TOP > マンガ新聞レビュー部 > 夫に浮気された元・箱入り娘の黒髪美人が「男を買う」背徳感――…山崎紗也夏の林檎シリーズ第3弾!『ひみつの林檎』

夫に浮気された元・箱入り娘の黒髪美人が「男を買う」背徳感――…山崎紗也夏の林檎シリーズ第3弾!『ひみつの林檎』

 

真面目そうな黒髪美人が、性や恋に乱れる姿はなぜこんなにも背徳的で魅力的なのだろうか。

 

今日紹介するのは山崎紗也夏先生の”林檎”シリーズ第3弾。
『ひみつの林檎』です。

 

 

ひみつの林檎 (ニチブンコミックス)
著者:山崎 紗也夏
出版社:日本文芸社
販売日:2019-04-19

 

 

舞台は北海道小樽市、小さな飲み屋で話題の黒髪美人「林檎」が主人公。

 

彼女の過去を知る人は誰もおらず、かと言って適当な男にはなびかない――…ミステリアスな雰囲気をまとう女性です。

 

林檎は飲み屋で働きながら、とあることをしていました。
それは”条件にあう男”を探すこと。

 

地元の者ではなく、従順で、2度と会うことがなく、昔の彼女を知らない男を探し、金で買っていたのです。

 

 

©山崎紗也夏/日本文芸社

 

 

元箱入り娘で、バイトや友人との旅行、一人暮らしもしたことがなかった彼女の男性経験は、両親に言われるがままお見合い結婚をした夫ただ一人だけ。

 

けれども優しくて、一番の味方だと思っていた夫が、浮気をしていた事実にショックを受けた林檎は、家から逃げる選択をします。

 

しかし性に目覚めかけていた火照る身体を抑えきれず、夫からの逃亡生活の中で林檎が選んだのは男を買うという行為でした。

 

 

なぜ林檎は夫から逃げ続けているのか?
ところどころでほのめかされる、あと一年という期限は一体何を指すのか。

 

 

林檎が抱えている謎も気になる本作ですが、一番の見どころはなんといってもそこはかとなく漂うエロスだと私は思います。

 

見え方によっては不幸とも思える生い立ち。
持ち前の品の良さからは想像もつかない大胆な欲望。

 

このふたつが掛け合わさると、まるで団地妻…未亡人…そんなジャンルに似た、しっとりとした背徳的な極上のエロスが生まれるのです。

 

大学生の女性がだいぶ年上の危険なヤクザに恋をする『潜熱』といい、『ひみつの林檎』といい、真面目そうな黒髪長髪美人が性や恋に振り回される姿は、なぜこんなにも危なっかしくて目が離せないのでしょうか。

 

エロではなく、エロスなんです。
すごく感覚的な問題なのでお伝えするのが難しい、ああ、このときばかりは自分の語彙力のなさを恨みます。

 

ただ男を買うだけの物語だと、味気のなさを感じますが、本作ではヒッチハイクの旅をしている好青年とのひと時も描かれます。

 

 

©山崎紗也夏/日本文芸社

 

©山崎紗也夏/日本文芸社

 

 

女性が、性的欲求だけではない感情を自覚しかけた時に見せる愛らしさ。
そこに焦りが混じったこの表情――…なんともそそるものがありませんか?

 

ただ寂しい女というだけでは終わらない、人間らしさあふれる情も描かれた本作は「林檎シリーズ」とされており、実はあともう2作品あります。

 

コメディタッチで描かれた『はだかの林檎』

 

こちらの作品の主人公も、名前は林檎ですがまた別の人物となっています。

 

7歳下の会社の部下と何度か身体を重ねながら、主導権を握り、自らの快楽を追い求める林檎は「男を抱く」のです。

 

しかしそれも初めのうちだけで、途中からベッドの上でどちらが主導権を握るか=どっちが先に相手の乳首を舐めるか、のようなバトルが始まります。
(しかも林檎が一方的に考えているだけという)

 

しっとりというよりかは、どちらかと言えば豪快でコメディに近い性行為が描かれますが、後半になるにつれて後輩との関係が徐々に変化していき、主人公林檎をかわいいと思える一作です。

 

はだかの林檎(1) (ニチブンコミックス)
著者:山崎 紗也夏
出版社:日本文芸社
販売日:2016-04-18

 

恋愛要素が強い『となりの林檎』

 

この作品の主人公・林檎は、夫に先立たれてからというもの一人Hで自らの性欲を満たしている未亡人です。

 

そんな一人Hの最中の声をおそらく聞かれてしまったであろう、隣に越してきた青年が、なんと夫そっくりというドストレートな設定から、ふたりの関係が始まります。

 

本作の見どころは、他の2作に比べると比較的爽やかな恋愛物語ながら、青年の元カノが良いスパイスになっているところでしょうか。

 

私は女ですが、自分勝手でサバサバしている女、嫌いじゃありません。
大胆な見開き開脚にも大注目の一作です。

 

となりの林檎 (ニチブンコミックス)
著者:山崎紗也夏
出版社:日本文芸社
販売日:2018-01-29

 

 

『ひみつの林檎』『はだかの林檎』『となりの林檎』3作合わせて、ぜひお楽しみください。

 

(文:こまちゃん

 

 

ひみつの林檎 (ニチブンコミックス)
著者:山崎 紗也夏
出版社:日本文芸社
販売日:2019-04-19