TOP > マンガ新聞レビュー部 > 年間40作の新連載を手がけるWEBマンガの編集長がおすすめするのは、音が聴こえてくるジャズマンガ!?『BLUE GIANT』

年間40作の新連載を手がけるWEBマンガの編集長がおすすめするのは、音が聴こえてくるジャズマンガ!?『BLUE GIANT』

マンガ新聞をご覧の皆さま、はじめまして。
佐藤光紀と申します。
私の本業はインターネットの広告やメディア、コンテンツを手がける会社
(セプテーニグループ)を経営、近年はマンガ関連のウェブサービス開発に注力しています。

 

GANMA!(連載型の新作マンガ配信サービス)
www.ganma.jp


RouteM(若手、新人マンガ家の育成プログラム)
www.routem.jp

 

お陰さまで、これまで沢山のユーザの方々にご利用頂いています。

あまり公の場で話したことはないのですが、実はわたくし、無類のマンガ好きでして
この30年以上、常に200〜300タイトルはレギュラーで読み続けているという
かなりヘビーなマンガ読みでもあります。

雑誌、単行本の読み方、少年誌、青年誌、一般誌、女性誌といったジャンルも問わず、
あらゆるタイプのマンガが好きです。

(現在も雑誌で追いかけているのはヤングジャンプ、ヤングマガジン、モーニング、イブニング、スピリッツ、オリジナル、ビッグコミック、あとは不定期でスペリオール、アフタヌーンあたり、少年誌、女性誌は時間の都合で泣く泣くリタイア(笑)し、個別作品ごとに単行本でカバーしている感じです)

 

 

私が皆さんにオススメしたい、愛するマンガ作品は数多くありますが、今回取り上げさせて頂くのは『岳』の石塚真一が描くジャズマンガ『BLUE GIANT』です。

『BLUE GIANT』は全10巻で完結し、主人公・大が世界へ挑む活躍が描かれた続編『BLUE GIANT SUPREME』が、現在ビッグコミックで連載されています。

BLUE GIANT (1) (ビッグコミックススペシャル)
無料試し読み
著者:石塚 真一
出版社:小学館
販売日:2013-11-29

この作品は、仙台に住む高校生、宮本大が、世界一のジャズプレーヤーを目指し、
様々な経験を積みながらミュージシャンとして、また人として一歩一歩成長していく姿を描く、熱く、骨太な人間ドラマです。

 

何しろジャズ。ジャズですよ皆さん。

マンガにも色々なジャンル、題材がありますが、音楽マンガは、とても難易度の高いもののひとつと言えるのではないでしょうか。

音はね、聞こえないですからね。そもそもマンガでは。

そんなハンディキャップを持った上で、面白いマンガを描くには、
魅力的なキャラクター、ストーリー、画力、構成、演出など、相当な実力が求められる訳であります。

バンドや音楽を扱った素晴らしい作品は他に幾つもありますが、
中でもこの『BLUE GIANT』はスゴい。

音が、聴こえてくるんですよビリビリと。マンガから。熱く、激しく(もちろん、比喩的な意味でね)。

 

 

©石塚真一/小学館
©石塚真一/小学館

 

 

この『BLUE GIANT』の魅力を一言であらわすならば、
「人が、人の感情を動かす瞬間を、1話ごとに凝縮し、色鮮やかに描いている」
といったところでしょうか。

 

主人公、宮本大の鳴らすサックスの音が、ひとり、またひとり、周りの人間に熱を与えていく。

高校の親友、大が淡い想いを寄せる同級生、舞。バイト先の店員、楽器屋の店長、ライブハウスのオーナー、大の音楽の師匠となる凄腕のジャズミュージシャン、由井。

そして、深い愛情で大の挑戦を応援する、大の家族。

怒り、哀しみ、喜び、感動、あらゆる感情を、音に乗せて、ジャズに込めて、
大はサックスを吹く。吹き続ける。

 

静かに物語は進みます。

尖ったギミックを持ったキャラクターも、先の読めないストーリー展開も、
そこにはありません。

だが、激しい。熱い。

人間を、深く、真摯な姿勢で、見つめ、描く。

人の持つ情熱、エネルギーが、周りの人を前へと動かしていくさまが、
圧倒的な躍動感を持って、1話1話ごとに凝縮されています。

作者のヒット作『岳』は山が題材のため、人の生死を扱うシーンが多く
感情を揺さぶるスイッチが割と入りやすかったのですが、
それを、より難易度の高い音楽マンガ、しかも決してメジャーなジャンルとは言えないジャズマンガに取り組んで、ここまでの作品に仕上げていく作者の挑戦にも、心から尊敬の念を抱くのと同時に、表現者としての凄みを感じます。

また『BLUE GIANT』はマンガを通じて、ジャズを描いた作品であるのと同時に、
このマンガそのものが、ジャズなのです。

インプロヴィゼーション(即興演奏)を中心に、人と人が、その瞬間の閃きで、
お互いの感情を音にぶつけ、Grooveを生み出す。

ジャズが持つ魅力を、ここまで色鮮やかに描いた作品を、私は他に知りません。

大人が読むに相応しい、骨太な人間ドラマ。

皆さんも、ぜひ、手に取って『BLUE GIANT』を感じてみましょう!

きっと、ジャズが好きになりますよ。

 

 

BLUE GIANT (1) (ビッグコミックススペシャル)
無料試し読み
著者:石塚 真一
出版社:小学館
販売日:2013-11-29
BLUE GIANT SUPREME (1) (ビッグコミックススペシャル)
著者:石塚 真一
出版社:小学館
販売日:2017-03-10