TOP > マンガ新聞レビュー部 > なんとなく大人になってしまったすべての方に——大人の自分と向き合える『大人スキップ』

なんとなく大人になってしまったすべての方に——大人の自分と向き合える『大人スキップ』

「大人」とは、どのような生き物なのだろうか。どうすれば「大人」になれるのだろうか。

 

そもそも私たちは、「大人」にならないといけないのだろうか。

 

 

今回はそんな大人のあり方を問う、喜悲劇が描かれた漫画『大人スキップ』をご紹介いたします!

 

 

大人スキップ 1 (ビームコミックス)
著者:松田 洋子
出版社:KADOKAWA
販売日:2017-02-25

昏睡状態から目を覚ますと、そこは26年後の世界

主人公の日野希子は、中学2年生の14歳の時に自宅で事故に遭い、昏睡状態になります。眠り続けていた希子が奇跡的に目を覚ましたのは26年後の世界。そう、希子は40歳になっていたのです。

 

「わかりますか?自分のこと」というお医者さんからの質問に、希子は「北山中学校2年2組、日野希子です」と答えます。

 

 

目を覚ました世界では両親が他界しており、自分が40歳であることも自覚できないまま、希子の心と体が一致しない生活が始まります。

 

現実を受け入れることのできない希子に、病院の清掃係である黒田けいとが手を差し伸べます。けいとは希子より少し年上の女性で、希子が昏睡状態の時に毎日声をかけてくれていました。

 

けいとは希子に対して親身になり、外へ連れ出し、さまざまなことを教えてくれます。

 

 

見た目は子ども、頭脳は大人…は悲劇な話ではない

大人の精神のまま肉体が若返るパターンの作品はよくありますが、『大人スキップ』は主人公の精神は子どものままで肉体が年を取ります。

 

大人の精神のまま肉体が若返ることはありえませんが、 希子のパターンは誰しもに起こりうる可能性のあることです。

 

 

仕事や恋など、さまざまな経験をしないまま40歳になる。目を覚ますと知っている自分ではなくなっている。14歳の自分で想像すると恐ろしい話です。奇跡的に目を覚ましたことも悲劇だと思い、生きていくことに恐怖しか感じなくなりそうです。

 



しかし希子は、知らぬ間に流れていた時を取り戻すために、必死で世間に順応しようと頑張ります。そのため、女子高校生に傷つけられたり、詐欺に遭ってしまったり、いろいろな辛いことに直面します。

 

それでも自分の人生に挑戦し続ける希子の姿に、親が子どもの成長を見守るような気持ちで希子を応援したくなります。

 

 

大人の自分と向き合う

子どもの頃は「将来の夢は?」と聞かれることがよくあります。社会人になると少し減り、30代40代になると更に減っていきます。

 

いくつにもなっても将来はあるのに、なぜ減っていくのでしょうか。なぜ大人になると、子どもの頃のようにさまざまなことが楽しめなくなるのでしょうか。

 

 

『大人スキップ』は、そんな大人の自分と向き合うキッカケを与えてくれます。そして最後はまさかの展開が待っています。

 

なんとなく大人になってしまったすべての方に、ぜひ読んでもらいたい漫画です。

 

 

大人スキップ 1 (ビームコミックス)
著者:松田 洋子
出版社:KADOKAWA
販売日:2017-02-25
大人スキップ 2 (ビームコミックス)
著者:松田 洋子
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
販売日:2017-12-11