TOP > マンガ新聞レビュー部 > 少年期の性の暴走が描かれた漫画『水色の部屋』母が目の前で乱暴される姿に欲情する少年の結末とは(上下巻完結)

『水色の部屋』の主人公は、若くて綺麗なお母さんがいる童貞少年。
彼はそのお母さんがDVを受け、レイプされるのをみて欲情している歪んだ性の持ち主だ。
正直言って世の中の童貞男子なんてものは、そういう歪んだ性の持ち主であることがほとんどだ。
もちろん、ソッチのほうが普通なのかもしれない。だけど、それを正面切って吐露する者など居るわけがない。
そもそも若くて綺麗なお母さんなんてのがほとんど存在しないので、
そういう目の前で母がレイプされるというシチュエーションになりようがないのだ。
主人公には仲良しの幼馴染で、わりと美人の同級生がいる。
男子校に通っていた私にしてみればさらに羨ましい環境だ。
しかしこの童貞の主人公はそんな幼馴染の好意にも気づかず、いや気づいているのかもしれないが、美人の若いお母さんのことが気になって仕方がない。
そんな彼はあまり話したこともない、実は鬼畜の同級生にその幼馴染を紹介してしまう。
彼は鬼畜だったために幼馴染は蹂躙されてしまうのだ。さらにその彼の性欲は止まらない。イケメンで性欲旺盛な思春期の若者が暴走しだすと止まらない。
彼の魔の手は、主人公のお母さんにも向かってしまうのである。
主人公の歪んだ性欲はそれを止めようともせず、むしろ嫌だとは思いつつ、鬼畜が彼のお母さんを蹂躙する事を望んでいるかのような振る舞いをしてしまうのである。
ゆがんでいる。
それは若さゆえの歪みなのか、それとも大人になってからも持ってしまう種類のものなのだろうか。
上下巻からなるこの作品は、それに対する回答も用意していると思う。
少し前に話題となった元少年A「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」が、自身の告白本『絶歌 神戸連続児童殺傷事件』を出版したが、彼は結婚して子供もいるという。
あのような猟奇殺人犯と同じレベルではないとはいえ、この漫画の中で描かれているような少年期の暴走というのはもしかしたら、ホルモンバランスも整っていない少年だからこそ、犯してしまう犯罪なのかもしれない。
そういう意味でも、本作で主人公や鬼畜少年の”その後”に少しだけ触れらているように、人間というものは大人になって少しは落ち着くというのはあるのかもしれないなあ、と感じるのである。
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