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好きなモノが失われるその前にありったけの愛を。『ロストフード』を読んでそんなことを考えた

皆さんこんにちは、“グルメマンガのレビューには定評のある男”森本です。

さて唐突ですが皆さんには忘れられない味ってありますか?

 

僕は叶うならもう一度、昔、西八王子に有った「星のすみか」のラーメンが食べたいですね。あと「タブクリア」とか。

 

今回ご紹介するのはそんな“忘れられない味”を再現して事件を解決する探偵を描いた物語『ロストフード -絶対味覚探偵モズの事件簿-』をご紹介します。

 

ロストフード(1) (イブニングコミックス)
著者:赤名修
出版社:講談社
販売日:2019-03-22

作者は名作『勇牛』の赤名修センセイ、主人公は売れない探偵業を営んでいるモズと呼ばれる男です。彼は探偵としてはからっきしですが、ただ一つ他の誰もが持ちえない唯一無二の能力を持っています。

 

その能力とは絶対味覚

一度口にした味は忘れない。そしてそれは調理されたものに限らず原材料にまで及びます。

 

そんな彼の元に飛び込んでくる依頼は“失ってしまった味”の探索と再現。

 

例えばコンビニの商品なんかは「千三つ」と言われるほどの競争が激しいとか。

これは1000発売された商品のうち生き残るのはその中の3つのみ、という世界です。

失敗したり、売れなかったりした商品はすぐに売り場から消えていき、時間と共に人々の心と舌からも失われていくものです。

 

本作で探求されるのは永谷園が売り出していたレトルトカレーやデニーズのジャンバラヤなどみなさんが聞いたことがあるメーカーや店舗での失われた商品です。

そして依頼を受けて再現をしていくのですが、このモズという男は舌の確かさもそうですが、食品に対する知識や造詣に人並み外れたものを持っています。

 

食事というのはどんなものを食べるかとかもとても大事ですが、誰とどんなシチュエーションで食べたとか、どんな時に食べたかとかが大きな味の要素になっていたりします。

恋人とのデートの時、友人とワイワイと食べる時、一人で静かに食べるなんて時もあります。

 

そんな経験やエピソードは誰にでもあると思います。そしてモズはわずかな情報から依頼人の思い出を復刻して見せます。

 

現代は、モノも情報も目まぐるしいスピードで動いていきます。

先ほどのコンビニの商品の話ではないですが、気になったものやお店なども気が付いたら無くなっていたなんてのは珍しくない時代です。

そんな時代に、大切な味や思い出を取り戻してくれるモズの物語を、皆さんも味わってみてください。

 

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実はマンガも例外ではなくて、先日まで並んでいた作品が今日明日に無くなってしまうこともあります。

僕たちが出来ることは好きな物や好きな人にはちゃんと『好き』を大きな声で届けることだと思います。

 

そして、そんな『好き』の輪を広げるのが僕がやっているマンガとコミニティのお店、コミックサロン『G.I.F.T.』です。

ロスト“フード”ではないですが、ロスト“マンガ”と出逢えたりしますので、岡山に来られた時はぜひお立ち寄りになってくださいね。

(公式ツイッター @vivatakavol2