TOP > マンガ新聞レビュー部 > 今のおすすめは?って聞かれたら間違いなくこれを推す。『水は海に向かって流れる』

今のおすすめは?って聞かれたら間違いなくこれを推す。『水は海に向かって流れる』

よくもまぁこんな傑作を描けるものだと心底感動した。

この作品はそういうタイプの傑作だ。

 

それがたとえマンガに限らなくても、何かを作ったりしてる人には、『やられた!!』となる作品と出逢う時がある。今回ご紹介するのはそんな作品。

 

 

水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)
著者:田島 列島
出版社:講談社
販売日:2019-05-09

 

 

田島列島センセイの、じつに5年ぶりとなる新作は、まさに僕たちの心を打ちぬく一作でした。

 

物語は高校進学を機に、実家ではなくて叔父の暮らす下宿先から通うことになった主人公の直達(なおたつ)。

 

しかし、駅に迎えに来たのは見知らぬ大人の女性の榊さん。

 

最初こそ叔父との仲を怪しみましたが、それよりなによりサラリーマンだったはずの叔父さんは漫画家になっていて、榊さんの他にも一癖も二癖もあるような変人……じゃなくて、個性的な面々が、その家で一緒に生活をしていたのです。

 

大人のおねえさんと、質の良い牛肉に魅せられてしまうのは、世の思春期の男の子の性ですが、直達と榊さんの間には、実は浅からぬ不思議な因縁があったのです。

 

その不思議な因縁とは何か?は読んでいただいたくとして、世の中には知らないことがよいことの方が確かにあったりはしますけど、直達はある日、ふとしたきっかけで、因縁の内容を知ってしまいます。

 

知ってしまった以上、以前と同じというわけにはいきません。

 

どうにかしないといけないのは分かっているんだけど、直達にはそのためのいい方法がどうにも思い浮かびません。

 

ギクシャクしながらドギマギしながら、それでも明日は来るし、みんなそこにいる。奇妙な縁で生まれて始まった共同生活。

 

この物語は終わりまで目が離せませんし、ずっとこの物語に浸っていたいほどの傑作です。

 

絵のポップさやセリフ回し、物語の良さや設定、テンポとすべてが素晴らしいです。

こんな最高の作者さんを知らなかったのは一生の不覚だし、このタイミングで出逢えたのは奇跡です。

 

言葉でどんなに語るよりもとりあえず一話だけでも読んでもらえればこの興奮が伝わると思います。

 

え? 講談社さんのアプリ『マガポケ』で読める?

もうホントにぜひ読んでください。

そして撃ち抜かれてください!!

 

—————————-

「マンガと貴方が出逢う店」comic salon『G.I.F.T.』オーナー森本タカシ
岡山初のマンガサロン運営中 公式ツイッター: @vivatakavol2