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“今のうちに濡れていようよ”と彼女はいった。暑さとともに思い出すあの夏。『神様がうそをつく。』

年々暑さを増し、まだ5月というのに猛暑日に見舞われた今年の夏は一体どうなってしまうのか、今から恐怖しかない。
特に日本の夏はじっとりとしていて、どうも楽しい気分になれそうもない。

 

そんなとき思い出すのがこの作品。『神様がうそをつく。』

 

 

神様がうそをつく。 (アフタヌーンKC)
著者:尾崎 かおり
出版社:講談社
販売日:2013-09-20

 

 

 

 

なつるは小学5年生。転校して早々女子の告白を断ったがために、現在も女子からは総スカンをくらっている。

 

大好きなサッカーのおじいちゃんコーチも、急に若いコーチ変わってなんだか嫌な事ばかり続く……。

 

拾ってきた猫は母さんのアレルギーがひどくて家には置いておけるはずもなく、渋々元いた場所へ戻そうと家を出てみると、鈴村に会った。

 

鈴村はクラスの中でも大人っぽく、つかみどころのないクールな女の子。

養育費を払うなら猫を預かってくれるというので家まで届けに行くと、そこは少し古くて、子どもには広すぎる家だった。

 

 

©Kaori Ozaki/講談社

 

 

小学生だけの二人暮らし

鈴村の父親はお金を置いてカニ漁へ、母親はとっくに出て行ってしまい、今は弟と二人で父親の帰りを待っていた。

 

サッカーのコーチが嫌で、合宿をさぼった自分がちっぽけに思えた。

 

「うちにいてもいいよ。生活費500円ね。」

 

母子家庭のなつるは、家で仕事する母を気遣い、おじいちゃんの家に行くと嘘をつき、夏休みは鈴村の家にいることにした。

しっかり者の鈴村と、男らしいなつる、変わり者の勇太の夏休みが始まる。

 

 

©Kaori Ozaki/講談社

 

 

©Kaori Ozaki/講談社

 

 

夏の思い出はありますか?

小学生の夏休みといえば家族でどこかに出かけたり、自由研究を父親と考えたりと、人生の中で唯一“家族と過ごす時間”ではないだろうか。

 

私の父親はとにかく仕事が忙しい人で、ほとんど一緒に過ごした思い出がない。私と妹、弟の三人を母一人で連れ出すのは難しく、家でビデオを見たり、○○ごっこをして遊ぶのが我が家の夏休み。

 

小学4~5年生の頃、家に新しいビデオカメラがきた。従来の物よりも軽くなり、小学生の私にも操作は簡単だった。

 

よくテープの後ろに余りを見つけては、ニュースキャスターごっこをして遊んだ。

台本を作り、妹には中継先のインタビュアーをさせ、弟には散歩している犬の役を与えた。

その当時やっていたCMを再現したり、記者会見ではカメラのシャッター音まで声で再現させたw

 

今思うと、よく小学生であそこまでのクオリティを思いついたものだ。
(余程することがなかったのだろう……)

 

とまぁ、なんだかんだで妹弟のおかげで楽しい夏休みを過ごしていたと思う。

だからこの作品を読んだとき、子どもだけで過ごす夏休みに、とてもわくわくした。

 

鈴村となつるの絆、家族を大切に思う気持ち、夏の終わりとともにくる切ない結末から目が離せない。

ぜひ暑い日に読んでもらいたい作品である。

 

 

 

©Kaori Ozaki/講談社

 

 

尾崎かおりさんの絵が本当に大好きで、いつもキャラクターに感情移入しまくり。

表情豊かなのもいいのだが、無表情に遠くを見つめる姿が特に印象的で、マンガなのに見入ってしまう。特にまゆげが綺麗。

読み終えたら、きっとあなたは鈴村に恋してる。

 

 

神様がうそをつく。 (アフタヌーンKC)
著者:尾崎 かおり
出版社:講談社
販売日:2013-09-20