TOP > マンガ新聞レビュー部 > 作者の独特な"食"への感性がさく裂!魔物を調理して食べる『ダンジョン飯』や、記号を食べる『ひきだしにテラリウム』をおすすめしたい。

作者の独特な

とある小さな村。

ある日小さな地鳴りとともに地下墓地の底が抜け、奥から1千年前に滅びた黄金の国の王を名乗るひとりの男が現れる。

 

彼は告げた。かつての黄金の国は、狂乱の魔術師によって地下深く今なお囚われ続けていると。

そして、その魔術師を倒した者には我が国のすべてを与える、と――。

 

人々はその言葉を聞き、地下深く繰り広げられる超巨大な迷宮(ダンジョン)探索を始める!
獰猛で危険な魔物を倒し、一体だれが「黄金の国のすべて」を手に入れるのか・・・!?

 

と、いうことがこの物語の本筋ですが、主軸ではありません!

 

『ダンジョン飯』のメインテーマは「ダンジョン」で食う「飯」!!
もちろん魔物だって食べて自給自足します!!

さて魔物たちはどう調理され、どんな味がするのでしょう?
本日は、摩訶不思議料理漫画をご紹介します。

 

 

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン

 

 

「迷宮内 食物連鎖」を説明されても困る

 

何人かでパーティーを組み迷宮探索をしていた主人公は、最深部でドラゴンに襲われ、実の妹・ファリンを食われてしまいます。

 

全滅寸前でファリンがかけた魔法により、迷宮の外まで脱出できた主人公たちですが、まだ迷宮内に残された彼女を助けるべく、すぐに引き返すことにします。

(準備を整えている間に妹が消化されてしまうので・・・)

そこで彼らは、迷宮内を自給自足しながら進むことにしました。

主人公曰く迷宮内には生態系が存在しているというのです。

 

「肉食の魔物がいればその糧となる草食の魔物が!
 草食の魔物が食う植物に
 植物の栄養となる光や土が!」
「すなわち
 人間も迷宮で食っていけるということだ!」

 

いや、極論すぎない!?

と思った人も多いでしょう。

実際問題、一緒に迷宮を探索する仲間たちも顔面蒼白でした。

 

そして彼らは最初のたべもの(魔物)にありつきます。

歩き茸です。

 

「ヤダ――ッ」

 

と仲間からの反論がある中、『迷宮グルメガイド』を取り出した主人公は、歩き茸は食べられて肉厚で癖のない味わいだと説明します。

 

シイタケかよ。

と思わず心の中で突っ込みを入れましたが、ここから彼らの自給自足生活が始まります。

 

 

いざ実食!魔物の驚くべき調理法

 

歩き茸と大サソリを獲った一行は、水炊きにしようとします。

するとそこに、大きな斧を抱えたひげ面のドワーフが登場し、魔物の調理法について口をはさんできます。

 

①大サソリはハサミ・頭・足・尾は必ず落とす。身に切れ込みを入れると熱も通りやすく、出汁もでる。(1巻)

②スライムは柑橘類の果汁を加えた熱湯でよく洗い、水分をよくふき取るか塩を揉みこみ、じっくり天日干しをする。(1巻)

 

などです。やけに詳しい。
彼のおかげで美味しいご飯を食べることができた主人公たちは、そのまま一緒に行動を共にすることになります。

 

この後も、迷宮深部に進むにつれて出てくる魔物を美味しく(ときには不味く)食していきます。

 

私的には第3巻で出てきた、植物の蔦や根のようなアイビーテンタクルスを酢で洗い、断面へ十字の切り込みを入れて縦に割き、まるでバナナかのように食べるシーンが好きでした。

 

 

作者・九井諒子先生の独特な感性がすばらしい

 

私は九井諒子先生の作品が好きで、大体漫画を読んでいます。
特におすすめなのが短編集の『ひきだしにテラリウム』です。

 

このなかで「記号を食べる」という漫画があり、まる〇・さんかく△・しかく□を食べます

「な・・・なにを言ってるんだこいつ・・・」

と思った人は、ぜひ読んでください。すっきりします。

 

たとえば〇は、塩コショウのようなものをかけて、バターを溶かしたフライパンで炒めて食べていました。

その際、フォークとナイフで〇を切るのですが、その時の効果音が「キコキコ」なんですよね。

 

当時大学生だった私は、そのシーンになんだかとても大きな衝撃を受けました。

ためしに他の効果音を考えてみたのですが、「キコキコ」以上にしっくりくるものはありませんでした。

〇って弾力と少しの摩擦力がありそうなので、食べた時にモキュモキュしそうです。

 

ひきだしにテラリウム
無料試し読み
著者:九井諒子
出版社:イースト・プレス

 

このように、なんとなく抱いている日頃のイメージを、言語化して漫画に落とし込むところが九井先生のすごいところだと思います。

 

 

『ダンジョン飯』でも、九井先生の独特な感性がさく裂しているので、楽しみながら読み進められました。

ちなみに、少しネタバレになりますが妹・ファリンを救った後も旅は続きます。

しかも物語はどんどん真剣な展開になっていきます。

 

ダンジョンで食すご飯がメインテーマであることは変わりませんし、一番の見どころだとも思っていますが、
きちんと物語としても第4巻以降でどんどんおもしろくなっていくので、ぜひ読んでみてください!

 

文:駒村(@koma_ja

 

▼現在第6巻まで発売中!▼

 

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
ダンジョン飯 2巻 (ビームコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
販売日:2015-08-12
ダンジョン飯 3巻 (ビームコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
販売日:2016-08-12
ダンジョン飯 4巻 (ハルタコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA
販売日:2017-02-15
ダンジョン飯 5巻 (ハルタコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA
販売日:2017-08-10
ダンジョン飯 6巻 (ハルタコミックス)
著者:九井 諒子
出版社:KADOKAWA
販売日:2018-04-13