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知られざるバトン競技の世界を覗いてみよう!『バトンの星』!

こんにちは!

今回は、矢島光さん著『バトンの星』(集英社・ヤングジャンプ)をご紹介します。

 

バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

知られざるバトントワリングの世界

 

皆さんがバトンと聞いたとき何を思い浮かべますか?

おそらく金属の棒をくるくると華麗に振り回すパレードや、マーチングメドレーの方を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

また、少女時代にくるくるとバトンを回すことに憧れて、練習した方も多いのでは?

 

けれど競技としてのバトンをご存知の方は少ないのではないでしょうか?

『バトンの星』は、競技としてのバトンの世界が綿密に描かれています。

 

バトンを用いた競技は「バトントワリング」と呼ばれており、バトン技術や演技の表現力で競う世界大会まで開催されています。(知らなかった…!)

 

とはいえ、まだまだマイナー競技。

矢島光さんはそこに焦点を当て、知られざるバトントワリングの世界を広く世に伝えているという点が、まず初めの大きな功績なのではないかと思います。

 

この漫画は、かつて世界大会で一位を目指した主人公・桐谷が男子高校生と出会い、バトントワリングのコーチを務めるというお話です。それを通して、主人公自身も徐々に輝きを放っていきます。

 

好きなことに没頭する姿は美しい

 

かつてバトントワラー(選手)だったアラサー女子の桐谷は、バトンの世界から遠のき、平凡なOLとなっています。

ただただ、「熱中できる何か」をさがして――。

 

しかしバトンに再会したことがきっかけで、学生時代の競技にかける想いや夢を思い出し、自らも輝きを取り戻していきます。

自然にプライベートが充実し、バトンを通してやりたいこと・目標を見つけ、さらに恋の気配まで近づくという好循環が生まれていきます。

 

「バトンに取り組んでいる姿が一番美しい」

 

と周囲から言われるほどに――。

 

好きなことというのは、こんなにも人の能力を引き出させてくれるものだと改めて認識させてくれます。

没頭できるほど好きなことは、自然とその人自身を変えていく。

そんな没頭できることに出会えたら、そんなに恵まれていることはないでしょう。

 

主人公と同様に、平凡な毎日に退屈を感じていらっしゃる方がいたなら、「よし!好きを探してみよう」と元気をもらえるのではないかと思います。

 

矢島光先生のバトン漫画にかける想い

 

もう一点お伝えしたいのが、作者矢島光さんの『バトンの星』にかける想いです。

 

連載が始まる半年ほど前に、あるイベントで同席させて頂き、出席者同士で自己紹介を行う機会がありました。

その際「バトン漫画が描きたいです」と明確に仰っていました。

 

彼女自身も学生時代にバトントワラーとして競技に取り組んでいたとのことで、バトントワリングという一般にはまだ認知度が低い競技を、世に伝えたいという熱い思いが伝わってきました。

 

連載に向けても、アシスタントや美大予備校に通って作画技術を鍛えられたとのことで、代表作『彼女のいる彼氏』(新潮社既刊2巻)との絵の違いも味わうことができます。

 

下積みや準備期間を経ての本作、読み手としても味わい深い一冊です。

念願叶ってのバトン漫画の発表、心待ちにしていました!

 

本当におめでとうございます!

 

 

バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)