スクウェア・エニックス