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やっぱり犬だ…「幸せは感じるもの」と教えてくれた『世界の終わりに柴犬と』

ここ数年、空前の猫ブームだが、犬人気がだだ下がりというわけではない。

 

なんでも「2018年全国犬猫飼育実態調査結果」(一般社団法人ペットフード協会発表)によると、日本で飼われている犬は約890万頭、猫は約964万頭。たしかに猫が犬を上回っているのは事実だが…。

それはそれ、犬は犬。では今ちょっと気になる柴犬ブームに目を向けてみる。

 

「犬種別犬籍登録頭数 2008年1月-12月」(一般社団法人ジャパンケネルクラブ発表)で柴犬は第5位。そして今、柴犬専門誌、情報メディア、グッズサイト、バーチャル柴犬など、柴犬ワールドは拡大している。私の友人知人にも目を輝かせて柴犬を語る人が何人もいるし。

 

今回手に取った柴犬マンガ『世界の終わりに柴犬と』。
柴犬がたまらなくいい!ヒトと犬の関係性は素晴らしい!泣ける…。
犬というものは、なぜこんなにも愛おしいのだろう。

 

世界の終わりに柴犬と (MFC)
著者:石原 雄
出版社:KADOKAWA
販売日:2018-11-21

 

Twitterで累計30万RT突破した大人気柴犬マンガ!
ちょっとドライで自由奔放な女子高生と、ときに理屈っぽくもキュートな柴犬のほんわか日常譚。

 

人間社会が終わり、たったひとり生き残った人間である女子高生と柴犬ハルが、廃墟と化した世界を旅する。

 

そこでは、農作業をしたりバーを営む地球外生物と遭遇したり、のんびり釣りをしているとイルカや河童を釣ってしまったり、飼い主を失った野良柴がうらやましくてふたりの後をついてきたり…。

 

柴犬を通してヒトとは何かを考える旅の物語

 

おしゃべりする柴犬はカワエエし、女子高生との会話は微笑ましく、ありえないあるわけない世界の設定、シュールな登場人物にもクスクス笑いが連発するユーモア満載の『世界の終わりに柴犬と』。

 

ときに哲学的な言葉を発し、理屈っぽいぞと飼い主の女子高生にお顔をびろーんと引っぱられる柴犬ハル。この物語の中のお決まりシーンにして、女子高生と柴犬の幸せな関係性を感じるところ。

 

その柴犬ハルの理屈っぽい言葉、じつは的を射ていて私には刺さるものが多い。

「幸せは実在しません。幸せは感じるものです」

たしかに幸せかどうかはそのものには存在しない、自分がどう思うかだ。ましてや他者にあーだこーだ言われたくない。とあらためて心に刻む私。

 

この作品には、珠玉の言葉たちが随所に鏤められている。

 

作者・石原雄さんは、この物語についてあとがきにこう記している。

「人間関係も社会も法律もない自由な世界で、本来ヒトは何を求め何を目指すのか…柴犬のハルさんを通してヒトとは何かを考える旅の物語」

私はこの作品を読んで泣いた。

 

永眠してしまったチワワと二人暮らしをしていた頃のかけがえのない幸せな日々を思い出し、そして自分の生き方について問い直す必要があるなと。

 

 

世界の終わりに柴犬と (MFC)
著者:石原 雄
出版社:KADOKAWA
販売日:2018-11-21