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年上好きの女子大生が出会った素敵なおじさまは実は…超絶老け顔の高校生!? 『てんちょう、ダメ、絶対』
レビュー執筆者:いづき

ラブコメ漫画『てんちょう、ダメ、絶対』

 

柴なつみ先生の『てんちょう、ダメ、絶対』が3巻で完結を迎えました。
完全出オチの一発ネタ作品だったのですが、勢いのままになんと3巻まで刊行。素晴らしい。

 

店長ではなく、てんちょうです

 

表紙からして、なんともネタ感溢れる感じになっていますが、これだけだと一切内容の想像がつきませんよね。
”てんちょう”とあるので、なんとなく店長がおもしろキャラなのかな……みたいな想像を抱いて読み始めると、早々に裏切られることになります。店長ではなく、てんちょうと、ひらがな表記なところがポイント。

 

物語の主人公は、一にも二にもおじさんが好きな女子大生・七森結。理想のタイプは阿部寛で、同年代のイケメンには一切興味がないどころか、近づかれた瞬間に嘔吐してしまうほどの拒絶っぷり。ある夜、飲みすぎて真冬の住宅地で寝てしまっていたところを、超絶ダンディなおじさまに助けられた七森。その素敵な想い出を噛みしめると共に、再会を狙って、渡されたお弁当の箸袋に書かれた弁当屋に赴いていみると、そこには店員として働くおじさんの姿が!しかも「店長」と呼ばれています。

 

そんな中、バイト希望と勘違いされた七森は、勢いのままにそこで働くことに。毎日店長の姿を拝みながら働ける……と、浮かれる七森でしたが、直後に衝撃の事実を知ることに。なんとそのおじさま、店長ではなく名前が天頂(てんちょう)というだけ。しかもまさかの、超絶老け顔の16歳……!

 

見た目は完璧どストライク。けれども七森にとっては拒絶対象の年下……。想定外の展開に思い悩む七森は……というドタバタコメディ。

 

 

これでも二番煎じになりかねない

 

はい、超絶老け顔の高校生との恋というオチでした。

 

なかなかエッジの効いた設定ではあるのですが、悲しいかなこの路線にはすでに『俺物語!!』という先駆者(かつ金字塔)がおり、これですら二番煎じになりかねないという少女マンガの層の厚さを実感するわけです。
とはいえそのネタ展開は全くの別モノ。こちらは出オチっぽいこの設定をこねくり回して、笑い中心のおバカでドタバタなコメディを展開していきます。

 

 

阿部寛の学ラン見てえなー

 

てんちょうはとにかくシャイで真面目な男の子。お坊ちゃまで勉強もできる優等生。そんな彼が弁当屋でアルバイトをしているのは、本当の店長にスカウトされて、社会勉強も兼ねて……という感じ。
こんな見た目でありながら、大の甘党で、色恋についての知識は一切なし。バイクで移動なんてしません。ヘルメットかぶって自転車移動です。こうして書くと大したことないんですけど、とにかく一コマ一コマの絵面が強烈。この力強さは、ぜひ実際に読んで目の当たりにしてほしい。

 

なお本作は、作者さんの「阿部寛の学ラン見てえなー」というつぶやきから生まれたとのこと。確かにてんちょうには阿部寛の匂いが感じられないこともありません。まあガワだけで、中身は完全に奥手の思春期男子って感じなのですが。

 

 

すでに特に語ることがない

 

もうちょっとなんか書こうかと思ったのですが、ヤバイです、意外と書くこと無かったです。「とりあえず設定はこうだから、後は読め!」みたいなことしても全然大丈夫な系統の作品とでも言いましょうか。
とにかく一つの設定で押し進めるパワープレイなのですが、シンプルかつパワフルなので普通に響くんですよね。

 

 

むしろヒロインの七森の方がヤバイ

 

そういえば1巻~2巻はどちらかというと笑いに振り切れた幸せな展開だったのですが、3巻では打って変わって七森のダメさ加減にフォーカスがあたり、就活で苦しむ彼女の姿がおもしろおかしく描かれていました。

 

なんとなく、てんちょう一人が強烈なキャラという印象を抱きがちなのですが、ヒロインの七森の方が人間的にはむしろヤベえ奴で、物語を目まぐるしく動かしているのは、間違いなく彼女の方なんですよね。
結構美少女なんですが、内面アホすぎるのと、割と見境なく行動してしまう猪突猛進型というところで、「かわいい」というよりも「ヤバイなこいつ…」という感想しか出てこないです。
就活で苦しむと書きましたが、そもそも卒業間近まで就活やってなかったとか、色々と自業自得すぎて同情の余地も無い。で、そんな彼女の暴走を良識と優しさでフォローするのが、てんちょうというのがこのカップルのかたち。お互いステータス的に無茶苦茶やってるんですが、結果的にバランスが取れた良い二人なんですよ。

 

最後はなんだかんだ、ラブストーリーとしても完結させていたし、振り返ると良い作品読めたなぁ、と。とりあえず何も考えること無く、ゲラゲラ笑いながら楽しめる良作だと思います。

 

しばらくは出てこないであろう、強烈ヒーローの勇姿をとくとご覧あれ! 読まないと、先生に言いつけますから!(←作中で放たれるてんちょうのセリフ)

 

 

 

 

 

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