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アニメで評価の高い作品をあらためて原作で!『HELLSING』全10巻

私は毎月100本ほどアニメを観ていますが、アニメを経て、原作であるマンガを読むこともしばしばです。

 

アニメファンの中で高評価な作品のひとつに『HELLSING』(OVA版)があります。

このOVA版は10年以上も前にリリースされていますが、異常に高い完成度で、現在でもDVD、Blue-Rayで売れ続けているという作品です。

 

なぜ「OVA版」と但し書きするかといえば、地上波TV版は放送されたとはいえ、平野耕太先生もかなりご不満だったという噂の出来栄えで、現在、公式サイトでも、“TVシリーズは黒歴史”とハッキリ書かれています。

HELLSINGファンの間では「TV版なんてなかったんや……」がお約束となっています。

(秀逸なOVA版のトレーラーはこちら

 

 

吸血鬼を殺すのにうってつけなのは超一流の吸血鬼

 

『HELLSING』は1998年から約11年に渡って連載された、平野先生独特のタッチと世界観で描かれたバンパイア・ダーク・ファンタジー。累計販売部数400万部超のいわば伝説的マンガです。

 

20世紀末、イギリス各地で吸血鬼事件が発生する。吸血鬼征伐の特命機関である王立国教騎士団は、辣腕の処女・インテグラ・ヘルシング率いる「ヘルシング機関」と呼ばれていた。インテグラは最強の吸血鬼・アーカードを下僕として多数の兵士とともに、血なまぐさい事件を制圧していく。

 

©平野耕太/少年画報社

 

吸血鬼征伐をめぐり、英国国教会と対立するバチカンは、驚異的な能力を持つアンデルセン神父をアーカードと対峙させ、ヘルシング機関の殲滅を図る。

インテグラとバチカンの緊張状態のなか、自ら吸血鬼と化したナチ残党の一個大隊が英国とバチカンに大戦争を仕掛ける。

三つ巴のなか、おびただしい血が流されていく。

 

 

 

好敵手あっての主役映え

あらすじだけだと、歴史物かと思われるかもしれませんが、これは人間と吸血鬼のバトルロイヤル。

それぞれの目的のために、お互いを力ずくで潰しあい、殺し合います。主人公アーカードの無双ぶりはハンパなく、勝ち負けでドキドキするのではなく、どんな戦い方、殺し方をしてくれるのだろうとワクワクしてくる自分に気づきます。

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

その無敵のアーカード唯一の好敵手が、バチカンのアンデルセン神父。人間です。

『HELLSING』において、主人公アーカード以上にファンが多いと言われているほど、戦い方と生き様がとにかく凄まじい。

神の道理に従い、道を外れた吸血鬼ども(と異教徒ども)を成敗することに微塵の躊躇もなく、対吸血鬼戦闘用に練られた身体能力は、アーカードの無双とはまた違った強さがあり、読んでいて畏怖すら感じます。

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

色気と狂気と哲学の世界

アメコミのようなコマ割りと描線、ベタの多様でダークな世界観を表現し、ヒラコー節と呼ばれるセリフ回しは、強烈な個性そのものです。

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

 

『HELLSING』は湿った殺気の飛び交うバンパイアハンターストーリーであるとともに、“人間と化け物”の悲しい物語でもあります。

 

無双の吸血鬼アーカードは嗜虐性もある好戦的な性格ですが、その反面、自分のような化け物は正しく“人間”に殺されなければならない、との語っており、人ならざる者の悲哀が常に付きまとっています。その憂いが色気となって女性ファンにはたまらないのですが……。

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

手足がちぎれ、頭が吹っ飛ぶ戦闘を繰り広げる三つ巴の戦いを俯瞰してみてみると、物語の核が「人間とは、何をもって人間と成りえるのか」という命題が浮かんできます。

 

もとは人間として生を受けたものが、バンパイアに、その眷属に、グールに、アンドロイドに、と成り果てる。

――そこにある人格や意思は、人間のそれとどう違うのであろうか。

人間とそれ以外であることは、パッケージの違いだけなのではないだろうか。

 

個性の強い作家さんによる作品は、キャラも個性派です。私の推しは、世界一かっこいいデブキャラの「少佐」です。OVA版で見事な怪演ぶりで、声優さんなら一度は演じてみたいキャラでしょう。

 

 

©平野耕太/少年画報社

 

 

熱狂的なファンによって世紀をまたいでもなお読み続けられているレジェンド作品。

『HELLSING』と耳にしたことがあるなら、ぜひこの機会に読んでみませんか?