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可愛いは正義!あの国民的キャラクターがヒーローとなって帰ってきた『パワーザキティ イチゴマン』
レビュー執筆者:miyamo

 

ヒーローコメディ漫画『パワーザキティ イチゴマン』

 

本日ご紹介するのは、その名もカッコかわいい『パワーザキティ イチゴマン』。集英社グループ・ホーム社の「comip!」をポータルとして運営されている、サンリオの人気キャラをコミカライズすることに特化したWEBマンガサイト「イチゴミン」の目玉タイトルである。

 

1970年代に生まれたサンリオの超人気キャラ「ハローキティ」といえば近年、業界を大胆にまたいだ数多のコラボ企画で巷をにぎわせ続けている。X JAPANのYOSHIKIやKISSのメイクをしたかと思えば、マジンガーZと組んで自らが“超合金ハローキティ”になってみせたり。大相撲協会公式でグッズ展開して小結時代の稀勢の里にキティ図柄の化粧まわしが贈られたり。ムンク「叫び」やダ・ヴィンチ「モナ・リザ」など世界の名画をキティに置き換えた限定商品が出たり。

 

その多彩さから「仕事を選ばないキティさん」と一種尊敬の念をこめて呼ばれるほどだ。最近だと「ガンダムvsハローキティ」なんてのもありましたね……。

 

そういうハローキティをマンガにするのだから、これまたただ事で済むわけもない。

 

平成の特撮ヒーロー番組を語る上で避けては通れない脚本家・井上敏樹氏のシナリオに加えて『仮面ライダー555』で仮面ライダーカイザ・草加雅人を演じた村上幸平氏が企画・編集としてクレジットされた本作は、ハローキティが変身ヒーローとして悪との戦いに身を投じる姿を、絶妙にとぼけてヒネった調子でつづる異色のヒーローコメディになっている。

 

舞台は、宇宙人の勢力により地球人類がおびやかされている世界。平和を守るヒーローになりたいと正義感に燃える女の子・キティはネコ耳をイチゴ模様に飾り立て、イチゴ型のバックルがついたベルトを腰に装着した“イチゴマン”に扮して「ヒーローいらんかねー」と焼き芋屋のごとく町を巡回する日々を過ごしていた。

 

そんなおり、ヒーロー協会公認ヒーローを名乗る女が「無免許でヒーローを名乗るのは犯罪」「プロとアマチュアのヒーローの違いはそれでお金を得ているか得ていないか」「結局お金がこの世を左右する」とまくしたて、金さえ払えばヒーローの免許を売ってやるともちかけてくる……が、これが真っ赤なウソ! 純真なキティは全財産を巻き上げられ、文無しで路頭に迷う羽目に陥るのだった。

 

だが、捨てる神あれば拾う神あり。サンリオピューロランドの地下に建設された秘密基地を拠点とする、対宇宙人用の特殊部隊がイチゴマンの潜在的な超エネルギーに注目したのをきっかけに、キティはいよいよ本物のヒーローへの転機をつかむ。はたして彼女は夢をかなえることができるのか? そして同僚となった正義のイケメン戦士4人組に仲間として認めてもらえるのか? もしやそこから乙女ゲーめいた展開はあったりするのか? どうなんだ!?

 

がんばれイチゴマン! カワイイと強いをあわせもつキミの活躍をみんなが待っている!

 

……という具合で、単体変身ヒーローと戦隊ヒーローの型をミックスした塩梅で仕立てつつ、キャラの言動に細かい小ボケを多数挟んで飽きのこない楽しいマンガになっている。

 

「はじめにすべてを奪われてどん底から再起するヒーロー」というとベタだが、身体に深い傷を刻まれるとか親を殺されるとか村を焼かれるとかではなく、「実印と預金通帳とマンションの権利書を口先だけでだまし取られる」という社会的に生々しいダメージを、見た目ファンシーなキティちゃんが背負うギャップが笑えてしまう(いや悲惨なんだけども!)。

 

ここで注意したいのは、真のヒーローを目指すキティちゃん自身は大真面目で、その核心はギャグの中でもきれいに守られているところだろう。

 

2018年6月、サンリオの株主総会で社長の辻信太郎氏は同社のライセンスビジネスについて、いい商品をもっと売りたいというお店があればコラボによってサンリオのキャラをデザインに活用してほしいという主旨の発言で、「うちはお助けビジネスですから」と述べたという。

 

イチゴマンは、ヒーローになろうとしている……つまり、人助けをしたいということだ。コラボ旺盛なハローキティというキャラクターをマンガの物語へ乗せるにあたって、その造形はまさしくサンリオの理念まで貫いたものになっている。本作を読んでいて徹底的にコミカルでありながら一本筋のとおったものを感じるのは、それゆえかもしれない。

 

 

 

 

こちらの記事は、記事提供元のマンガの宇宙を旅するためのWebマガジン「コミスペ!」でも読むことができます。