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歴史に名を残す「悪者」の生きざまとは…!?社会人にこそ読んでほしい完結漫画『蒼天航路』

井上雄彦先生の大変有名な漫画『バガボンド』は、

「宮本武蔵」をタイトルに含まないことで、「歴史モノ」や「宮本武蔵モノ」が苦手な読者層にも手に取ってもらえるようにした、という話をどこかで見聞きしたことがあります。

違っていたらすみません。

 

結論から言ってしまえば、『蒼天航路』は三国志です。

劉備もいれば、曹操もいます。孫権もいれば、呂布だっています。

しかし、そこに勧善懲悪の要素はありません。

 

『蒼天航路』は、どこまでも人間に焦点を当て、それぞれの覚悟や決断を追いかける人間の物語なのです

 

 

蒼天航路(1) (モーニングコミックス)
著者:王欣太
出版社:講談社
販売日:2012-09-28

 

 

「悪者」曹操を主人公に据え、「当然」を破壊していく新感覚のストーリー。

 

漫画や小説、またゲーム等で、曹操は悪者として描かれることが多いです。

 

それも当然のことだと思います。

人徳溢れる劉備を主人公に、彼を慕う義兄弟の豪傑、関羽と張飛を名脇役に添え、巨悪である曹操を倒して国を作る。

 

正義の劉備と悪の曹操がいて、勧善懲悪。

これほどわかりやすいモチベーションはないでしょう。竹谷も大好物です。

 

そこに一石を投じるのが『蒼天航路』です。

曹操は本当に悪で、劉備は本当に正義なのか。

 

読み進めていくと、「やりたいこと」を実現するため、

まっすぐに動く人たちがいるだけなのだと思えてくるはずです。

 

王になりたい、国を作りたい。

だから手段を選び、責を負っていく。

 

曹操も劉備も、超やる気があるにすぎません。反面、悩みもすれば誤ることもあります。

結局、今の我々と大差ない人間でしかないのです。

 

気付けば、曹操すなわち悪者といった「当然」の認識は消えています。

体のコリと同様に、思考のコリがなくなる感覚は気持ちのいいものです。

正義と悪の二元論以外にも、『蒼天航路』にはコリのなくなる瞬間がたくさんあります。

 

みんなの笑顔が見たいのか。自分に笑顔を向けてくれる人が欲しいのか。

 

上記のような台詞が、物語中盤に用いられます。

前職で部長をしていた頃、頭から離れなかった言葉です。

従業員の笑顔のため、たいして鋭くない鉈を振るったこともあります。

 

『蒼天航路』は人間の物語であると同時に三国志でもあるので、曹操は天下取りのために奔走します。

ただの兵から始まり、ライバルと戦い策略を練り、土地や職位を手に入れ、果てに王へと到ります。

 

そして職位に応じて、考えるべきことが変わってくるのです。

 

兵であれば、どう戦うか。

将であれば、どう率いるか。

王であれば、どう治めるか。

 

曹操は人生を通じて、それぞれの階段で考え、実践していきます。

 

逆境もあれば、順風もあります。

曹操が天下統一のため、判断し行動していくさまは、

現在の我々にも「どう生きるか」「どう働くか」という観点で見習うことが少なくありません。

 

「上司がなにを考えているかわからない」

「部下が話を聞いてくれない」

 

そう思い悩んだことがある人なら、読んで損はないと思います。

娯楽としても、ビジネス書としてもオススメできる漫画です。

 

それにしても、三国志という訴求力のあるものを題材にしながら、タイトルに起用しない心意気。

もとから三国志好きな高校生竹谷は即堕ち2コマでした。

 

※王欣太先生は現在『達人伝-9万里を風に乗り-』を連載中です!!

 

蒼天航路(1) (モーニングコミックス)
著者:王欣太
出版社:講談社
販売日:2012-09-28
蒼天航路(1) (講談社漫画文庫)
著者:王 欣太
出版社:講談社
達人伝 ~9万里を風に乗り~ : 1 (アクションコミックス)
著者:王欣太
出版社:双葉社
販売日:2013-11-28